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第52回ギャラクシー賞「CM部門」上期入賞作品はコレだ!

碓井広義メディア文化評論家

選奨委員を務めさせていただいている、ギャラクシー賞(主催:放送批評懇談会)「CM部門」。

第52回ギャラクシー賞、上期入賞作品が決定し、公表されました。

いずれも2014年の4月から9月までに流された多くのCMから選ばれた秀作です。

並んだ作品たちは、いわば、この半年間の“CM界俯瞰図”と言えるでしょう。

これら13本に、半年後に選出される下期候補作品(本数未定)を加えた中から、ギャラクシーCM大賞1本、優秀賞2本、選奨10本、そして奨励賞などが決まることになっています。

第52回ギャラクシー賞上期入賞作品

<2014年4月1日~9月30日>

インテリジェンス

DODA シリーズ「チャップリン×綾野剛篇」「キング牧師×綾野剛篇」

(インテリジェンス GLIDER ギークピクチュアズ)

チャップリン、そしてキング牧師の肉声の迫力。言葉の中に、彼らの生き方が凝縮しているからだ。

NTTドコモ

歩きスマホ「全員歩きスマホin渋谷スクランブル交差点」

(NTTドコモ エヌ・ティ・ティ・アド 博報堂 ティー・ワイ・オー)

CGで、渋谷のスクランブル交差点を渡る、無数の人の動きを再現。歩きスマホの危険性がリアルに伝わってくる。

NTTドコモ

スマートライフ「親子のキャッチボール篇」

(NTTドコモ 電通 スプーン)

普段言えないことがたくさんある関係、娘と父親。心の中の声をキャッチボールに託すという設定が秀逸だ。

サントリーホールディングス

サントリー天然水 シリーズ

「信じられる水の山から(南アルプス)篇」「朝摘みオレンジ運命の出会い篇」

「朝摘みオレンジ朝の匂い篇」「スパークリングはじめるもんね篇」

「天然水かき氷(南アルプス)篇」

(サントリーホールディングス 電通 エンジンプラス)

やさしい手触りのアニメーションで、人と水との関わりを表現している。押しつけがましくなく、あくまでも自然風に。

テレビ岩手

震災復興キャンペーン「つづけよう 復興ハート!風の電話」

(テレビ岩手)

東日本大震災から3年半。全国放送での震災関連情報は、時間と共に明らかに減少している。しかし、地元のテレビ局は今も粘り強く伝え続けているのだ。

東海テレビ放送

公共キャンペーン・スポット「震災から3年~伝えつづける~」

(東海テレビ放送)

東日本大震災を伝え続けているのは地元局だけではない。被災地のメディアではないからこそ、何を、いかに伝えるかに悩みつつ、でも決してやめていない。

日清食品ホールディングス

カップヌードル シリーズ「現代のサムライ篇」「壁ドン篇」

(日清食品ホールディングス catch Six 博報堂 ティー・ワイ・オー)

このシリーズ、最近の「本音と建前編」もそうだが、外国人の目で見たニッポンが新鮮で面白い。

フォーシーズ

ピザーラ シリーズ ピザーラVSピザブラック「生地篇」「アボカド篇」

ピザーラキャンペーン「母の日にはピザーラ篇」

(フォーシーズ 東急エージェンシー 17 東北新社)

ブラック企業という言葉が日常化する中で、あえて「ブラック」を前面に押し出す勇気。コワモテなのにお母さんには弱い、遠藤憲一のブラック店長が笑える。

ベンチャーリパブリック

Travel.jp 国内エアー「空の最安値・タクシー・福岡篇」

(ベンチャーリパブリック 博報堂 REVAMP catch スプーン)

渋滞にハマったタクシーの料金で福岡から大阪まで行ける、という実に分かりやすいアピール。社内で料金メーターを睨む、本田博太郎の無念が伝わってくる。

三井不動産リアルティ

三井のリハウス「みんなの声鉛筆」シリーズ

「もう一度都心へ」「同居?or近居?」「友達と住まい」

(三井不動産リアルティ 博報堂 スプーン)

妻が家にまつわる本音を夫にぶつける様子を描くには、実写よりもソフトなアニメが有効だった。ユーモア交じりだが、そこにある真実は極めてリアルだ。

三菱電機

宇宙ステーション補給機(こうのとり)「私もユーザーです1(HTV)篇」

(三菱電機 電通 ティー・ワイ・オーエムプロダクション)

一見SF映画のようだが、宇宙ステーションに物資を運ぶ補給機が稼働している。宇宙船で食べる「栗ようかん」はどんな味なんだろう。

ミドリ安全

HiGRIP「ラーメン修行篇」

(ミドリ安全 電通 ギークピクチュアズ)

一瞬ラーメンのCMかと思うが、滑らない作業シューズのCMだ。この笑える意外性も商品力があればこそ。

琉球放送

歩くーぽん シリーズ「フォアボール篇」「外野フライ篇」「1塁にて篇」

(琉球放送 博報堂 博報堂DYメディアパートナーズ RBCビジョン)

草野球のベースからベースへ、タクシーやセグウェイで移動!? 近くても歩かない沖縄県民に向けた、「たまには歩け、うちなんちゅ」のコピーが強烈だ。

メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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