「数合わせなんてしない 自分が食べて美味しいものを」毎朝4時に社長自ら仕入れに出向く地域密着スーパー
国の障害者雇用人数の水増しが、中央省庁のおよそ80%にのぼっている。不適切に参入していたのは3460人。実態はないのに数だけ合わせていた「数合わせ」が横行していたことになる。中央省庁だけではなく、全国の裁判所でも雇用を水増ししていたと、TBS Newsで報道された(2018年8月29日午前11:21)。
「数合わせ」で思い出したのが、福岡県柳川市にあるスーパーまるまつを取材した時のことである。
日本の食品業界では、「欠品を許さない」という商慣習がある。メーカーが小売に対して欠品を起こすと、ペナルティ(補償金)が科せられる。悪ければ取引停止だ。実際、複数のメーカー社員に聞いてみると「欠品は絶対できないですね。取引停止になるから」と答える。
このような、欠品にペナルティを課すことは、メーカーの作り過ぎにつながり、ひいては「食品ロス」になってしまう。
スーパーまるまつでは、欠品を許容している。実際、取材に行った時も、商品棚には多くの空きが見られた。
欠品を許すのは加工食品だけではない。生鮮食品も同様で、魚なども、海が時化て獲れない時、早朝の市場には、前の日以前に獲れた魚が高値で並ぶ。そんな時、社長は、わざわざ買わないという。なぜなら「古くて高くて不味い魚をお客さんに買わせることになってしまうから」。
しかし、どんなに新鮮な魚が無くとも、大手小売は古くても高くても買って行くのだそうだ。
「数合わせ」のために。
大手スーパーの言い分は「無いとお客様に迷惑をかけてしまうから」。
欠品しても数が無くても「地域シェアナンバーワン」
スーパーまるまつがある福岡県柳川市は、高齢化が進んでおり、人口は減少している。近くにはショッピングモールも建設され、競合店が7店ほどある。しかし、そんな中、スーパーまるまつは、シェアナンバーワンを誇っている。地域のお客に支持されている。これは、顧客が必ずしも「欠品が無いこと」を重視していない証明ではないだろうか。
スーパーまるまつの社長は、毎朝4時に起きて、野菜や魚を仕入れに行く。自らが美味しいと思うものを仕入れるのだ。紙のチラシは打たない。数千万円のコストがかかるためだ。その分、ポイントカードのお客様に、新鮮で美味しいものを安く提供してあげたいと言う。
見かけを大事にするのか、それとも「実」を重要視するのか。
今回の、障害者雇用人数「数合わせ」の横行で、本当に人のためのことを思って仕事をしているのか、それとも見かけだけを繕い自己保身のために仕事をしているのか、仕事に向き合う姿勢が透けて見えるような気がした。
参考記事: