46歳。子ども3人。家族を「管理」したがる前夫とは6年前に別れました~40歳からの婚活入門(39)~
40代、独身。孤独を感じることもあるが、周囲を見渡してみると自分と同世代の独身者もいるし、子育てを終えて次の生活を模索し始めた人もいる。肩を寄せ合えるパートナーを探すことが広義の婚活だとしたら、何歳からだって遅くはない。本シリーズでは、現代に生きる独身の40代の実生活と心情を聞き取り、筆者の考えを添える。同じ40代として、残りの人生を充実したものにするために。
***土屋香織さん(仮名、46歳)の話***
夫が家にいると体が思うように動かず、家事も失敗ばかり。ノイローゼ気味だった私
学生時代の先輩である前夫とは17年間の結婚生活でした。就職して同棲中に長男を妊娠して結婚。その後、長女と次女も授かりました。前夫と私はともに理系で、それぞれ技術系の仕事に就いています。
前夫の人柄が変わってしまったのは結婚して10年目ぐらいのこと。管理職になり、やたらにマネジメント志向になったのです。私にも子どもたちにもダメ出しを繰り返すようになりました。自分は大手メーカーのエリートコースなので、そうではない人のことが理解できないのかもしれません。長男が保育士を目指すと言ったとき、「保育士は待遇が悪い。儲からない仕事だ」と強制的にあきらめさせたこともあります。
前夫はお酒に飲まれてしまう癖があり、酔って帰って来ると余計に口うるさくなります。「お前は何もしていない」「お前がちゃんと言わないから子どもたちが勉強しない」などと何度も言われました。当時、私はノイローゼ気味だったのだと思います。前夫が家にいると体が思うように動かなくなり、家事も失敗ばかり。1時間おきに目が覚めてしまうような毎日でした。
別居を決めたきっかけとなった出来事があります。前夫が頭に軽いケガをして検査入院をしたことがありました。身の回りのお世話だけでなく、彼の仕事先との連絡も私がやってあげたんです。でも、退院して帰宅した途端に「家の片づけができてない」と怒り出して……。この人と一緒に住み続けることはできないと思いました。
子どもたちは現実派なので、「住む環境を変えたくない」と言って3人とも実家に残りました。長男は22歳、長女は20歳なので家事もできます。私はときどき見に行く程度で大丈夫です。
幸いなことに、私は手に職があります。SEに近い職種で、事務や営業もできるので重宝がられるのです。別居して5カ月後には離婚しましたが、仕事にも生活にも困りません。何よりもよく眠れるようになりました。
前夫への恨みはありません。職業人としての能力は尊敬しています。でも、添い遂げる気はありませんでした。「だったら今のうちにそれぞれ人生の再スタートを切ったほうがいいと思う」と伝えたら、「それもそうだな」と納得してくれました。
いま、2年ほど前から付き合っている恋人がいます。いわゆる出会い系サイトで知り合いました。私はパソコンオタクで、オフ会などにもしょっちゅう顔を出しているので、見知らぬ人と会うことに抵抗がないんです。怖い目に遭ったことも今のところありません。
彼は3歳年下の会社員です。お互いに車好きなので意気投合。私はディーラーに勤めていたこともあるので、彼が新車を購入するときは価格交渉を手伝ってあげました。昨年の秋からは一緒に住んでいます。どちらかが入院したときなどのために、いずれ結婚したいと思っています。
前夫とは違い、彼はすごく温和です。怒ったところを見たことがありません。デートなどの計画を立てられないという欠点がありますが、それは私の得意分野なので問題ありません。「プランを立てられないのも個性」と思えるようになったのは、一度結婚を経験したからだと思います。子どもたちからは「お母さん、今は幸せそうだね」と言ってもらっています。
***筆者より土屋さんへ***
お互いの短所が長所に見える組み合わせを「相性がいい」と言うのかもしれません
17年間にわたる結婚生活の末に離婚し、新たな恋人と再婚を視野に入れて同棲生活を始めている土屋さん。そのエピソードを聞いていて、人生を分かち合う相手との「相性」について考えました。関係を長続きさせるためのポイントは、相手の長所を尊敬できることだけでなく、短所を許して愛することができるか否かなのだと思います。
土屋さんの場合、前夫の仕事能力は尊敬しているけれどモラハラ気味なところに我慢ができなかったようですね。でも、別の女性だったら彼はそのような言動をしなかったかもしれません。仕事よりも家事が得意で、夫の気分を上手にコントロールできる女性も世の中にはたくさんいます。
今の彼氏さんは悪く言えば頼りがいのないタイプなんですよね。でも、素直で温和。土屋さんのリーダーシップに喜んで従っている様子が目に浮かびます。2人とも「強い」性質だったらうまくいかなかったでしょう。お互いの短所が長所に変わって見えるような組み合わせを「相性がいい」と言うのかもしれません。