春休みは「免許取り立て」若者の事故が多発 車運転の前に大事なチェックを
3月15日夜、神奈川県藤沢市で、免許取り立ての高校生による痛ましい交通死亡事故が発生しました。
■高3男子運転の車にはねられ男性死亡 神奈川(産経新聞、3/16)
15日午後7時半ごろ、神奈川県藤沢市長後のコンビニエンスストア「セブンイレブン藤沢長後東店」の駐車場内を歩いていた近くに住む医師の関哲哉さん(49)が、進入してきた軽乗用車にはねられた。関さんは病院に搬送されたが、心臓が破裂するなどし約2時間後に死亡が確認された。県警藤沢北署は車を運転していた高校3年の男子生徒(18)を自動車運転処罰法違反(過失致傷)の疑いで現行犯逮捕した。同署は容疑を過失致死に切り替え、事故の経緯を調べる。(以下略)
男子生徒は1か月前に運転免許を取得したばかりだったそうです。
記事によれば、相当のスピードを出していたようで、駐車場内の別の車にも衝突したとのこと。まさに、免許取り立ての未熟な初心者ドライバーによる重大事故が起こってしまったのです。
高校を卒業し、これから次なる輝かしいステージに向かう矢先、かけがえのない一人の命を奪ってしまった少年。
未成年が起こした事故の場合は本人だけでなく、保護者も一瞬にして大変な責任を負うことになってしまうのです。
■若者(16~19歳)の事故多発。高齢者事故の比ではない
高齢者による加害事故の報道が目につく昨今ですが、交通事故全体を見てみると、実は、免許取り立ての若者が起こす事故の比率が非常に高いのが現実です。
警察庁の交通統計(平成29年)で見てみましょう。
上のグラフは、『原付以上運転者(第一当事者)の年齢別免許保有者10万人当たりの交通事故件数』を表したものです。
「第一当事者」とは、事故当事者のうち最も過失の重い者、つまり「加害者」の立場になった運転者のことを指します。
これを見ると、16~19歳の運転者(グラフの一番左)が「加害者」になる事故率の高さが、他の年齢層と比べて群を抜いていることが一目瞭然でわかります。
冒頭で取り上げた事故の加害者も高校生(18歳)でしたが、このグループに属しています。
免許更新時に渡される教本『みんなを守る安全運転』には、
「若年運転者は追突事故を起こしやすい傾向にあり、その原因は、わき見運転、漫然運転が多くなっている」
「若年運転者は、『自分は運転がうまい』と思い込んでおり、速度の出しすぎや強引な追い越しなどをしやすい」
と記載されています。十分に気をつけてください。
■「免許取り立て」の危険性を親子で認識する
免許を取った直後は、誰でもハンドルを握りたくて仕方がないものです。まだ自分の車は所有していなくても、家族の車を借りて運転を始める人もいるでしょう。
しかし、いくら運転免許の試験に合格していると言っても、初心者はやはり運転が未熟です。若さゆえのスピードへの憧れや、実際の運転技術以上に背伸びをしたい気持ちも起こるかもしれません。
免許取り立ての高校生や大学生をお持ちの保護者の方々は、初心者による悲惨な事故がいかに高い比率で起こっているか、上記グラフを見ながら、親子でしっかりと話し合い、現実を認識する必要があるでしょう。そして、免許を取って間もない時期は、経験者が助手席に座るなど、心して対応してください。
春休みのこの時期には免許を取得する人も多いので、特に気をつけていただきたいと思います。
■自動車保険の「年齢条件」変更を忘れずに!
高校生や大学生の子どもが新たに運転免許を取得した場合、絶対に忘れてはならないのが自動車保険の年齢条件変更です。
一般的に大人が所有する車の場合、年齢条件は高く設定されているはずです。しかし、10代の子どもがハンドルを握る可能性が出てきた場合は、子どもが乗り出す前に必ず保険会社に連絡をして、契約条件を変更しておいてください。
実際に、この時期には、「自動車保険には加入しているけれど、年齢条件が合わず、保険がおりない」という悲惨な事故のケースが少なくありません。
死亡や重傷事故の場合は、自賠責保険だけではとても足りず、任意保険が未加入だと加害者側も被害者側も大変なことになります。
自動車保険の年齢条件を下げると、保険料はどうしても高額になりますが、それは「損害率」の高さ、つまり加害事故の多さの裏返しでもあります。
ハンドルを握ることが、いかに大きな責任を持つか……。
保険料率の仕組みも併せて、この機会にしっかりと理解することが大切です。
「明日連絡をしようと思っていた……」
「ちょっとそこまで練習するつもりだっただけなのに」
と、いくら悔やんでみても、今日起こった事故はもう取り返しがつかないのです。