どうなる? 韓国の「弾劾訴追案」と北東アジアの安全保障 #専門家のまとめ
韓国国会で7日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案が採決される。尹大統領を支えてきた与党代表が事実上賛成の意向を示し、それに近い議員も同調する可能性が出てきた。弾劾訴追案が可決されれば、大統領の職務は一時停止となり、憲法裁判所の判断を経て、大統領は失職する。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
弾劾訴追案の可決には議員の3分の2(200)以上の賛成が必要だ。野党192人全員の賛成に加え、与党から最低8人の造反が出れば、この数字に届くことになる。尹大統領を支えてきた与党「国民の力」の韓東勲代表は当初、「(弾劾の)混乱による国民と支持者の被害を防ぐため可決されないよう努力する」と表明していたが、その後、立場を一転させ、賛成に傾いている。
もちろん、尹大統領が自ら辞任する事態も考えうる。他方、今回の事態を切り抜けて、任期(2027年5月)まで政権を維持する可能性もある。いずれにせよ、尹錫悦氏を支える勢力は弱体化しており、韓国政界の流動化は避けられない。
韓国の不安定化は朝鮮半島の平和と安定に悪影響を与える。南北関係が緊張するなか、北朝鮮はロシアとの「包括的戦略パートナーシップ条約」を発効させ、両国関係を事実上の「軍事同盟」に引き上げた。その状況において、北朝鮮を監視しているはずの韓国からの情報発信は、明らかに弱くなっている。韓国における権力の空白が北東アジアの安全保障に深刻な影響を及ぼすのは間違いない。