WBC暫定ライトヘビー級タイトルマッチ
28戦全勝24KOでWBCスーパーミドル級暫定王座に就く、デビッド・ベナビデス。暫定ではなく、正規王座に就いたこともあるが、体重超過で剥奪されてしまった。また、禁止薬物の使用が明らかになったこともある。
WBA/WBC/IBF/WBO統一同級チャンピオンであるサウル・"カネロ"・アルバレスの相手として最も魅力のある男だが、ベナビデスは今回、ライトヘビー級に上げた。そして、現WBCライトヘビー級チャンピオン、アルツール・ベテルビエフが10月にリングに上がることが決まっているにもかかわらず、同暫定王座決定戦として、元王者のオレクサンドル・グウォジクと対峙した。
ベナビデスにとって、175パウンドでの初戦となったが、序盤のグウォジクは、元世界チャンピオンらしく正確なジャブを突いてペースを握りかける。
しかし、4ラウンド以降、37歳のウクライナ人と27歳のメキシコ系アメリカンには明確な差が生まれる。やはり10歳若いベナビデスの馬力とスタミナは、ウクライナ人元王者を上回っていた。
それでも、グウォジクも意地を見せて食らいつく。第8ラウンドには右を浴びせ、ベナビデスは左目の上をカット。同回の27歳は、スタミナを失いつつあった。
ペースダウンしたスーパーミドル級王者に対し、グウォジクはコツコツと手を出す。終盤に向かうに連れ、37歳のロンドン五輪ライトヘビー級の銅メダリストは、追い上げた。
禁止薬物に頼り、減量に失敗してしまうベナビデスは、自分を律し切れない。それはウエスト周りの贅肉が物語っていた。スーパーミドルでは圧倒的なパワーで24度のKO勝ちを飾ったが、ライトヘビーでの彼は特筆すべきパンチが無かった。
だが、手数とクリーンヒットでポイントを稼ぎ、116-112、117-111、119-109と3-0の判定で勝利を掴む。そしてWBC暫定ライトヘビー級のベルトも手に入れた。
繰り返すが、同正規王者のベテルビエフがケガで休養しているとか、指名挑戦者とのファイトを避けている訳ではない。WBCも認可したうえで10月の統一戦が内定しているというのに、この試合を暫定タイトル戦とした点が解せない。
勝者は言った。
「すべてのラウンドでポイントを取った。元世界チャンピオンであり、オリンピアンでもある彼を凌駕した。何度か彼を痛めつけたよ。
3ラウンドで手を負傷してしまい、コンビネーションを放てなくなった。試合の4週間前に右靱帯を断裂し、キャンプ中に左手も負傷していたんだ。実は、3週間前にもカットしていたんだが、ファンに良い戦いを見せられたので、自分自身を誇りに思う。この階級での次戦を楽しみにしている」
ウクライナ人元チャンプも話した。
「もっと違う戦い方をすべきでした。序盤でもっと積極的に手を出せばよかったです。スコアは正確だったと思います。良い試合だったし、接戦でしたよね。前半は彼が取り、後半は私が良くなり始めたと思う。再戦したいですね」
ベナビデスはスーパーミドルに戻ってサウル・"カネロ"・アルバレスと戦うのか、あるいは、ライトヘビーに留まるのか。