韓国はチヂミにパレード、日本はラーメン ニューヨーク、土曜のホコ天に見るお国柄
日韓の緊張関係が続く中、米ニューヨークのマンハッタンでは今月5日、同じ土曜日の日中に、それぞれの国のコミュニティーによるイベントが開かれた。韓国の伝統料理の露店が並んだほか、民族衣装などを着た人々がパレード。一方、6キロほど離れた別の場所には日本の人気ラーメン店が集結。いずれも公道を一時的に歩行者天国にして、多くの人出でにぎわった。その様子から日韓それぞれのお国柄や国民性も垣間見えた。
市警も応援
韓国系の人や店が多く集まる通称「コリアタウン」(K Town)周辺で開催された「2019 NYC KOREAN PARADE & KOREATOWN STREET FESTIVAL」は韓国の文化や伝統を紹介しつつ、コミュニティーの結束を確かめる毎年恒例の行事。今年39回目を迎えた。
歩行者天国となった路上にはキムチやトッポギ、チヂミといった韓国料理の露店が並んだ。韓国系の人たちに交じり、物珍しそうに食す外国人観光客も多く、「韓国語で『ありがとう』はなんていうの?」と尋ねる客に、店主らは「『カムサハムニダ』だよ」などと答え、交流を深めていた。日本人の姿もちらほら見掛けた。
パレードは道路を約1キロにわたって規制して行われ、チマチョゴリなどの民族衣装を着た人や、テコンドーの演武を披露する子どもたちが練り歩いた。
警備に当たったNYPD(ニューヨーク市警察)もツイッターで「アンニョンハセヨ」(こんにちは)と韓国語で投稿し、イベントへの参加を呼び掛けていた。
ラーメンの訴求力
一方の日本側のイベントとしては、食文化などを紹介する「JAPANFes」がセントラルパークの西側で開かれた。年数回開催していて今回のテーマは、今やすしをも上回る勢いの人気のラーメン。
筆者も行列に並んで食べたことのある大阪・西中島南方(にしなかじまみなみかた)の「人類みな麺類」など9店が味を競った。どのお店がおいしかったか投票する仕組みで、大勢の外国人が日本のラーメンに舌鼓を打っていた。
パレードしない日本
主催者などによると、いずれのイベントも1万を超す人出でにぎわったとされる。それぞれの国の文化を発信するという点では共通するが、パレードの有無や内容は大きな相違点だ。
韓国のパレードでは、行進する一団が通るたび、沿道の人たちが韓国と米国両方の国旗を振りながら歓声を上げていた。中には軍服を着ている人も散見された。
逆に、もしこれが日本人のパレードで、見物人が日の丸を振って、軍服姿の人も加わっていたらどうだろうか。そういう光景は想像しづらい。韓国のパレードとその見物人が醸し出す雰囲気に、一種独特なものを感じた。
ニューヨークでは韓国以外にも、ドイツやポーランド、旧正月を祝う中国や独立記念日にちなんだブラジルやメキシコのパレード、ハロウィーンやLGBTQのパレードなど、毎週のようにさまざまな目的で人々が練り歩いている。
しかし日本が大々的にパレードをしているとは聞かない。毎年ある日本コミュニティーの市内最大のイベント「ジャパンデー」の一環として、セントラルパーク内でみこしを担ぐなどした例はあるが、交通規制をして道路を闊歩する他国のパレードとは規模も質も異なる。本来「お祭り好き」の日本人の性分を考えると、数多くあるニューヨークのパレードに日本のものがないのは、不思議でもある。控えめな国民性の表れだろうか。
ただ、すしや今回のJAPANFesのラーメンといった食文化、アニメやマンガのように、一テーマだけで大勢を熱狂させる日本代表はたくさんある。それらを通じ、日本はパレードをしなくとも十分に存在感を放っていると言えそうだ。
(特に明記していない画像は筆者撮影、10月5日ニューヨーク市マンハッタンで)
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