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今冬一番の寒さと12月5日夜の東京・横浜・千葉の初雪の可能性

饒村曜気象予報士
西高東低の気圧配置と日本海北部の筋状の雲(12月4日15時)

今季一番の寒気

北日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置となって寒気が南下しており、12月5日の朝は東京都心で初霜を観測するなど、今季一番の冷え込みとなりました(表1)。

表1 令和4年(2022年)の初霜
表1 令和4年(2022年)の初霜

 東京の初霜は平年より19日も早かったのですが、熊谷では平年より15日遅い初霜でした。

 日本海北部には、寒気の南下を示す筋状の雲が出ており、東日本日本海側~北日本は雪や雨となっています(タイトル画像参照)。

 東日本日本海側~北日本は雪や雨となっていますが、この雪や雨は、あす5日以降も続く見通しですので、しばらくは交通障害、路面凍結やなだれなどにも注意が必要です。

 筋状の雲は、大陸から少し離れた海域から発生していますが、本格的な冬になれば、大陸のすくそばから発生し、日本海の全域に広がります。

 まだまだ、冬の始まりです。

 令和4~5年(2022~23年)の冬は、10月25~27日の寒気南下で始まったといえます。最低気温が氷点下となる冬日が、全国の約20パーセントで観測されました。

 その後、しばらくは冷え込まなかったのですが、立冬の少し前から冬日の観測地点数が増え、しかし冬日の観測地点数は、全国で気温を観測している915地点のうち約200地点(全体の20パーセント強)前後から大きく増えていませんでした(図1)。

図1 夏日と冬日の観測地点数の推移(10月16日~12月4日)
図1 夏日と冬日の観測地点数の推移(10月16日~12月4日)

 冬への歩みが止まったのですが、12月に入ると強い寒気が南下し、季節が大きく冬へと進み、12月3日の冬日の観測地点数は、518地点(全体の約57パーセント)と、過半数となっています。

 なお、最高気温が0度未満の真冬日は、12月1日に北海道を中心に165地点(約18パーセント)で観測していますが、3日から4日は日中に気温が上昇したため100地点を大幅に下回っています。

 札幌も、12月1日と2日は真冬日でしたが、3日の最高気温は3.0度、4日の最高気温が1.4度と、真冬日ではありませんでした。

南西諸島付近の停滞前線

 南西諸島から西日本の太平洋側では停滞前線の影響で曇りや雨となっており、この停滞前線が東に移動してくる5日は概ね晴れた東日本太平洋側も雲が多くなりそうです(図2)。

図2 予想天気図(左は12月5日9時の予想、右は12月6日9時の予想)
図2 予想天気図(左は12月5日9時の予想、右は12月6日9時の予想)

 晴れると気温は平年並みか平年より高くなりますが、関東や北陸~北海道では曇りや雨のため、平年より低くなりそうです。

 特に関東地方は、停滞前線そのものは離れて通過しますが、5日夜には、その北側に小さな低気圧が発生する見込みです。

 このため、東よりの風が吹いて気温があまり上がらないと考えられます(図3)。

図3 東京の気温変化と気温予報(12月3~7日)
図3 東京の気温変化と気温予報(12月3~7日)

 朝の最低気温は7度、日中の最高気温は9度と、一桁の温度です。

 そして、週明けの夜(12月5日夜)はさらに冷え込み、5日朝には5度位となる見込みです。

 5度というと、空気が乾燥していた場合には雪が降る温度です。

令和4年の初雪

 令和4年(2022年)11月30日は、西高東低の冬型の気圧配置が強まり、強い寒気が南下し、青森、秋田、山形では初雪を観測しました(表2)。

表2 令和4年(2022年)の初雪
表2 令和4年(2022年)の初雪

 その後、12月2日に仙台や新潟などで平年より遅い初雪を観測しましたが、佐賀では平年より9日早い初雪の観測でした。

 3時58分から4時18分の間でみぞれが降ったことから初雪の観測です。その時の気温は3.3度でした。

 各地の気象台職員が目視で行った各種観測は、平成31年(2019年)2月の関東甲信地方の8地方気象台を皮切りに、令和2年(2020年)2月からは青森など37地方気象台で自動化に移動しています。

 目視での観測を機器での観測と併用して行っているのは、札幌・仙台・東京・大阪・福岡の管区気象台と沖縄気象台、新潟・名古屋・広島・高松・鹿児島の地方気象台だけとなっています。

 この自動化により、管区気象台等の一部の気象官署を除き、目視で行っていた雲の量や形、視程(見通せる距離)の観測は終了しており、天気や初雪などの観測は新しい方法での観測に変わっているのです。

 つまり、11の観測地点以外の初雪の観測は、自動観測による天気の判別に基づいて、雪を判別し、それをもとに初雪を発表しています。

 自動観測となると、人には感じきれない微妙なみぞれを感知することがあります。

 みぞれは、雪と分類されますので、みぞれが降ると雪が降ったと判断されます。

 このため、自動観測による初雪は、目視による観測より早めの観測となります

 特に、暖かい地方ほど早い観測となります。

 12月2日に発表された初雪情報は、仙台と新潟が目視での観測によるもので、福島、長野、佐賀が自動観測によるものです。

関東南部での初雪

 令和3年(2021年)の横浜の初雪は、自動観測によるものでしたが、12月14日です(図4)。

図4 地上天気図(平成3年(2021年)12月14日9時)
図4 地上天気図(平成3年(2021年)12月14日9時)

 高気圧と高気圧の間で小さな低気圧が発生し、関東南部を中心に日中が雨となり、気温が上がりませんでした。

 この日の横浜で初雪を観測したのは、みぞれが降ったと判断される時間帯が、9時から10時の間に、細切れをあわせて17分あったからです。

 湿度は51パーセントでしたが、気温は約6度と一般的には雪が降るにしては高い気温でした。

 12月5日夜から6日朝の東京の気温は5度、横浜の気温は5度、千葉の気温は6度くらいまで下がる予報です。

 東京は目視観測ですが、横浜と千葉は初雪を観測しやすい自動観測ですので、昨年の例からすると、横浜と千葉では初雪の可能性が十分あると思われます。

 また、東京も、気温が予報より少し下がれば初雪の可能性があると思われます。

【追記:12月6日13時】

 自動観測地点の宇都宮では、12月6日3時過ぎにみぞれが降りました(気温2.2度、湿度が95パーセント)。平年より10日早い初雪の観測です。

 関東の気象官署で、今季初の初雪の観測でした。湿度が高い中での降水であったったため、宇都宮以外の関東の気象官署では初雪を観測しませんでした。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。

図1、表1、表2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、図4の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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