井上尚弥VSフルトン戦が負傷で延期 ボクサーにとってのケガのリスクとは
ボクシングWBC・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチを控える井上尚弥(29=大橋)が、拳の負傷により試合の延期を発表した。この試合は5月7日に横浜アリーナで行われる予定だった。
延期の決断
拳のけがはスパーリング中に負ったもので、幸い骨に異常はなく1ヶ月ほどで回復する見通しだ。井上は強行を主張していたが、所属ジムの大橋会長やトレーナーを含めて話し合い、延期を決断したようだ。
対戦相手である王者スティーブン・フルトン(28=アメリカ)は、スーパーバンタム級で最強の呼び声が高く、今回の試合は井上にとってスーパーバンタム級での初戦となる。万全な状態でリングに上がらなければリスクも高い。
試合まで約1ヶ月半あるため、延期は賢明な判断だろう。井上は自身のSNSで下記のように語った。
けがのリスク
ボクサーは常にけがのリスクと戦っている。相手からのパンチによる眼底骨折や目の上のカット、肋の骨折などはよく聞く話だ。
そして、今回のように自身のパンチによるけがもある。拳や肩など、試合中はもちろん練習中に負傷する選手も多い。
特に、対人練習が一番けがにつながりやすいものだ。
自分のペースでできるミット打ちやサンドバッグ打ちと違い、想定外の動きをされ、意図せずパンチが硬い部分に当たり、負傷する場合がある。
特に井上のパンチは威力が桁違いだ。全身の力を拳に集中させて打つため、日頃からけがのリスクはあっただろう。
スーパーバンタム級での初戦に向けて強打を意識し、バンタム級時代からのフィジカルトレーニングも加わり、これまで以上に拳に負担がかかっていたのは確かだ。
私も現役時代、拳を負傷したことがある。試合中だったため片手で戦わなければならず、負傷した手は尋常でない痛みに襲われていた。試合後に脱臼していたことが判明し、手術やリハビリなど完治するまでに半年もかかってしまった。
拳のけがは癖になりやすいため、今は無理をせず治療に専念してほしい。
夏に向けて
延期となった試合は7月頃に開催予定とのことだ。拳を完治させるには十分な期間だろう。万全の状態でリングに上がって欲しい。
延期が発表され、対戦相手のフルトンはSNSに下記の動画を投稿している。
試合まで1ヶ月以上あったため、まだお互い本格的な減量や調整に入っていなかっただろう。
ボクサーは過酷な減量やトレーニングを乗り越えて試合に臨む。試合までの日数が近ければ近いほど中止による精神的ダメージは大きい。
今回の延期は井上にとって辛い選択だっただろうが、気持ちを切り替えて進んで欲しい。井上の怪我回復と今後の活躍に期待したい。