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【親が夏休みに悩む事】「体験格差」の根本的な原因は「親の教育」にあるとキャンプを通して気づいた話

いわもととしたつキャンプクリエイター/アウトドアライター
(Unsplash)

ちょっと前に作った記事で「体験格差とキャンプ」を取り上げた所、たくさんの方のアクセスがあり、皆さん悩んでいるんだなあと実感しました。かくいう私も4人兄弟の末っ子で今や二児の父。比較的貧しい境遇で育っているので「体験格差」に思う所もあります。

森の中、チェアに座ってボーっと体験格差について考えてみると、よくよく考えたら根本的な原因は「親の教育」にあるんじゃないか、と思い至ったので筆を執る、もといキーボードを叩いている次第です。

結論から言うと、親が子どもの「体験の幅」を狭めてしまい、親も子供も格差があると感じてしまうのでは?という考え方です。詳しく書いていきましょう。

なお、今回の体験格差について、習い事の体験格差については除外して考えております。旅行やお出かけなど、家族でのイベントの方をイメージしてください。

豊かと思う基準は人それぞれ

(Unsplash)
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元も子もない事を言ってしまいますが、「豊かな体験」と思うのは人それぞれ。最近は某テーマパークに行ったか行ってないとか、それこそキャンプに行ったかどうかとか、夏休みに旅行に行くとか行かないとか、点での比較が取りざたされていますが、これらはあくまでも細かい話に過ぎません。

前提としてあるのは「子どもたちに豊かな体験をさせたい」という親の愛情です。では、「豊かさ」とは何でしょう。贅沢なホテルに泊まる?海外旅行に行く?それも細かい話ですね。色々と意見があると思いますが「心が満たされる事」だと私は思います。

他人と比較して格差を感じる

(写真AC)
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「心が満たされる事」が豊かさの正体であれば、豊かな体験を積む事は他人と関係ない訳です。しかし、比較することにより「格差」と表現されてしまいます。デジタル社会が進んだ今、他人と比較するのも容易になってしまい、格差を生みやすくなっています。

じゃあどうすりゃええねんと思ってしまうのですが、まずここでは「豊かな体験」は具体的な経験で他人と比較すべきものではないと理解していただければと思います。

心が満たされるポイントは人それぞれなので、具体的な行った行かないという体験を比べるのは意味がありません。子ども達の間ではどうしても比べてしまいますが、少なくとも親はそう思わないようにしましょう。

親がたくさんの選択肢を出してあげる

(写真AC)
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では違った角度から「豊かさ」を見てみましょう。例えば「家族の楽しいお出かけ」をテーマとした時に、「家族全員でハワイに行った思い出」しかない子どもと、「フードコートでみんなで食事をとった」や「プールの帰りにポテトを食べた」など、小さなことをたくさん思い出として残している子ども、どちらがより豊かでしょうか。

もちろん人により捉え方は様々ですが、後者の方が豊かな感じがしませんか?大切なのは「選択肢」と「感受性」だと考えています。

選択肢

(写真AC)
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基本的には、豊かさを感じるための選択肢を増やすのが大切です。テーマパークが悪いと言っているわけではありません。日常の些細なことに対しての感情に名前を付けてあげて欲しいのです。

虫の鳴き声を面白がったり、地球の動きと月の動きを不思議がったり、焚き木が爆ぜるのに驚いたり...。親が意識して様々な体験と感情を紐づけてあげる事で、子どもにとっての選択肢は増えていくのではないでしょうか。

感受性

(写真AC)
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選択肢は横並びのラインナップですが、感受性はそれぞれの感情の振れ幅だと考えてください。

すっごく感動したことがあればそれを絵や写真などにして残しておくことや、些細なことを日記に残しておく事など、感受性を豊かにするためのアウトプットが出来ると良いんだと思います。

そうする事で、些細な体験でも価値のあるものだと気づけるようになるハズです。

自然体験はみんなに平等

(Unsplash)
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これまでこういった考え方を漠然と持っていた私ですが、こうしてアウトプットする事で自分の頭も整理されていきました。そして思ったのが「自然体験は平等」という事です。

日本は一歩家を出ると自然にあふれています。空はどこでも見られるし、今やどの川も一定レベルでキレイです。

キャンプインストラクターとして、キャンプに行くことで非日常体験が出来る事をオススメしていますが、日常の自然体験も決して遜色ないものです。ポイントとなるのは、子どもたちに、選択肢があるのか、感受性が育っているのかという点です。

キャンプに行く余裕がないからといって、行ける子どもたちに体験で劣っている訳でもありません。ただ、キャンプを通して選択肢が増えたり、感受性が育ったりという事はあると思います。

持ってる手札で勝負する

(写真AC)
(写真AC)

子どもたちの目線からすると、テーマパークや旅行の話をする友達の事を羨ましく思うでしょう。その感情を聞いた親としても、体験格差が出来てしまったと嘆いてしまう事もあるかもしれません。

しかしそこで諦めてしまってはそれこそ格差は広まるばかり。ハワイに行くとか、高級ホテルのビュッフェを楽しめるように努力するのではなく、手の届く範囲での「選択肢」を増やしてあげましょう。

そしてそこで見た事、感じた事を残しておき、親がフィードバックしてあげる事で「感受性」が深まります。

格差を格差と捉えるのが良くない

こうする事で、格差を格差と思わず、境遇の違いと思う子どもに育ってくれるのではないでしょうか。

私自身もお金持ちという訳ではないので子どもに十分な体験をさせられているかどうかは怪しい所ですが、選択肢を出してあげて、経験の思い出を絵に残してもらう事を続けています。この答えはもう少し大きくなってから分かる事でしょう。

自分の子どもに十分な体験をさせられていないとお悩みの親御さんは、一度「選択肢」と「感受性」を意識してみてはいかがでしょうか。

キャンプクリエイター/アウトドアライター

『子どもを育む場としての「キャンプ」こそ持続可能な社会の第一歩』をテーマに、子どもはもちろん大人の環境意識やサバイバル知識を高めるために日夜活動。実体験を通したキャンプの知識や雑学、マニアならではの考察についてお届けしていきます。

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