【英会話】I'm feeling transient と言ったら、ちょっと首を傾げられた なんで?
仕事で20年ほど英語を話していますが、英語を話していて思うのは、日本語と英語を行き来することで、なんとなく判ったつもりになっていたことを、深く考える機会をもらえるな、ということです。
たとえば、なにかで相手を助けて感謝されたときに、
気にしないで、お互い様だよ
なんて言うと思いますが、これ、英語にすると
It's my pleasure. You'd do the same for me.
ぐらいになる(他の言い方もありますが、わたしはこんな感じ)。
この場合の
気にしないで には、わたしが好きでやってることだから、あなたが気にする必要がないよ という意味が込められていると気付けるし、
お互い様 には、もしあなたが同じ立場なら、わたしのために同じようにしてくれるだろうからね という意味が込められていると気付ける。
優しさを押し付けない、いいと言葉だと再認識できちゃいます。
ちょっと前のことですが、ある日本語を英語にしようとして、うまくいかず、その分、深く考える機会をもらえました。
そんな私の英語での挑戦や、今も私の周りで起こっている英語でのチャレンジを多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は読むと英語にしにくい言葉を伝わる英語にするコツを身に付けられるお得なエッセイです。
はかなさを感じるからだよ。
4月のエッセイ(4/27)で、近くの公園でのんびりワインとサンドウィッチで、はらはらと桜が散っていくのを愉しんだということを、English man の友人のRichと話したということをご紹介しましたが、あの話には続きがありまして、お互いに花見をしたよ という話で盛り上がった後、Richからこんなことを訊(き)かれました。
たしかに桜は綺麗だけど、日本人はなんで桜がはらはらと散っていくのを良いと思うんだろうね?
ですって。
ちょっと考えちゃう。散っていくのを悲しいじゃなくて、良いものだと思う理由を答えないといけない問いだからです。どう「いい」のかを説明しなきゃならない。私は桜が散るのを見ている気分を思い出して、こう言ってみました。
I'm feeling transient(トランジエント). (はかなさを感じるからだよ)
そしたら、Rich一度うなずいて、ちょっと首を傾げる。判るようで判らない、もうちょっと具体的に言うと? と追撃される。
みなさん、わたしがどう具体的に表現したか、推測してみてください。はかなさの良さを考える機会ですよ。
和英辞典などで、はかない という言葉を調べるとtransientという単語が出てきます。私はそれを知っていたので、桜がはらはらと散っていくのが、はかなくていいと感じるから と説明したわけですが、英語ではちょっと言葉が足りない。はかなさの良い面まで説明しなきゃならない。桜があっけなく散っていくのを見て浮かぶあの切ない感じをもっと説明する必要があるんです。
ちょっと考えていたら、Richがtransient はちょっとのあいだだけ続いてる(continuing for only a short time)ってことだよねという。
そういわれて、思いついた。なるほど、そういうことで切なくてしんみりした気持になるんだな と思ったんで、こう言ってみた。
I remember that life is transient.
そしたら、Rich、ああ、なるほどと納得。永遠に生きられないから、つかの間を大切にしようというのを思い出させてくれるってことか、いいね と感心してました。ちょっとだけですが、日本人独特の心性を伝えられたかもしれません。よかったです。
こういう英語のできるだけ具体的に説明しないと伝わらないという特徴は面倒と感じることもありますが、一方でふんわり思っていたことをきちんと言語化する機会にもなります。ものごとをきっちり伝える力もつきますよ、言語化スキルの向上にも、英語・英会話は役立つようです。
と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。
さて、もう7月です。夏にも、永遠に生きられないから、つかの間を大切にしよう というのを思いださせてくれるものがあります。それは、夏空にどんと音を立てて上がり、美しくあっけなく散ってしまう花火。
生命力に満ちた夏の季節にも、切なくてしんみりした気持を感じ取る我々Native Japanese Speakerの繊細で趣深い気持を、花火大会などに行った際にどうぞNative English Speakerに伝えてあげてください。
イラスト 大橋啓子