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一緒にお金を使って会話をするだけ!?家で家でできる子どもの金融教育

坂本綾子ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士
(写真:イメージマート)

子どもの金融教育していますか?

子どもがいる人は、うちの子にもお金の教育をしたほうかいいのかな?と考えることがありますよね。「金融教育」という言葉をよく聞きますし、「高校の家庭科で投資を教える」などというニュースも報道されています。

では、どうやって教えればいいのでしょうか。

家庭での金融教育は、気負う必要はありません。先生っぽく、「お金とは?」などと解説するよりも、一緒に買い物をしたり、その時に消費者として感じたことを言葉にしたりして子どもと会話をするだけでも、積み重ねることで学びにつながります。

ポイントは、お金を使う場面をなるべく子どもと共有すること、そして、その際に会話をすることです。

今ならまだできる現金での買い物体験

学校では、改定された学習指導要領に沿って、社会で生きていくために必要と思われる内容を、小学校、中学校、高校と段階を踏んで学んでいきます。教科書の金融教育に関連するぺージを子どもと一緒に読んでみるのもいいですね。

ただし家庭では、特に子どもが小学生くらいまでは、実際の生活の中でお金とどう向き合うかに焦点を絞ったほうがいいでしょう。教科書に書かれていることと現実の生活をつなぐ体験を子どもにさせることを意識してみてください。

例えば、一緒に買い物に行き、キャッシュレス決済が増えている時代ではありますが、あえて現金で支払って、モノやサービスはお金と引き換えで手に入れることを体験させます。

おこづかいも現金で渡して、お金は使えば減ることを視覚的にも物理的にも体験させます。お金は手持ちの範囲でやりくりするという習慣をつけておきたいからです。

「この間来た時よりも値上がりしているね」などと値段について話題にするのもいいでしょう。買ったモノやサービスが、自分が払った値段に見合っているかを考えさせる環境を作ります。

親と一緒にお金を使う、お金について親と会話する中で、いずれ大人になったら働いてお金を稼ぐこと、稼いだお金を生活や自分が手に入れたいもののために使うこと、ただし全部使ってしまわずに将来の大きな支出やいざというときのために一部のお金は取っておくことなど、まずは個人にとってのお金の流れを自然な形で子どもに実感させられたら、家庭での金融教育の初級はクリアしたと言えるでしょう。

キャッシュレス決済は親自身の工夫から

支払いのすべてを現金で行うことは難しくなっています。子どものおこづかいを電子マネーで渡す家庭も増えてきているとか。キャッシュレスへの向き合い方も、子どもの頃から学んでおきたいですね。

今後ますます普及することが予想されるキャッシュレス決済については、大人も、上手に使いこなしている人と使いこなせていない人に分かれるようです。子どもと一緒に、チャージしたり、履歴を確認したりしながら、管理の方法を試行錯誤していきましょう。

キャッシュレス決済は、現金よりも使い過ぎになりやすいと言われています。まずは親自身がちゃんと管理することを心掛けます。自分の生活に合ったものに絞り込んだ上で、キャッシュレス決済ごとに何に使うかと予算を決めるのがポイントです。クレジットカードからのオートチャージは最小限にして、原則として予算の分だけを事前にチャージします。

お金について率直に話す

お金を使い過ぎてしまったときは、隠さずに「使い過ぎちゃったから、来月は引き締める!」と子どもに宣言するのもありです。

大人だから何もかも完璧なわけではありません。お金の管理が苦手な人もいます。苦手なりに、なるべく手間や時間をかけずに管理していく方法を探して実行することは家計管理において大事ですし、子どもは親の様子を見ていないようで見ています。親自身がお金について学んだり管理したりする意思を持つことです。

また、お金について、親子の間でざっくばらんに会話ができることは、トラブルの防止にもつながります。

子ども同士のお金の貸し借りの問題や、オンラインゲームで無意識のまま支払いをしてしまったなど、お金のトラブルに見舞われるリスクは子どもにもあります。そんなとき、すぐに親に相談できるかどうかが、その後の被害の状況に影響します。

小学生くらいまでに、親子で率直にお金の話ができる関係を築けていれば、中学生以降は、それを維持することを心掛け、次の段階に進んでいけるでしょう。お金を使う側ではなく、稼ぐ側、つまり商品やサービスを提供してお金を受け取るとはどういうことか。成長に伴い、自分から社会へと視野を広げていきます。将来の仕事や、お金の置き場所である銀行などの金融機関の商品やサービスについても知識を増やしていきたいですね。

親が教えるというよりも、日常会話の中でお金についても話題にする感覚で、伝えればよいと思います。

成長と吸収が早いのが子どもです。気がついたときには、キャッシュレス取引の使いこなしなどはあっさりと親を超えているかもしれません。

それでも、欲しいものを手に入れるために、親と一緒に買い物をした記憶は、子どもにとってのお金との付き合いの原点であり、よい思い出になるのではないでしょうか。

家庭での金融教育は、何気ないふだんの生活の中で可能です。

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士

雑誌記者として22年間、金融機関等を取材して消費者向けの記事を執筆。その経験を活かしてファイナンシャルプランナー資格を取得。2010年より、金融機関に所属しない独立した立場で、執筆に加えて家計相談やセミナー講師も行う。情報の取捨選択が重要な時代に、それぞれの人が納得して適切な判断ができるよう、要点や背景を押さえた実用的な解説とアドバイスを目指している。

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