「インディ500」佐藤琢磨は15番グリッド。過去にはあのF1ドライバーも15位から優勝!
「レッドブル・ホンダ」のF1モナコGP優勝はホンダにとって29年ぶりの勝利ということもあって、Yahoo!ニュースのトップページにも取り上げられるなど大きなニュースとなった。その興奮から1週間、今度はアメリカで「世界三大自動車レース」の一つ、インディアナポリス500マイルレース(通称、インディ500)が開催される。
今年は2度目のインディ500優勝を成し遂げた、日本のモータースポーツ界のレジェンド、佐藤琢磨が連覇、そして3度目の優勝をかけて戦う。
佐藤琢磨は15番グリッドからのスタート
米国を転戦する「NTT インディカーシリーズ」の中で最大のイベントに位置付けられるインディ500。今回で105回目を迎える歴史ある大会は「レース距離500マイル(=約800km)」など様々な伝統をずっと守りながら開催されている。
普段のインディカーのシリーズ戦とは様々な部分が異なり、スターティンググリッドが「1列3台、11列=33台」であることは大きな特徴と言える。F1をはじめ世界中の多くのレースは予選を決勝の前日に行っているが、そのスターティンググリッドを決める予選は前週に行われるのも長年の伝統。グリッドは前の週にすでに決まっているので、決勝当日には今年のグリッドが書かれたTシャツなどグッズも販売されるのだ。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガンレーシング/ホンダ)は4月に開催されたテスト走行で2位、5月18日(火)に行われた練習走行では3位と好調だっただけに、5月22日(土)の公式予選に期待が高まっていたが、マシンのスピードは伸び悩み15位のタイムに留まった。
昨年は上位9台による最終予選「ファスト9」に進出し、3番手スタートだっただけに中段のグリッドに沈んでしまったことが悔やまれる。
「残念ながら、僕たちのパフォーマンスは十分に速いとはいえませんでした。15番グリッドは、決して悪いポジションではありませんが、素晴らしいものともいえません。ただし、僕たちには強力なレースカーがあるので、今後はレースカーの煮詰めに全力を尽くすつもりです。ここから追い上げなければいけません。厳しいレースになりそうです」と予選を終えた佐藤琢磨はコメントした。
15番手から優勝したドライバーは?
過去104回もほぼ同じレースフォーマットで開催されている「インディ500」には膨大な量のレーススタッツ(統計データ)がある。歴代の勝者が何番グリッドからスタートしたのか、そのグリッドから何人が優勝を飾ったのか、というデータはファンの想像力をかきたててくれるものだ。
優勝したドライバーが最も多いのは当然のことながらポールポジション(1位)からのスタートだ。2019年の勝者、シモン・パジェノー(ペンスキー/シボレー)をはじめ21名のドライバーがポールトゥウインを飾っている。
また、フロントロー3台のウイナーの合計数は45名。全体の約半数に近いドライバーがグリッド最前列から優勝を飾っている。昨年のウイナー、佐藤琢磨も3番手から優勝したが、過去3年間のウイナーは3人ともフロントローからのスタートだった。
やはり予選から速さを示したドライバーたちは決勝でも速いというのは当然で、統計上も圧倒的に有利なのだが、実はダラーラの現行シャシーが使われるようになった2012年以降の9年間でフロントローからの優勝は上記の3人だけ。2017年以前のウイナーはフロントロー以外からのスタートだった(2017年優勝の佐藤琢磨は4番手スタート)。
クラッシュやアクシデントが発生するたびにフルコースコーションが入りレースが中立化される「インディ500」では戦略によって大逆転が可能。そういったところも大きな魅力であるが、佐藤琢磨のスタート位置、15番グリッドからは2015年にファン・パブロ・モントーヤ(当時ペンスキー/シボレー)が残り4周でトップに立ち優勝したことがある。
レース展開によっては佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガンレーシング/ホンダ)も充分に上位を伺えるチャンスはあるし、本人が「僕たちには強力なレースカーがある」と語っている通り、事前のテスト走行では速さを示していたマシンだけにポテンシャルはある。単独走行するインディ500の予選では気温などの条件が合わなかったものの、集団走行となる決勝に合わせ、最適なセットを見出せば、追い上げの末の大逆転も夢ではないだろう。
第105回インディアナポリス500マイルレースは現地時間5月30日(日)12:45にスタートが切られることになっている。