2020年クリスマスケーキ予約開始!都内ホテル、今年のトレンドと変化とは?
2020年のクリスマスは、これまでと何が変わるのか?
2020年のクリスマスケーキ商戦は、大きな変化を迫られている。今年は昨年に続き、24日のイブが木曜、25日の当日が金曜という“平日クリスマス”の年だ。さらに、コロナ禍を経て、大勢で集まって賑やかに過ごすことを控え、家族など身近な顔ぶれだけで祝うケースが多くなるだろう。
既に予約受付が始まった都内ホテルのクリスマスケーキについて概観すると、以下のような特徴が見られる。
・受取時の混雑を避ける工夫
・外食や旅行に代わるような、非日常的で特別な1台という演出
・小さめケーキの選択肢の拡充
・お取り寄せできるクリスマススイーツの拡充
そんな、今年ならではの具体的な例を紹介しよう。
混雑を避け、家で安心してクリスマスを過ごしたいというニーズに応えて
ここ数年、都内ホテルでは、10月1日よりクリスマスケーキ予約受付をスタートするところが多い。そんな中、新宿の「京王プラザホテル」では9月5日より受付を開始。2019年の予約開始日は9月21日だったが、2020年は2週間以上早めた形となる。全7種のクリスマスケーキとシュトーレンの受取可能日は12月18日(金)~25日(金)。他の多くのホテルでも、土日を含めた少し早めから受取を可能としており、これも短期集中で売り場が混雑することを回避する手段の一つと言える。
今年の「京王プラザホテル」のクリスマスケーキの目玉は、5台限定販売の「ルミエール・ド・レーヴ~夢の灯火~」だ。チョコレート細工で精巧に作り上げた暖炉の中に、希望を灯す鮮やかな炎をイメージしたケーキを入れた作品で、ホテルのシェフパティシエとショコラティエが総力を挙げて創り上げる。
外側の細工も入れると縦横サイズは約33cm×25cm、高さ43cmほど。79,920円(税込)という破格の値段だが、東京23区内限定で、ホテルのスタッフによる無料の配送サービスも行う。既に9月中に予約が入り始めたそうだ。
コロナ禍に見舞われた今年、多くのホテルが経営状況の厳しさに直面しているが、ショップで販売するテイクアウトスイーツは、むしろ売り上げが伸びているという。今年の年末年始は、海外旅行や帰省を断念する家庭も多いと予想され、その分、ホテルならではの特別感のあるクリスマスケーキを早めに案内し、楽しみにしてほしいという思いが伝わる。
竹芝の「ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ」では、11月1日より発売されるクリスマスの焼き菓子「シュトーレン」を、今年、ホテルのオンラインショップでも購入可能にする。「プレーン」と「よもぎ大納言」の2種類があり、昨年も店頭での配送注文は若干受けていたそうだが、オンラインショップからのスイーツ注文が伸びていることを受けて、わざわざ出向かなくてもホテルの味を楽しみたいという「お取り寄せ」需要に応える。
小さめサイズのクリスマスケーキに力を入れる
また、12月15日(火)~25日(金)に受取可能なクリスマスケーキは4種を販売。定番のショートケーキ以外は、2-4人サイズに絞り込んだ。モンブランをクリスマスケーキにアレンジした「マロン ラム レザン」と、食用バラの花びらを飾った華やかな色彩の「ロージー」の2種類は直径12cm。洋酒不使用で子供でも食べやすい「ノエル フリュイ」は15cm×8cmと、核家族やカップル向けの大きさだ。
恵比寿の「ウェスティンホテル東京」のクリスマスケーキは、12月18日(金)~25日(金)に受取可能。「プティ ノエル コレクション」は、今年らしい新登場のラインナップだ。ブッシュドノエルスタイルの約5cm×15cmサイズで、1-2人用を想定。「オレンジケーキ&マロンクリーム モンブラン仕立て」や「ミルクチョコレートとビターチョコレート ブッシュドノエル」「ピスタチオと苺のダクワーズ」など全6種で、家で祝うこじんまりした平日クリスマスにぴったりの提案だ。
日比谷の「帝国ホテル」では、10月20日から予約開始となる今年のクリスマスケーキの新作として、東京料理長・杉本雄氏が手掛けるクリスマスケーキ第二弾「Truffe『S』(トリュフ エス)2020」を、台数限定で発売。料理人ならではの発想で、黒トリュフが香るマスカルポーネクリームとマロンクリームを使用したロールケーキを、チョコレートで覆って切り株の形に仕上げている。
昨年、初登場した時は、直径18cmサイズで6-8人用だったが、好評を受けて、今年は直径10cm×高さ10cmの約4人用サイズにした。きのこ形のシュークリームや、チョコレート製の枝や枯葉など、周囲の森まで再現したような凝ったデコレーションで、昨年以上に特別感のあるクリスマスケーキとなっている。
「サスティナブル」で「エシカル」なクリスマスケーキ
「帝国ホテル」定番の「クリスマスショートケーキ」は、生クリーム版も、チョコレートクリーム版も、共に直径12cmサイズから販売。一方、24cm角×高さ7.5cmで、100個以上の苺を使ったという、約20人分の「ポルテ ボヌール」も登場する。45,000円(税込)と、気軽には買えない価格だが、特別感あるクリスマスケーキを求める声に応える一品だ。
このケーキもそうだが、同ホテルは今年のクリスマスケーキ全てを、「上にのせている飾りも全て食べられる」ようにした。これは、全てのパーツを美味しく召し上がってほしいという思いであると共に、近年、世界的な問題となっているプラスチックごみ削減を意識した取り組みでもある。
環境の保護に配慮した同様の提案は、百貨店のクリスマスケーキにも見られる。「サスティナビリティ」(持続可能性)を意識し、「エシカル」(倫理的)であるという特徴も、今年らしい傾向と言える。
2020年の都内ホテルのクリスマスケーキより幾つかの例を紹介したが、「変化」を迫られる今年は、時代性に合わせ、それぞれ試行錯誤した新たな提案が生まれつつある。個人オーナーの菓子店は、今現在、今年のクリスマスケーキ販売の方針を検討中という店が多いが、正解は1つではない。皆が安心してクリスマスを楽しめるような選択肢が増えていくことを願いたい。