【札幌市中央区】ツツジが開花した「旧三菱鉱業寮」エリアは、話題の日本遺産「炭鉄港」とも縁が深い!
日本遺産「炭鉄港」という名前を聞いたことがありますか?
日本遺産「炭鉄港」
明治維新からおよそ1世紀に及ぶ北海道の炭鉱開発と、それにまつわる産業の壮大なストーリーを扱っており、空知の「炭」、室蘭の「鉄」、小樽の「港」、そして石炭の運搬のために高密度で発達した「鉄道」を扱う文化遺産で、世界遺産の「明治日本の産業革命遺産」と双子遺産とも言われますが、その構成文化財の密度や、近代化を急いだストーリーの濃厚さは北海道の「炭鉄港」の方がすごいのでは、とも言われています。
北海道の中心である札幌には「炭鉄港」の構成資産そのものはありませんが、密接に関係している貴重な関連文化資産はいくつもあります。
■北大構内にある「古河記念講堂」(1997年、国の登録有形文化財指定。北海道の炭鉱や鉱山のいくつかに旧古河財閥や古河鉱業が関係しています)
■「北海道知事公館」(1999年、国の登録有形文化財指定。元々は北海道の炭鉱開発に大きく関与した三井財閥(三井合名会社)の新館として建築)
これらの建造物については、また改めて紹介したいと思います。
「炭鉄港」と「旧三菱鉱業寮」
中央区の永山記念公園の一角にある「旧三菱鉱業寮」もそうです。以前紹介したカフェ「ナガヤマレスト」が一階にあります。
2019年に国の登録有形文化財に指定された建物で、北炭や三井、住友などと共に、北海道の炭鉱開発に大きく関わっていた三菱鉱業の保養施設でした。
館内には、いくつかの炭鉱全盛期にまつわる展示があります。平成に至るまで、最後まで頑張り続けた炭鉱のひとつ、三菱南大夕張炭鉱から出炭した石炭の展示が目をひきます。
夕張地区の石炭の質はとても良く北海道はもちろん、首都圏の戦後直後のガス生産など日本のエネルギーを支えていました。
隣接している永山武四郎邸が、どちらかといえば重役や幹部用の施設で和テイストが強いのに対し、こちらの三菱鉱業寮は、若い世代の保養施設という意味もあり、当時としては最先端の洋風の意匠や、テニスコートなどもあったとのことです。
炭鉱や鉄道にまつわる歴史がパネル展示されており、主に戦前から戦後の北海道のエネルギー生産について、コンパクトに学ぶことができます。
往年の電話室もディスプレイとして残されています。今の若い方は、黒電話を見てもかけ方がわからず、数字盤を押してしまったりするんだとか!
二階は若い社員がくつろぎやすいような、開放的な和室がたくさんあります。一角には懐かしいミシンが。やはり当時の日本人には、洋風建築であったとしても、くつろぎスペースには畳がよかったんだろうなあと思います。ここで当時のエリートたちが雑魚寝をしながら、大きな夢を語り合っていたのではないかな、と妄想してしまいます。
写真ではわかりづらいのですが、まだ昔の歪んだ、味わいのあるガラスもかなり残っています!
そして4月22日、ツツジの開花を確認
そしてこの記事を書いている4月22日、ついに、旧三菱鉱業寮エリア(厳密には隣接している永山武四郎邸)のツツジが開花しました。今年は雪が多く、例年よりも数日開花が遅かったかもしれません。バックにまだ雪が一部残っているのは、今年ならではの風景かも。
桜はまだつぼみ。でもキタコブシは開花していて、あと数日でピークになるのでないでしょうか?少し早いですが、今週末あたり、北海道の歴史を感じ、春の花もあわせて感じるために、旧三菱鉱業寮のある永山記念公園まで足を伸ばして見るのも、良いのではないでしょうか?
「炭鉄港」や北海道の産業遺産の研究は、通訳案内士としての私のライフワークでもありますので、また時々札幌市内の関連情報を紹介していきたいと思います。
■旧三菱鉱業寮(と旧永山武四郎邸)■
開館時間:9時~22時
休館日:毎月第2水曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始
入館料:無料
住所:札幌市中央区北2条東6丁目
(市営地下鉄東西線「バスセンター前駅」10番出口より徒歩10分)
エレベーターはないのでご注意下さい。
電話:011-232-0450
公式サイトはこちら
■ご参考■
日本遺産「炭鉄港」のポータルサイトはこちら