「一刻も早く、この異常な状況を正さないと」SEALDs、総がかり行動、野党議員らが安保法制施行に抗議
憲法で禁じられた集団的自衛権の行使、つまり日本が攻撃されていなくとも米軍などの外国の軍隊に自衛隊が助太刀できるようになる安保法制。その違憲性が指摘されながらも、昨年9月に数々の手続きを経ずに強行採決され、昨日3月29日午前0時に施行された。これに対し、同日夕方から、昨夏国会前で数万人から10万人以上の規模で抗議活動を行ってきた「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」や、「SEALDs」(シールズ)などの呼びかけで、再び国会前の歩道を多くの人々が埋め尽くした。
抗議行動は、29日18時半から「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」から始められ、野党4党の国会議員も駆けつけた。民進党の枝野幸男幹事長は「安倍政権は北朝鮮のミサイルを安保法制の正当化に利用しているが、それは個別的自衛権で対応可能。集団的自衛権は必要ない」とした上で、「一刻も早く、この異常な状況を正さないと」と安保法制廃止や安倍政権打倒を訴えた。共産党の山下芳生参議院議員も、「自民党の谷垣禎一幹事長が、安保法制批判を蒸し返すな、と言っていましたが、冗談じゃない。立憲主義が壊されたままでは独裁ではないか」と憤った。社民党の吉田忠智党首は「安保法制は、そもそも安倍首相が国会より先に、米国の議会で勝手に約束してきたもの」と安倍政権の対米追従を批判。「野党共闘をさらに進めていく」と今年夏の参院選への意気込みを見せた。生活の党からは国内で最も多くの米軍基地を抱える沖縄選出の玉城デニー衆議院議員が発言。「辺野古沖の米軍基地移設は一時的に落ち着いているが、それでも辺野古ありきの自民党の姿勢は変わらない」と、批判した。
「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の高田健さんは「今、新たな戦前とも言うべき状況になっている。でも、かつての戦前とは違う。こんなに多くの人々が国会前にいて、野党も反対している。戦争をさせないために、これからもっと頑張っていこう」と呼びかけた。
続いて、学生団体「SEALDs」が主導する第二部となり、SEALDsのメンバーや学者、元自衛官などが発言した。自衛隊を取材するジャーナリストの布施祐仁さんも発言。ある自衛隊員の母親から聞いた話として、南スーダンに派遣されて現地の少年兵を撃てるのかとの母親の問いに自衛官は「子どもを撃つくらいなら自分が死ぬ」と言っていたと報告。「自衛隊は国益追及のための道具じゃない。専守防衛はどこに行った?」と訴えた。
また、SEALDsの奥田愛基さんは「安保法制が施行されても、(廃止することを)諦めない人々がいるんだ、ということをメディアに伝えてもらいたい。仕事とかで国会前に行けない人々も、メディアで俺達の姿を観て、自分も何かしようという気になってくれたら嬉しい」「戦争反対!戦争をしないこの国が好きだ」と訴えた。SEALDsのメンバーによる「戦争反対」「安倍はやめろ」「みんなの生活に税金使え」とコールに参加した人々も声を合わせ、終電間際の深夜までその熱気は続いた。
昨晩、国会前に集まった人々は、同日20時前の総がかり行動実行委員会の発表で3万7000人。昨夏、安倍政権を悩ませた、安保法制反対の諸勢力が、参院選に向けて再び活動を活発化させてきているのを見せつけた抗議行動だった。
(了)