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【浜松市】竜巻(突風)被害から約3週間。「ばらの都苑研究畑」(中央区)の様子は?(9月22日撮影)

麻生のりこ旅ライター・地域情報発信ライター(浜松市)

2024年10月3日(木)の夕方に竜巻と見られる突風が発生してから約3週間。

毎年、春と秋のバラを中心とし、さまざまな花で訪問者を楽しませている「ばらの都苑研究畑」も被害を受けてしまいました。

発生当初は複数のメディアで取り上げられていましたが、その後、どこまで復旧したのかを取り上げるメディアはないように思えます。

気になった私は10月22日に訪問しました。

ばらの都苑研究畑の出入り口
ばらの都苑研究畑の出入り口

「ばらの都苑研究畑」は浜松市郊外にあるオープンガーデンで、300品種・約1500株のバラが苑内を彩どります。

…と、本来ならばこのような説明をしますが、今年の秋バラは10月3日(木)の夕方に発生した竜巻と見られる突風の被害を受けたため、見頃を迎えられませんでした。

「歓迎」プレートを掲げていたゲートも、このように寂しい雰囲気です。

出入り口ゲートから見た苑内
出入り口ゲートから見た苑内

苑内に入ると目を惹いた「ばらの都苑研究畑」の名板(名称板)の周囲にも、咲いているバラの花はほぼありません。

テレビニュースで「竜巻と見られる突風で蕾が吹き飛ばされた」と聞いてはいましたが、まさかこれほどとは…。

苑内には苑主の天野和幸さんと、先客の姿が見えました。

建物の場所はビニール屋根の温室と骨組みだけのテントの間
建物の場所はビニール屋根の温室と骨組みだけのテントの間

少し歩いた左側には脚立や天板を乗せた一輪車などが。

ここは天野さんの思い出の品が詰まった建物が立っていた場所です。
けれど、あの竜巻と見られる突風で建物の屋根が吹き飛ばされてしまい、この日はコンクリートの基礎上に角柱が組まれていただけでした。

通路右側には被害に遭って折れてしまったのでしょうか、まだ切断面が新しいバラも。
奥に見える門やフェンスにもバラは咲いていないように見えました。

そこで、ふと右側を見ると、

雑木林の中に見える白いモノ(黄色の円内)
雑木林の中に見える白いモノ(黄色の円内)

…ん? 雑木林の中になにやら白いモノが見えるけど、あれはいったい?

すると苑主の天野さんが「あの白いのは奥にあったテントの屋根だよ。テントの屋根が2枚引っ掛かって、下の木に引っ掛かっていた1枚は撤収できたけど、もう1枚はまだなんだ」と教えてくださいました。

テントの屋根…!

たしかにあの下にはテントがあり、そこは日差しの強い日に河津桜やユリなどを鑑賞する際に嬉しい日陰ポイントだった記憶があります。あのテントの屋根が…。

傾いた鐘(中央)と飛ばされたテントは直線上にある
傾いた鐘(中央)と飛ばされたテントは直線上にある

「あとね、あそこに見える鐘は、どこかから飛んできた大きなベニヤ板2枚を受けて傾いちゃった」とも。

わわわわわ。

驚きながらも、天野さんに案内されるままに傾いてしまった鐘へと近づけば近づくほど、鐘の傾き加減がはっきりと分かりました。

…あっっ! 屋根が飛ばされたテントは傾いた鐘の直線上にある!

ここを風が通り抜けたのね!!

傾いた鐘、左上:苑内に残る飛散物の一部
傾いた鐘、左上:苑内に残る飛散物の一部

さらに鐘の向こう側に見えるフェンスにも、どこかから飛んできた大きなベニヤ板が1枚引っ掛かっていたそう。

「フェンスに引っ掛かっていた板は、1日かけて片づけたんだよ」

何とも言えず足元に視線を落とすと、飛散物のトタンの一部がまだ残っていました。

被害から約3週間の間に大きな飛散物は片づけたようですが、細かなものまでは手が回らないようでした。

アーチに咲くバラ
アーチに咲くバラ

ただ、苑内のあちこちにはご覧のように咲いているバラも。
つぼみが沢山ついている枝もありました。

希望のバラだ…。

感慨に耽りながらバラの花を眺めた後、飛ばされたテントの屋根を見ようと奥へ進むと…

折れた花桃
折れた花桃

…あ!
花桃が折れてる…。

そう、花桃並木は傾いた鐘と屋根が飛ばされたテントの間に位置していることから、何本か被害を受けてしまったようです。

「あそこの花桃は3色の咲き分け花桃なんだよね」と天野さん。

そうそう、3色の咲き分けで、私のお気に入り花桃でした。

屋根が飛ばされたテント跡と雑木林
屋根が飛ばされたテント跡と雑木林

ここで昼食休憩を取る天野さんと分かれ、1人で奥へと進みました。

あ~、この場所だ。ここにテントがあって、河津桜を見た時に、ひと休みできたんだよね。

よく見ると、河津桜の枝も何本か折れていました。

10月3日夕方に発生した竜巻と見られる突風被害は、東名高速道路の浜松西インター周辺で約40軒ほど。
そのうちの1軒がここ「ばらの都苑研究畑」なんです。

大きなカブは大丈夫!
大きなカブは大丈夫!

そうそう。

昼食休憩に行く前の天野さんから、毎年3月に地元の小学校低学年生を対象とした「大きなカブ引き抜き体験」用のカブの様子を伺ったところ、それは大丈夫とのこと。

これから大きく成長するであろうカブは、バラの下や空いている場所に何株か植えられていました。

ミニつるバラ
ミニつるバラ

苑内の様子は発生直後のメディア映像等と比べれば、ずいぶんと片付けが進んだようです。

屋根が飛ばされてしまった建物の工事は、地元の建築関係者の方と相談して進める予定なのだとか。

なんと、先客は地元の建築関係者の方だったのです。

ミニつるバラ(2022年5月18日撮影)
ミニつるバラ(2022年5月18日撮影)

苑内のバラの花は、天野さんが26年前に亡くなった奥さまへの想いを込めて育てています。

「動けるうちは動く。そして来年の春にはまたバラの花を咲かせる!」

天野さんによる復旧作業はまだまだ続きます。

<施設情報>

名  称:ばらの都苑研究畑
住  所:静岡県浜松市中区花川町
アクセス:東名高速道路「浜松西」ICから北北東へ約10分
駐 車 場:あり

2024年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
※天野さんから取材・撮影・掲載許可を取得済み

旅ライター・地域情報発信ライター(浜松市)

日本史ミーハーな旅ライター。トラベルメディアでは国内の観光スポットなどをめぐり、取材記事を執筆しています。旅先で好きなこと⇒マンホールの蓋探し・西洋館探訪・神社仏閣参拝・城めぐり(18/100) / 2017大河ドラマ直虎まだまだ応援中。ここでは静岡県浜松市へ出掛けたくなる情報を発信します。

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