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イングランド代表は日本代表をどう倒したい?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
182センチ、99キロで24キャップ(代表戦出場数、写真は筆者撮影)

 ラグビー日本代表は6月22日、東京・国立競技場でイングランド代表とぶつかる。

 正規のテストマッチにおける通算戦績は、昨秋のワールドカップフランス大会時の直接対決も含めてイングランド代表の11勝0敗(両国がテストマッチとして認めたのは4試合のみ)。日本代表にとってはビッグチャレンジだ。

 かたやイングランド代表にとっても、このゲームは今夏シリーズ初戦。チーム作りにおいて重要な位置づけと見られるなか、試合を展望する1人はオリー・ローレンス。当日12番で先発予定の24歳だ。

 今年始動したばかりのエディー・ジョーンズヘッドコーチ(約9年ぶり再登板)体制の練習映像をすでに見たとし、自国が何に重きを置くべきかについて語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——日本の気候に対して。

「先週の金曜は暑かった。それには慣れていなかったと思います。実際のグラウンドに出て、どう対応するか。もちろん、(予め用意した)ゲームプラン通りに試合を進めていきたいのですが、天候によってそれができなくなることもあるかもしれない。その場合は(ミスを減らすべく)シェイプ(攻撃陣形)をタイトに締めること、どこのエリアで何をするかということが鍵になってくる。そうしたことも練習してきました。幸い、私たちのチームのリーダーたちが正しい決断をしてくれている。それらが重要です」

——日本代表は若返る。

「今週末、彼らが私たちをターゲットにしてくるってことはわかっている。日本代表の練習の動画を見させていただきました。速く、ボールを展開し、走るような試合展開になることは予測できます。

 その上で、私たちが自分たちのベストなラグビーをしていく。フィジカルで圧倒したいです。アウェイの試合です。日本代表のラグビーのスタイルに引き込まれてしまうこともあるかもしれない。そういうことがないように、一貫性を持って『どのエリアでどのブレをしていくのか』(について遂行する)。テストマッチは勝たなければいけない。司令塔たちがこの試合をどれだけコントロールできるかにかかってきます」

——警戒すべき、もしくは知っている相手選手は。

「9、10 番(司令塔団)はかなり研究しています。スピードもありますし、チームを前進させる意味では彼らが鍵になってくるかなと思いますし。あとはウィングと 15 番ですね。

 それ以外の位置でも、プレーする可能性が高い選手の、どこが脅威になるか、もしくはどこが我々のチャンスになりやすいかを分析してきた。それを踏まえてしっかりと戦いたいです。以前、日本代表と対戦した際、予測外なトリッキーなプレーを見せられたことがある。試合をしながら、どれだけアジャストしていけるかにかかってきます。柔軟性を持ってアジャストしていく。そして自分たちのプレーのなかのやるべきところに焦点を当ててやっていきたいと思います」

——ローレンス選手はどんなプレーをしたいか。

「ボーズウィックさん(ヘッドコーチ、後述)に託されている縁の下の力持ち的な仕事をやりつつ、フィジカルを発揮する。どれだけボールキャリアをするか。私は人に当たりに行くのが大好き。時に『そんなレンガみたいなところにぶつかりに行ってどうする?』と言われますが」

 イングランド代表のメンバーは以下の通り。

 現地メディアが注目したのはスタンドオフの選出。フィン・スミスとの争いの末、マーカス・スミスが10番を掴んだ。スティーブ・ボーズヴィックヘッドコーチはこう応じた。

「セレクションには一貫性を持っている。若い選手だが経験が豊富。ラインブレイクが多い」

 ローレンスはこうだ。

「非常に才能にあふれている。彼ほどのラインブレイクをする能力、スペースを見つける能力を、私はこれまで見たことがない。何より勝利への執念、『簡単に負けないぞ』と何かしら相手ディフェンスを操作しようとするファイターの要素がある。かつ選手として成熟していて、いつプレーすべきか、いつコントロールすべきかもわかっている」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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