史上最大最強ロケット「スターシップ」人類を月や火星に運ぶ壮大な将来計画を紹介!
前回の記事ではNASAが主導する「アルテミス計画」について解説させて頂きました。本記事では、人類を月面へ届ける新型宇宙船「スターシップ」を詳しく解説します。
半世紀ぶりに人類が月面へ!NASAが主導する月開発計画「アルテミス」
■史上最大最強の宇宙船「スターシップ」
スターシップは、スペースXが開発中の大型宇宙船です。このスターシップは、打ち上げロケットであるスーパーヘビーと組み合わせることで、全長120m,直径9m、という超巨大な宇宙船になります。これまで開発されたロケットの中で最も全高の高い組立式ロケットであり、アポロ計画で使われた「サターンVロケット」の全長110.6mを上回る程です。大きさでいうと、ギザのピラミッドや、牛久大仏くらいです。そしてなんと、地球低軌道には100tonもの荷物を持っていくことができることや、もしくは100人の乗客を運ぶことができます。
■スターシップが担う重要ミッションとは!?
スターシップは、NASAが推進している月面開発プロジェクトである「アルテミス計画」においても重要な役割を担うことが決定しています。NASAによりスターシップは有人月面着陸船に選定されており、2026年に宇宙飛行士を月面へ送る使命も背負っているのです。そして2024年以降には、実業家の前澤友作氏がスターシップに搭乗し、月の裏側を通過し地球へ戻ってくる往復飛行も予定されています。
■遂に火星有人着陸も視野に!?
そしてマスク氏は、火星への有人着陸もこのスターシップで2020年代後半に実現することを目標としています。
火星に向けた地球からの打ち上げ後には、人や物資を載せたスターシップに、あらかじめ打ち上げておいた推進剤を積んだタンカー仕様のスターシップをドッキングさせ、推進剤を補給。ふたたび満タンになったスターシップは火星へ向けて飛んでいきます。1機のスターシップ+スーパーヘビーは、地球低軌道に約100tの打ち上げ能力をもちますが、推進剤の再補給を受けることで、100tの物資を積んだまま、火星などへ飛んでいくことができるのです。
さらに火星到着後には、水を電気分解すれば酸素を取り出すことができ、スターシップの燃料であるメタンもサバティエ反応という化学反応を使うことで、二酸化炭素と水素から生産ができます。つまり、火星で燃料を“現地生産”ができるため、地球からわざわざ帰還用の推進剤を運び入れる必要がないんですね
■イーロン・マスク氏が描く壮大な人類計画
スターシップの開発の最終目的は、巨大なロケットと宇宙船からなる「惑星間輸送システム」を開発し、一度に100人規模の人間を火星に送り込み、そして40~100年かけて、火星に人口100万人以上の自立した文明を築くことです。スペースXのCEOであるイーロンマスク氏によると、人類が火星移住することによって「たとえ地球が滅びても、人類という種は生き続けることができるとした」とのことです。スケールが壮大ですね。マスク氏にとって、この構想は降って湧いた出たものではなく、子どものころから暖め続けてきたものであり、宇宙企業スペースXを創設した最大の動機でもあったとのことです。
あまりにも規格外のスケールと将来計画であるスターシップですが、次回からはスターシップの前途多難な開発の道のりを解説していきます。
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