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【英会話】for seeing the cherry blossoms って言ったら変な顔。なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 仕事で20年ほど英語を話していますが、英語を話し始めた時に感じたのは理窟っぽい言語だなということでした。
 以前もお話ししましたが、「アーサー・C・クラークが好きなんだよね~」というと「なんで?」とか「どのあたりが?」ってすかさず理由を訊(き)かれる。私自身は大学で現代思想(哲学)を専攻したぐらい理窟っぽいんで、それほど困ったことはないんですが、たまに失敗する。そういうときは決まって、まぁ、こっちでもいいかぁと頭が働いてないときでして、間違いを指摘されて赤面です。

 そんな私の失敗談や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は、読むと論理的な英語を得られるお得なエッセイです。

桜、見にどっか行った?

 東京ではもうすっかり桜は散ってしまいましたね。今年は咲くのが遅くて、4月の10日過ぎまでお花見を愉(たの)しめたんで、あたたかい日差しの中でのお花見だったんじゃないでしょうか。かく言う私も近くの公園でのんびりワインとサンドウィッチで、はらはらと桜が散っていくのを愉しんでいました。え? おまえが愉しんだのは桜じゃなくワインだろう? というツッコミが聞こえてきそうですが、まぁ、Both were good (どっちも)です。

 そんな話を友人のRichと話したんですが、ワインがまだ残っていたのか、初っ端から口を滑らせてしまう。

Have you been somewhere for seeing the cherry blossoms?

 桜、見にどっか行った? のつもりで言ったんですが、あっさりと首を振られる。
 あれ? と思った瞬間、間違いに気づく。このときはもう桜は散ってしまっていて、咲いてないんです。なので、Have you been somewhere? はおかしい。have + pp ってあくまで今を含んでいないといけませんからね。なので、すぐこう言いかえた。

Did you go somewhere for seeing the cherry blossoms?

 これで大丈夫だろと思ったら、Rich、今度は変な顔。あれ何かおかしい。時制はあってるし、to somewhere みたいに副詞に前置詞をつけるようなこともしていない。なんだ? と思って考えていると、Richがヒントをくれる。
 因果関係かい?
ですって。いやぁ、いい年してぱあっと赧(あか)くなっちゃいました。お恥ずかしい。
 みなさん、わたしの間違いに気づかれたでしょうか?

 因果関係かい? というRichのヒントでおわかりの方も多いと思いますが、これ、桜を見に行くために の部分が原因で表現してあるんです。for doing は~するために という訳でいいんですが、もっと言葉を増やすと~するという原因のために もしくは、~するので ということです。
電話をもらったために、彼の会社に行った。
I went to his office for getting a call from him.
みたいに使わないといけない。
 でも、この場面で言いたいことは、もちろん目的です。桜を見るという目的のために としなくてはいけません。原因と目的を間違えるなんてお恥ずかしい限りです。

 この辺りには、英語の理窟っぽさ、現実を丁寧に表現しようという律義さがよく出ていますね。おかげで日本語の「~するために」が原因・目的のどちらもあらわすことを再認識。英語のおかげで日本語について深く考えることができました。ありがたい。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

 あっと、本当は私がどういうべきだったかを書いていませんでした。ご存じかと思いますが、不定詞を使って、

Did you go somewhere to see the cherry blossoms?

です。参考にしてください。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ日本語を英語にする方法で英文法をマスター。その実績を買われて英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職し活躍する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任。Native English Speakerのマネージメントを経験し、日本人とは違った価値観や思考法に振り回されるという経験を多々する。現在は独立し、英会話スキルだけではなく、Native English Speakerとうまく交渉できるスキル習得を目指した英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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