台風10号が発生 週末の西日本接近前に警戒すべき雨雲
台風9号が朝鮮半島へ
非常に強い台風9号が、勢力を維持して、東シナ海を北上中です。
9月2日(水)夕方からは、九州北部で暴風域に入る可能性が高くなりますので、暴風やうねりを伴った高波、高潮、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫など、厳重な警戒が必要です(図1)。
台風9号は、東日本から西日本に猛暑をもたらしている太平洋高気圧に行く手を阻まれて東へ向きを変えることができなくなっています。
このため、北上を続け、朝鮮半島南部に上陸する見込みです。
朝鮮半島の今夏は、7月から大雨が断続的に続いており、黄海を北上して北朝鮮に上陸した台風8号から約1週間で台風9号が韓国に上陸です。
大正14年(1925年)夏のような、朝鮮半島全域の大規模水害が懸念されています。
日本は、九州北部に上陸する可能性は残っていますが、暴風の主体は海上です(図2)。
ただ、台風の中心に近い九州北部だけでなく、東海から九州南部にかけては、台風9号に吹き込む暖かくて湿った風によって、所により大雨の可能性があります。
台風9号が日本列島から離れていっても、しばらくは雨に警戒が必要です。
台風10号と海面水温
令和2年(2020年)9月1日21時、小笠原近海で台風10号が発生しました(図3)。
台風のエネルギーは、台風の中心付近の積乱雲の中で水蒸気が凝結して水滴になるときに発生する熱です。
このため、熱帯の海上など、水蒸気が豊富な場所で発生・発達します。
台風が発生・発達する目安となっている海面水温は27度ですが、台風10号が発生した小笠原近海の海面水温は、31度もあります。
そして、水蒸気が豊富な30度以上の海域を通って、北上する予報です。
このため、台風は発達を続け、非常に強い台風で週末の西日本へ接近します(表)。
小笠原近海から南大東島にかけて、台風10号の進路に当たる海域の海面水温が高いのは、今年、令和2年(2020年)の大きな特徴です。
気象庁は、令和2年(2020年)9月1日に8月の海面水温についての情報を発表しています。
これによると、日本の南を中心とした海域の海面水温は、平年よりかなり高くなり、特に、関東南東方、四国・東海沖、沖縄の東では、解析値のある昭和57年(1982年)以降で最も高くなっています(図4)。
このような記録的な高温となったのは、東・西日本から日本の南海上にかけて太平洋高気圧が強く、暖かい空気に覆われ日射も強かったためです。
例年であれば、これより2度位低い海面水温ですので、台風10号のような大きな発達にはなりません。
つまり、例年の台風以上に発達し、例年の台風のように北上するにつれて衰弱しません。
令和2年(2020年)は、例年以上に台風に対して警戒が必要な年です。
台風10号が接近する前に警戒する雨雲
台風9号が東シナ海を北上している9月2日は、台風に近い九州だけでなく、東北南部から四国にかけての広い範囲で、大雨の可能性があります。
これは、台風9号と太平洋高気圧によって、南から暖かくて湿った空気が日本列島に流入しやすい状態になっているからです。
この状態は、台風9号が朝鮮半島を北上している9月3日も続きます。
気象庁では、早期注意情報を発表し、5日先までに大雨警報を発表する可能性を「高」「中」の2段階で発表しています。
これによると、9月2日も、3日も太平洋側の広い範囲で大雨警報の可能性があります(図5)。
また、台風10号に伴う雲の北側には、活発な積乱雲が散在しており、台風10号が北上してくる前に、この活発な積乱雲が北上してくる可能性もあります。
まずは、台風9号に警戒ですが、台風9号が過ぎ去っても、引き続き、日本の南海上の雨雲に注意が必要です。
そして、週末は台風10号に警戒が必要です。
タイトル画像、図1、図2、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図4の出典:気象庁ホームページ。
表の出典:気象庁資料をもとに著者作成。