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本格的な春到来 週末にかけて4月中旬の暖かさに

饒村曜気象予報士
タイトル画像 関東に低温をもたらした小さな低気圧(3月8日21時)

減った真冬日と冬日

 令和4年(2022年)は、西高東低の冬型の気圧配置が続いて強い寒気が南下し、全国的に寒い日が続きました。

 2月21日は最高気温が氷点下を観測したのが気温を観測している914地点のうちの329地点(36パーセント)と、今年に入って2番目の多さでした(図1)。

図1 真冬日と冬日の観測地点数の推移
図1 真冬日と冬日の観測地点数の推移

 また、冬日は2月24日に776地点(85パーセント)と、これも今年に入って2番目の多さでした。

 このため、北日本から北陸では記録的な大雪となりました。

 しかし、2月末からは西高東低の冬型の気圧配置はゆるみ、寒気の南下が弱まったことから、真冬日や冬日を観測した地点数は大きく減少しています。

 3月8日は、関東の南海上に発生した小さな低気圧が寒気を呼び込んだため、関東地方は平年より寒くなりましたが、その他の地方はほぼ平年並みまで気温が上昇しています(タイトル画像参照)。

 3月9日は、関東の南海上の低気圧も日本の東海上に去り、日本列島は高気圧におおわれる見込みです(図2)。

図2 予想天気図(3月9日9時の予想)
図2 予想天気図(3月9日9時の予想)

 そして、週末にかけ、全国的に気温が上昇する見込みです。

早期天候情報

 気象庁では、毎週月曜日と木曜日に早期天候情報を発表しています。

 これは、情報発表日の6日後から14日後までを対象として、5日間平均気温が「かなり高い」もしくは「かなり低い」となる確率が30%以上、または5日間降雪量が「かなり多い」となる確率が30%以上と見込まれる場合に発表されるものです。

 最新の早期天候情報によると、東日本から西日本、および南西諸島では暖かい空気に覆われやすいため高くなる見込みです。

 特に、13日(日)ごろからの5日間ほどは、平年よりかなり高くなりそうです(図3)。

図3 平均気温の早期天候情報(3月13日~3月21日に対する情報)
図3 平均気温の早期天候情報(3月13日~3月21日に対する情報)

 北日本は高温と予想していませんが、低温とも予想していません。

 一年で一番寒い1月下旬ころに比べれば、気温が上昇していますので、北日本は平年並みの気温にはなりそうです。

 一気に季節が進みますので、農作物の管理等に注意が必要となってきました。

また、積雪の多い所では、なだれ等の雪解けによる災害にも注意が必要です。

東京と札幌の16日先までの気温予報

 東京の最高気温は、2月末から平年より高い状態が続いていましたが、3月8日には8.0度と15日ぶりに10度を下回りました。

しかし、週末にかけて気温が上昇し、4月中旬頃の20度まで上昇する見込みです(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(3月9日~15日は気象庁、3月16日~24日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(3月9日~15日は気象庁、3月16日~24日はウェザーマップの予報)

 そして、その後も平年より高い日が続く見込みです。

 最低気温も、一時的に平年より低くなりますが、週の後半以降は平年より高い日が続く予報です。

 寒さと大雪が続いていた札幌も、最高気温が平年より高い日が続き、寒気が入ってきても平年並みという予報です。

 最低気温も、10日頃に平年を下回りますが、一時的で、平年より高くなります(図5)。

図5 札幌の最高気温と最低気温の推移(3月9日~15日は気象庁、3月16日~24日はウェザーマップの予報)
図5 札幌の最高気温と最低気温の推移(3月9日~15日は気象庁、3月16日~24日はウェザーマップの予報)

 全国的に暖かくなる、春本番の到来です。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

図4、図5の出典:気象庁資料とウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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