中国ウルムチのマンションで火災 ゼロコロナで消防が遅れ、人々が「人災」と抗議 SNSは削除の嵐
11月24日、夜7時50分ごろ、中国内陸部の新疆ウイグル自治区ウルムチ市の高層マンションで火災が発生した。火元となったのは15階の部屋と見られ、火は17階まで燃え広がり、煙は21階にまで達した。当局の発表によると、消防車が駆けつけて約3時間後に鎮火、10人死亡、9人が負傷した。
SNSに疑惑と怒りの声
火災の発生後、中国のSNSには、火災を悲しむ声だけでなく、すぐに当局に対する疑惑と怒りの声が広がった。というのは、消防車の到着が非常に遅かったからだ。
ウルムチ市はゼロコロナ政策の下、すでに3ヵ月以上もロックダウンされており、住民は基本的にマンションから外に出られない不自由な生活を送っている。マンションの敷地にも柵があり、周辺の道路にもいくつもの柵や検問があった。一部のSNSには、マンションの玄関も外から施錠されていた、と書かれている。
さらに、敷地や周辺には、ガソリンや電気が切れた住民の自家用車などが多数停められていたことから、消防車がマンションに接近できず、消火するまでに相当な時間がかかったと見られている。
SNSは次々と削除
24 日夜から25日夜にかけて、中国のSNS上には、燃え盛るマンションの様子を、少し離れたマンションの窓から撮影した動画や、現場の状況などを記した文章、哀悼の言葉や写真などが多数投稿された。
文章の中には、「なぜ、こんなに消防車が来るのが遅いのか?おかしいだろう?」「実際にはもっと多くの人が亡くなっているのでは。しかもウイグル人ばかりだ」などの投稿があった。
また、「消火が遅かったのはゼロコロナのせいであり、これは明らかに人災だ。なぜ、こんなことが起こるのか?」と怒りの声が広まっているが、そうした投稿は次々と検閲され、削除されている。
火災の翌日、多くのウルムチ市民が市役所の前に集まり、ロックダウン解除を求める大規模なデモを行った。火事をきっかけに、当局の対応に不満を爆発させた人々の抗議だったと見られている。
重慶でも市民の不満が爆発
中国では今月、コロナ感染者が3万人を超え、コロナの発生以降、最多を記録した。南部の広州市や南西部の重慶市、北京市などで感染者が増加しており、全国の多くの地区でロックダウンが行われている。
ウルムチで火災があった24日、重慶市ではある男性が「自由がなければ死んだほうがましだ」と市民の前で抗議した。
「政府は明らかに間違っている。しかし、ゼロコロナ政策を続けなければならない。そうでないと、政府が間違っていることを自ら求めることになるからだ」と訴え、警察に連行されそうになる出来事も起きており、多くの人々の間で不満が高まっている。