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3シーズン連続10本塁打ちょうどの捕手が、今月8本目のホームラン

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・ヒガシオカ/捕手はコナー・ウォン Jun 28, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月28日、カイル・ヒガシオカ(サンディエゴ・パドレス)は、5回表にホームランを打った。前々日に続く、2試合連続ホームラン。前々日は1試合2本塁打なので、2試合で計3本だ。

 過去3シーズンのホームランは、2021年が10本、2022年が10本、2023年も10本だ。けれども、4シーズン連続10本塁打ちょうどには、なりそうにない。6月28日のホームランは、今シーズン9本目だ。パドレスは、レギュラーシーズンが終わるまでに、あと76試合を行う。

 ヒガシオカは、父方に日本人のルーツを持つ、日系4世の捕手だ。今シーズンは、メジャーリーグ8年目。昨シーズンまでは、ニューヨーク・ヤンキースでプレーしていた。3シーズン連続10本塁打の前、最初の4シーズンのホームランは、0本、3本、3本、4本だ。昨年12月にヤンキースがホアン・ソトトレント・グリシャムを獲得したトレードで、その交換要員の一人として、パドレスへ移籍した。

 今シーズンも、5月を終えた時点では、1本塁打に過ぎなかった。ところが、今月のホームランは、8本を数える。

 もともと、パワーのポテンシャルは、低くなかった。マイナーリーグでは、2016年に102試合で21本のホームランを打ち、2019年はAAAの70試合で20本塁打を記録した。

 また、2022年のスプリング・トレーニングは、11試合で7本塁打。この本数は、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)の8本塁打(13試合)に次ぎ、両リーグで2番目に多かった。

 10本塁打ずつの過去3シーズンは、19.30打数/本、22.90打数/本、24.20打数/本のペースだ。例えば、昨シーズン、30本塁打のボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)は21.37打数/本、26本塁打のテオスカー・ヘルナンデス(当時シアトル・マリナーズ/現ロサンゼルス・ドジャース)とトレイ・ターナー(フィリーズ)は、24.04打数/本と24.58打数/本だった。

 ヒガシオカは、メジャーリーグで100試合以上に出場したシーズンがない。打席は、どのシーズンも270に達していない。今シーズンも、ルイス・カンプサノに次ぐ2番手の捕手として開幕を迎え、ここまでは33試合で100打席だ。

 今月下旬にカンプサノが左手の親指を痛め、そこからは、ヒガシオカがメインの捕手――ブレット・サリバンが控え――となっているものの、カンプサノの復帰後は、2番手の捕手に戻ることもあり得る。ヒガシオカのシーズン出塁率は、2023年の.274がベストだ。今シーズンも.250に過ぎない。

 もっとも、今月に限ると、16試合の52打席で出塁率.346を記録している。ホームランの量産もさることながら、出塁率を保つことができれば、カンプサノよりスタメンマスクが多くなってもおかしくない。

 カンプサノは、メジャーリーグ5年目の25歳だ。昨シーズンは49試合で7本塁打と出塁率.356を記録したが、今シーズンは66試合で5本塁打と出塁率.282にとどまっている。スタットキャストによると、フレーミングなどの守備は、ヒガシオカがカンプサノを凌ぐ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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