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バーランダーや千賀のような大物だけでなく、メッツは地味ながら堅実な補強もしている!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブルックス・レイリー Sep 21, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ニューヨーク・メッツは、FAに大枚を費やしている。メッツからFAになった外野手とクローザー、ブランドン・ニモエドウィン・ディアズとは、それぞれ、8年1億6200万ドルと5年1億200万ドルの再契約を交わした。また、3人の先発投手、ジャスティン・バーランダー千賀滉大ホゼ・キンターナを、2年8666万6666ドル、5年7500万ドル、2年2600万ドルで迎え入れ、リリーフ投手のデビッド・ロバートソンとも、1年1000万ドルの契約を交わした。

 6人の契約総額は、4億6166万6666ドルに上る。ディアズの契約総額は、それまで、リリーフ投手では史上最高だったアロルディス・チャップマン(現FA)の5年8600万ドル(2017~21年)を上回った。バーランダーの契約総額は1億ドル未満ながら、年平均額の4333万3333ドルは、9年ぶりに同じローテーションで投げるマックス・シャーザーと並び、こちらも史上最高だ。シャーザーは、昨オフに3年1億3000万ドルでメッツに入団した。

 ただ、派手な動きの陰で、メッツはこんな補強もしている。マイナーリーガーの投手、キーショーン・アスキューと交換に、タンパベイ・レイズからリリーフ投手のブルックス・レイリーを手に入れた。

 ディアズを含め、今シーズン、メッツで救援30イニング以上の6人のなかに、左投手はジョエリー・ロドリゲスしかいなかった。2018~19年に中日ドラゴンズで投げた、あのロドリゲスだ。今オフ、FAになったロドリゲスは、ボストン・レッドソックスと1年150万ドルの契約を交わした。

 レイリーも左投手だ。今シーズンは、ロドリゲスが55登板で50.1イニングを投げ、奪三振率10.19と与四球率4.65、防御率4.47。レイリーは、60登板の53.2イニングで、奪三振率10.23と与四球率2.52、防御率2.68を記録した。スライダーとシンカーのコンビネーションに、右打者にはチェンジアップとカッターも交える。球は速くないが、スタットキャストのデータによると、ハードヒット率が低く、ここ3シーズンとも30%に達していない。

 ロドリゲスと同じく、レイリーもアジアで投げた後、2020年にメジャーリーグへ戻ってきた。2015~19年は、韓国のロッテ・ジャイアンツで、5シーズン続けて30試合以上に先発した。

 ここからも補強はあるかもしれないが、現時点のブルペンの顔ぶれからすると、レイリーは左打者に対して起用されるだけでなく、ロバートソンとともに、ディアズにつなぐセットアッパーを務めることになりそうだ。

 メッツのローテーションについては、こちらで書いた。

「バーランダーと千賀、キンターナを加え、メッツのローテーションは万全なのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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