日本は緊急事態宣言。中国式コロナ対策は再び都市封鎖
中国では首都北京に隣接する河北省で、今年に入り新型コロナウイルスの感染者が急増し、対応に追われている。同省の省都、石家荘市は週末から都市封鎖を敢行し、全市民に対し7日間の自宅待機を求めた。
中国でも感染者が増え始めた
河北省が10日に発表した内容によれば、前日0時から24時までに、省内で新たに46人の感染が確認された。現在、同省内では、国内で感染した183人の感染者と海外から流入した2人の感染者、更に医学観察下におかれている無症状感染者が、海外から流入した5人を含み186人に上るという。
感染は、省都、日本で言えば県庁所在地に当たる石家荘市に集中している。同市では、今月2日から6日の24時までに、感染者が83人、無症状感染患者は148人に達した。こうした事態を受け、石家荘市では、6日未明から72時間で全市民に対しPCR検査を実施したという。検査対象は、1千万人余り。そのスピードと規模には驚かされるが、その結果、354人のウイルス陽性者をあぶりだした。その上で、1万1千700人を集中隔離したという。同市ではさらに、市民全員を対象にした2回目のPCR検査を行うとしている。
再び都市封鎖
その上で、7日夜の記者会見で、孟祥紅副市長は石家荘市から人や車が出ることを禁じた。市内では感染者が集中した地域がすでに確認されているが、そこにいる人は、その地域を離れることを禁じた。都市封鎖(ロックダウン)である。長距離バスの運行を停止し、鉄道チケットの販売停止などの措置も採った。
市内においては、8日金曜日の夜に通告を出し、市民に対し7日間に自宅待機するよう求めた。さらに翌9日土曜日の午前から地下鉄やバスの運行を停止した。奇しくも今月23日でちょうど1年となる武漢の都市封鎖の再現である。しかし新型コロナウイルスの特性が把握されていなかった1年前とは市民の受け止め方も違うようだ。石家荘に住む友人は「今回の政府の対応は早かったです。1週間、閉じ込められて感染者数が増えなければ大丈夫だと思います」とあまり悲壮感は感じさせなかった。
政治イベント控え北京は厳格化?
ただ、むしろナーバスになっているのは北京だ。一時期緩んでいた防疫対策が、再び厳しくなってきた。スーパーやレストランに入る際に、体温検査は当然で、感染リスク地域への訪問歴などが反映される「健康コード」と言うべきスマホのアプリの提示をほぼ毎回要求されるようになった。
実は北京では3月に日本の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が予定されている。地方の代表が北京で一堂に会する1年で最大の政治イベント。去年は、記者が現場取材をする機会は著しく制限され、要人の記者会見もオンラインで質疑をするリモート会見という、史上初の“無観客”全人代となった。去年の全人代では、コロナに対する「勝利宣言」までは至らなかったが、今回、抑え込みをアピールできれば、中国としては、ワクチン開発や経済復興でウイズ・コロナの世界における“救世主”として印象づける絶好の機会となる。北京の対策厳格化にはそんな事情もありそうだ。