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【浜松市】浜名区・森の色を草木染めで表現!森林公園バードビア浜北で企画展示「森の色」を開催中

麻生のりこ旅ライター・地域情報発信ライター(浜松市)

浜名区(旧浜北区)にある県立森林公園バードピア浜北のエントランスでは、公園内の植物を使用した草木染めによる企画展示「森の色」を開催しています。
入館料は無料で、開催期間は2024年8月18日(日)から2025年3月31日(月)まで。

展示内容は森林公園内の植物の染色結果だけではなく、使用した植物についての解説パネルや染色時の模様のつけ方など。

今回は草木染めで表現した森の色の世界を、画像多めでご紹介します。

静岡県立森林公園のビジターセンター・バードピア浜北の外観
静岡県立森林公園のビジターセンター・バードピア浜北の外観

バードピア浜北は「自然とのふれあい」をテーマにした施設で、浜松市浜名区(旧浜北区)の郊外に広がる静岡県立森林公園のほぼ中央に位置しています。

バードピア浜北の企画展「森の色」正面パネル
バードピア浜北の企画展「森の色」正面パネル

企画展「森の色」の展示場所は、玄関ポーチから入ってすぐのエントランス。

エントランスに一歩足を踏み入れると、同公園内で採取した植物を利用した草木染めの大型パネルが現れます。

企画概要(右)と展示パネル(左)
企画概要(右)と展示パネル(左)

草木染めとは自然の植物の花や葉、茎、樹皮などの染材(染色材料)を煮出して抽出した染液(染色液)に、染めたい布を漬けて染めること。
落ち着いた色合いで密かに人気の染色方法です。

この企画展「森の色」は公式サイトによると

森の色ってどんな色?静岡県立森林公園の管理作業で出た草木約30種を草木染しました。様々な色から森の姿を見てみましょう。

とありました。

さて、いったいどのような森の姿が見られるのでしょうか。

バードピア浜北の企画展「森の色」正面パネル全部(ほぼ中央列の落羽松〔らくうしょう / アルミ媒染〕は展示品入れ替え中のためありませんでした)
バードピア浜北の企画展「森の色」正面パネル全部(ほぼ中央列の落羽松〔らくうしょう / アルミ媒染〕は展示品入れ替え中のためありませんでした)

上の画像は正面パネルの端から端までを写したものです。

「え? 上の方にあった画像のパネルと色が違う」と思う方もいますよね。
そう、草木染めは色合いが淡く、さらに光の加減で見え方が変わるんです。

そのため私も撮影時はあえて曇天を選びました。それでも僅かな光の加減で変わってしまうんです。

パネルへの展示品は全部で74点。
これが同公園内の植物が持つ「森の色」から成る「森の姿」…!

展示パネルの中央から左側
展示パネルの中央から左側

展示パネルの中央から右側
展示パネルの中央から右側

展示パネルを見ると、左側には灰色や褐色系の色が、右側はピンクや淡い茶色の色に分かれ、中央列には黄色やピンクなど彩度の高いものが並んでいました。

展示パネルの中央付近は鮮やかな色合いが並ぶ
展示パネルの中央付近は鮮やかな色合いが並ぶ

「パネル左側は主に鉄媒染のもので、右側は主にアルミ媒染のものなんです。特に意識はしてなかったんですが、色で分けたらこうなってしまいました」と、同企画展示開催に向けて染め作業の協力をされた望月葉子さん。

バリエーション豊かな色は媒染液(染色後の布へ色を定着させる液体)の違いが大きかったようです。

梔子(くちなし)の右隣ある茜(あかね)は、今ではすっかり珍しくなってしまった日本茜を使用しているんですよ。

画像中央付近の4点の染材はすべて「臭木」
画像中央付近の4点の染材はすべて「臭木」

展示で使用した植物は約30種類。けれど展示品は全部で74点です。
ということは、重複している染材がある…?

そこで展示品をよ~く見ると、同じ染材を使っても媒染液の違いから微妙に異なっているものがいくつかありました。

その一例が中央列の梔子と米利堅刈萱(めりけんかるかや)の左側に4点集まって展示されている臭木(くさぎ)です。

同じ染材でも媒染により染色結果が異なる(斜めに配置されている赤松はアルミ媒染とアルミ媒染後に柔軟剤で濃染処理を加えたもので、見比べると色合いが少~しだけ違う)
同じ染材でも媒染により染色結果が異なる(斜めに配置されている赤松はアルミ媒染とアルミ媒染後に柔軟剤で濃染処理を加えたもので、見比べると色合いが少~しだけ違う)

そのほかにも染材が同じでも媒染液を変えることで異なる染色結果となるのは、赤松(あかまつ)や瓜楓(うりかえで)、一つ葉(ひとつば)、小鮒草(こぶなぐさ)などなど。

気になる方は、ぜひ実物をご覧くださいね。

約30種の染材について写真と文章で説明している展示パネルの裏側
約30種の染材について写真と文章で説明している展示パネルの裏側

染色結果の裏面は、企画展で用いた約30種類の染材植物について写真と文章とで紹介しています。

並んでいる写真は花や実、葉などその植物の特徴を捉えたものはもちろん、染材となる部分に焦点を当てたものたち。
表面とはがらりと違う様子で、これはこれで圧巻…!

1つの染材ごとに複数の写真を使い分かりやすい
1つの染材ごとに複数の写真を使い分かりやすい

なかでも私が目を留めたのは、五倍子(ふし)です。

五倍子の場合、染材となるのは花や実などではなく、ヌルデの木に作られた虫こぶで、古くは「お歯黒」の材料としても使用されていたそう。

わあ…虫こぶが染材に…!
森林公園の散策時にキョロキョロ探してしまいそう。

企画展コーナー出入り口の左側は、アカマツやソヨゴのさまざまな染色結果が並ぶ
企画展コーナー出入り口の左側は、アカマツやソヨゴのさまざまな染色結果が並ぶ

企画展コーナーの展示品
企画展コーナーの展示品

パネル以外の展示品は、アカマツやソヨゴのさまざまな染色結果が並ぶ「草木染 色見本」や、染材となる数種類の植物の成長過程などを解説したテーブル、草木染め時につける模様のつけ方などが置かれたテーブルなど、見ているだけでも楽しめます。

テーブル上では染材見本(ケース入り・実物)を交え、成長過程などを手書きで分かりやすく解説
テーブル上では染材見本(ケース入り・実物)を交え、成長過程などを手書きで分かりやすく解説

先述したアカネや五倍子の実物はテーブル上に。

草木染めの方法は、これらを煮て色素を抽出した染液の中に染めたい布や糸を漬け込み、その後に水洗いと媒染を繰り返して乾燥させます。

絞り染め(纐纈 / こうけち)と板締め(夾纈 / きょうけち)による草木染めの模様のつけ方いろいろ
絞り染め(纐纈 / こうけち)と板締め(夾纈 / きょうけち)による草木染めの模様のつけ方いろいろ

布へ模様を入れたい場合は、染液に漬け込む前に、布を絞ったり板で挟んで締めたりして模様をつけます。

草木染めに興味を持った方は、2025年2月24日(月・祝)に開催される「やってみよう!かんたん草木染め ワークショップ」でのオリジナルハンカチ作りに参加してみてはいかが?

やってみよう!かんたん草木染め ワークショップ

開 催 日:2025年2月24日(月・祝)
時  間:1)午前の部 10:00~11:30
     2)午後の部 13:00~14:30
定  員:12名
対  象:年長~おとなまで
参 加 費:200円(材料代・保険代)1人1作品
会  場:「バードピア浜北」作業室
申し込み:2024年9月3日(火)より先着順、公式サイト内のフォームから受付開始
※定員に満たない場合は当日も受け付けます

染材は園内管理作業で除草した外来植物など。どんな色に染まるのか楽しみですね。

静岡県立森林公園のビジターセンター「バードピア浜北」で、同公園内の植物が持つ森の色をこの機会にご覧ください。

<基本情報>

施 設 名:静岡県立森林公園 ビジターセンター「バードピア浜北」
住  所:静岡県浜松市浜北区尾野2597-7
入 館 料:無料
開館時間:9:00~16:30
休 館 日:毎週水曜 祝日の場合はその翌日、年末年始(12月29日~1月3日)
駐 車 場:500台(無料)
静岡県立森林公園バードピア浜北の公式サイト(外部サイト)

なお、2024年5月28日の大雨による土砂崩れにより、林道・岩水寺線(龍宮山岩水寺から上る道)は当面の間通行止めとなっております。車両も歩行者も通行できません。

復旧作業の工期:令和6年12月10日(火)まで
※ ただし、工事終了後に清掃等実施されたのちに、通行止めは解除となります

2024年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

旅ライター・地域情報発信ライター(浜松市)

日本史ミーハーな旅ライター。トラベルメディアでは国内の観光スポットなどをめぐり、取材記事を執筆しています。旅先で好きなこと⇒マンホールの蓋探し・西洋館探訪・神社仏閣参拝・城めぐり(18/100) / 2017大河ドラマ直虎まだまだ応援中。ここでは静岡県浜松市へ出掛けたくなる情報を発信します。

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