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<日本シリーズ>ソフトバンク、DHなしのハマスタで周東佑京の起用法は!?

田尻耕太郎スポーツライター
右が小久保監督、左が周東選手

 ソフトバンク・小久保裕紀監督は日本シリーズの戦いについて問われると、「(セ本拠地では)DHがないって確定したと聞いている。2020年みたいなことがあるかなと思ってたけど。打席にピッチャーが入るだけで野球が全然違う」と話した。

 2020年の日本シリーズはソフトバンクと巨人の対戦カード。この年は新型コロナ感染拡大の影響による短縮シーズンでセ・パ交流戦が中止となり、シーズン中にパ・リーグの投手が打席に立つ機会がなく不慣れなバットスイングや走塁など肉体的負担がかかることから、ソフトバンク側が全戦DH制を提案。巨人・原辰徳監督(当時)が快諾したことで実現したものだった。

 今年の日本シリーズはDeNAの本拠地、横浜スタジアムからスタートする。「初戦が大事でしょ、普通に考えたら。2戦目(が一番大事)の意味はあんまり分からない。そんな風に言われていた時代もありましたね」と、小久保監督は先手必勝をシリーズ制覇のカギに挙げた。

 ソフトバンクはDH制のない横浜スタジアムでの戦いにどう臨むのか。

近藤は代打待機か

近藤外野手
近藤外野手

 最も注目されているポイントは近藤健介外野手の出場可否である。レギュラーシーズン終盤の9月16日に右足首を捻挫したが、小久保監督も「驚異的」と表現した回復でクライマックスシリーズ・ファイナルステージ(CSファイナル)には実戦復帰。全3試合にスタメン出場して11打数6安打1本塁打と大活躍してチームの3連勝に大いに貢献した。ただ、3試合すべてDHでの出場。また、その後の日本シリーズに向けた全体練習の中でも、キャッチボールは行っているものの本格的な守備練習はまだ再開していない。小久保監督は「直前まで(起用法を検討する)。でも基本的には無理をさせない方向ですね。ただ、ベンチには入る」と話しており、第1戦、2戦については代打起用の可能性が高まっている。

 それを踏まえて打順を検討することになるのだが、もう1人、ソフトバンクでカギとなるのが周東佑京内野手の起用法ではなかろうか。

周東を何番で起用するのか

 近藤離脱がクローズアップされたが、周東もレギュラーシーズン終盤に左膝の状態が悪化して9月30日に出場選手登録を抹消。CSファイナルは復帰戦だった。その3試合は9打数2安打で打率.222と数字としては振るわなかったものの、第3戦では同点の場面で勝ち越しの決勝タイムリーを放ってみせた。

 その周東はCSファイナル全3試合に「9番センター」で出場していた。

 本来の理想は1番打者での起用だ。今季レギュラーシーズンでは「1番」スタメンが77試合あった。ただ、シーズン中から下半身のコンディション不安と戦っていたため、打席数などの負担軽減を考慮され、後半戦はリードオフマンでの起用は少なくなっていた。

 CSファイナル後も、周東は病院に行き左膝に注射を打っている。状態悪化ではなくメンテナンスの意味合いだというが、100%万全でないのは明らかだ。

8番周東がもったいない理由

 DHがなくなれば、9番にはピッチャーが入るのが相場だ。となれば、周東は8番に座るのか。しかし、それでは周東の“武器”が全く生かされなくなる。

 周東も「後ろがピッチャーだと安易に走れない。そこは難しいというか、走らない方がいい。2アウトならなおさら。次の回がピッチャーから(攻撃が)始まったら地獄じゃないですか。走ってアウトになったらめちゃくちゃ叩かれますよ」と苦笑いしていた。

 ならば8番ピッチャー、9番周東という可能性も考えられるかもしれないが、周東は「僕が考えるわけじゃないですが、1つ打順が上がれば回ってくる回数も確率的に多くなる。その分、代打を使わないといけないかもしれないし。(以前DeNAにいた)ウィーランドくらい打てれば話は別ですけどね(笑)」と言葉を継いだ。

 日本シリーズ開幕まで、あと3日ある。小久保監督はまだじっくりと思案する構えだ。また、周東は「ベイスターズは打線が強そう。ただ、横浜スタジアムはいいですね。素晴らしい球場でできるのは嬉しく思います。雰囲気好きなので。(コンディションについて)近藤さんよりはマシです。普通に問題なく、いけるんじゃないですか。(最大)7試合だし、やるだけです」と意気込んだ。

【現時点での予想スタメン】

(中)周東佑京

(右)柳田悠岐

(三)栗原陵矢

(一)山川穂高

(遊)今宮健太

(左)正木智也

(二)牧原大成(ジーター・ダウンズ/川瀬晃)

(捕)甲斐拓也

(投)――――

<※>写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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