韓国大統領への「出直し」逮捕状、執行時期めぐる疑心暗鬼と「流血」の懸念 #専門家のまとめ
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する逮捕状が再び発付され、合同捜査本部が「いつ執行するのか」に韓国国内の関心が集中している。大統領官邸周辺には鉄条網が設置されるなど複数の防御線が構築されているのに対し、「大統領逮捕」を狙う合同捜査本部側は「今回が最後」という覚悟を表明し、周到な準備を進めている。憂慮されるのは、大統領の身柄確保をめぐる「流血の事態」だ。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
合同捜査本部が前回、逮捕状執行を試みた際、大統領警護庁が激しく抵抗することは予想されていた。だが同本部側は人員配置を含め十分な態勢を取らずに官邸への進入を試み、跳ね返された。
今回は、その失敗を教訓に周到な準備を進めている。一つには、逮捕状の有効期限を明かさず、着手のタイミングをわかりにくくしている。
もう一つは、総合的な圧力で防御線を突破しようとしている点だ。大統領警護庁(700人程度)が鉄条網や大型バス、「人間の壁」で要塞化を進めているのに対抗し、合同捜査本部側は首都圏4つの広域捜査団から刑事機動隊長、麻薬犯罪捜査隊長らも動員し、その数は千人余りに上るといわれる。
警護庁職員が抵抗する場合の現行犯逮捕もちらつかせている。すでに警護庁トップを特殊公務執行妨害容疑で出頭させ、辞表提出に追い込んでいる。今回は逮捕状執行は緻密に計画されているようだ。
大統領官邸付近では弾劾の賛成・反対の集会が開かれ、にらみ合いが続く。治安を守るはずの捜査当局も二つに割れ、「着手」をにらみながら「戦闘」に備えているように見える。当局者から繰り返し「流血」という言葉が語られる。事態は極めて深刻といえよう。