Yahoo!ニュース

ヤマハ五郎丸歩・日本復帰会見ほぼ全文。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
まずはスカイブルーの「15」を目指す。(写真:築田純/アフロスポーツ)

ラグビーワールドカップイングランド大会の日本代表で、6月までフランス一部リーグのトゥーロンでプレーしていた五郎丸歩が、7月1日、日本復帰。2008年から8シーズンプレーしていた退団していたヤマハ発動機ジュビロとプロ契約を結び、3日、静岡・ヤマハスタジアムで記者会見をおこなった。

2015年のイングランド大会で日本代表の副将と正フルバックを務めた31歳は、2016年2月からはオーストラリアのレッズに加わり、国際リーグのスーパーラグビーに参加。同年8月からはフランス1部リーグの名門トゥーロンへ移ったが、出場機会が限られていた。

以下、記者会見の一問一答の一部(編集箇所あり)。

「ご無沙汰しております。7月1日よりヤマハ発動機ジュビロと契約させていただきました。なかなか出場機会が少なかったので、その分、しっかりとパフォーマンスを出して、ヤマハ発動機ジュピロの優勝に貢献したいと思います」

――トゥーロン退団に際し、どれくらいのオファーがあるなか、どのような経緯でヤマハ復帰を決めたのですか。

「他チームとの交渉に関しては僕の口から言うのは難しいですけど、ヤマハを離れる時から、日本に復帰するのであればまたヤマハでプレーしたいという気持ちがありました。また帰って来られて、嬉しいです。ヤマハと初めてプロ契約を結んだ(2008年)、また、会社のプロ契約廃止(2010年)という経緯があり、またヤマハとプロ契約を結べた。ラグビー選手としてヤマハ発動機とともに成長させてもらえましたので、ヤマハでラグビー人生を終えたいという覚悟で臨みます」

――レッズとトゥーロンで得たものは。

「国内ではありがたいことに試合に出続けていたわけですが、海外にいて出られない期間が多かった。その分、ジャージィを着た時の喜びは、国内では感じられない部分でした。そのほかにも環境、文化が違うなかで自分をアピールする難しさ…。本当にいろんなものを感じました」

――成長できた点は。

「試合に出ないとパフォーマンスは落ちてくる。試合に出るメンバーよりも(練習は)ハードにやるということは心がけてやっていました」

――家族との時間は。

「オーストラリアの方ではスーパーラグビーの南アフリカ遠征などもあり、ゆっくりとは過ごせなかったのですが、フランスは国内リーグ。試合後もその日に帰ったりと、家族との時間もゆっくり取れたと思います。子どもが生まれてから、こんなにゆっくり家族と過ごしたことはなかった。僕自身もそうですし、息子たちにとってもよかったと思います。息子がラグビーをトゥーロンのジュニアでやっていたんですけど、僕よりも多くジャージィを着て試合に出ていました!」

――日本に戻ることに決めたのは。日本代表復帰への意欲は。

「約1年半、海外でラグビーをしていたわけですが、出場数が少なかった。これ以上海外にいると、パフォーマンス的にもメンタル的にも、どうしても難しいなと。

試合に出ないということで、試合でのパフォーマンスが落ちているなというのが、練習しても感じました。フランスの場合は2軍の試合もなかった。

その時、ヤマハから声がかかったので、もう一度、日本で自分を作り直したいなと思って帰ってきました。皆さんは日本代表についてお聞きしたいと思いますけど、まだ自分に意志があるとか、ないとか言える立場ではない。まずはヤマハでしっかりとパフォーマンスを出して、日本代表にふさわしい選手に慣れるように頑張っていきたいです」

――日本代表を支えるサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦)入りへの意欲は。

「サンウルブズも、(日本代表と)同様ですね。まずは(国内で)自分のパフォーマンスを出すことが最優先かと思います」

――直近の日本代表やサンウルブズの試合への印象は。

「私自身は選手でありますし、サンウルブズや日本代表を強化する立場ではない。この場ではコメントを差し控えたく存じます」

―― 早稲田大学時代から指揮官と選手の間柄だったヤマハの清宮克幸からは何と。

「言葉は特にないですけど…まぁ、圧力(一同、笑い)。帰国してから話をしましたけど、相変わらずのオーラにやられました。『期待してるよ』。その一言で伝わる部分もありますし、清宮さんには大学の頃からお世話になっている。恩返しできるように頑張りたいです」

――海外での経験を若手にどう伝えるか。

「僕は、あまり言葉で伝えるタイプではない。練習や私生活を見て何かを感じてもらえたらなと思います」

――どんなプレーを見せたいか。

「皆さんはキックを期待していただいていると思うので、しっかりと成功率を上げたいと思います」

――海外不在の間、トップリーグにどんな印象を抱いたか。

「トップリーグにはトップリーグの良さがある。そこを極めて行けばいいのかなと思います」

――6月下旬に帰国したようですが、古巣ヤマハの変化は感じましたか。

「先週1週間はチームが休みで選手と会う機会がなかったですけど、午後クラブハウスに来ていただければわかります。本当に素晴らしい環境になっている。驚いています。僕は」

――ヤマハでの定位置争い、トップリーグでパフォーマンスへの意気込みをお願いします。

「ヤマハには(ゲラード・)ファンデンヒーファー選手もいますし、いい争いができるのを楽しみにしています。またトゥーロンからマット・ギタウ選手(サントリー)、ジュアン・スミス選手(トヨタ自動車)も来るし、レッズの選手も多く日本にいるので、そこでの戦いも楽しみにしています」

会見後はテレビ局各社の単独インタビューに応じた五郎丸は、その足でヤマハ大久保グラウンドへ直行。全体練習に参加した。散会後はゴールキックの練習も繰り返し、無数のシャッター音を浴びた。

「1日1日を大切に…」

フランスではウェイトトレーニングに注力し、体重は2015年時と同様に「98~99キロ」くらいをキープしている。代表復帰を誓う前に、日々の積み重ねを誓う。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事