アップル、iPhoneアプリの広告制限で「独占力」増大、テスラCEOは中国でのスパイ活動否定
筆者が注目した海外発最新テクノロジーニュース3本ダイジェストで
[1]アップル、広告制限でApp Storeの「独占力」増大
米アップルがまもなくiPhoneなどのモバイルOSに導入する新ルールによって、同社アプリ配信サービス「App Store」の“独占的な力”が増大すると、米CNBCが3月19日に報じた。
アップルは数週間のうちにアプリの広告制限を実施する予定。ターゲティング広告の配信時に必要となる端末固有の広告用識別子「IDFA(Identifier for Advertisers)」をアプリが取得する際、ポップアップ画面を出し利用者に許可を求めることを義務付ける。
新ルールが導入されれば、多くの利用者が追跡を拒否すると予想される。
アップルは「新ルールの導入はプライバシー保護が目的だ」としている。だが、同社にとって有益な副産物も生まれるという。
専門家は、アプリ内広告を通じたアプリのダウンロードが減少するとみている。アップルは自社の利益拡大に都合のよいアプリを画面上位に並べることが可能で、どのアプリを多くダウンロードさせるかをコントロールできてしまうという。
またアップルは、App Store内検索広告による収入も増やすことができると専門家は指摘している。
[2]テスラCEOが中国でのスパイ活動否定
米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が中国・北京で開催されたフォーラムにオンラインで出席し、「テスラ車によるスパイ活動」を否定した。ロイターや米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが3月20日に報じた。
これに先立つ同19日にウォール・ストリート・ジャーナルは、中国政府が政府・軍・国営企業の幹部らによるテスラ車の利用を制限していると報じた。車載カメラで周囲の映像を常に録画できるほか、車の利用時間や位置情報、スマートフォンに保存されている連絡先情報なども入手できることが分かったという。
マスクCEOは「テスラ車が中国などでスパイ活動に利用されるようなことがあれば、当社は事業を続けられなくなる。我々には秘密を守る強い動機がある」と述べた。
米政府は中国・華為技術(ファーウェイ)などの通信機器が米国安全保障上の脅威になるとして国内通信網から排除しており、米中の対立が深まっているという。
[3]米下院小委員長、GAFA規制に向け複数の法案を準備中
米議会下院反トラスト小委員会のシシリーニ委員長が、GAFAと呼ばれる米グーグルや米アップル、米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コムを対象にした複数の法案を準備中だと、ロイターが3月21日に報じた。
比較的小規模の法案を10以上提出する計画。テクノロジー大手やそのロビイストからの批判や抵抗のリスクを下げる狙いがあるという。
下院反トラスト小委員会は2020年10月、4社を対象にした反トラスト法調査の報告書をまとめた。4社がそれぞれの市場で独占的な力を享受していると結論付け、反トラスト法の改正や法執行の強化を求めている。
シシリーニ委員長はSNS(交流サイト)運営企業を保護している「通信品位法(CDA)230条」に関する法案も準備している。
同法230条では利用者の投稿についてSNS企業の法的責任を免除する一方、自らの裁量による投稿の削除を認めている。米議会や米当局は同条の改正あるいは撤廃を目指しているという。