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今年は自己最多の「35本塁打&101打点」ながら34歳で引退。弟は10年3億2500万ドルの新契約

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・シーガー Oct 3, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、カイル・シーガーは、35本塁打と101打点を記録し、どちらもキャリアハイを更新した。それまは、2016年の30本塁打と99打点が最も多かった。年齢は34歳。先月、誕生日を迎えたばかりだ。

 けれども、シーガーは、選手としてのキャリアにピリオドを打った。妻のジュリーが、夫の引退声明をツイッターにアップした。自身ではなく妻であるのは、おそらく、ツイッターのアカウントを持っていないのが理由だろう。明と暗ではないが、揃ってFAとなった弟――来年4月に28歳。2人の間には兄弟が1人――のコリー・シーガーは、テキサス・レンジャーズと10年3億2500万ドルの契約を交わした(「レンジャーズに誕生する「5億ドルの併殺デュオ」は史上最高額ではない!? この2人は計6億ドル近く…」)。

 ホームランと打点は多く、三塁の守備も衰えはないものの、今シーズンのカイルの打率と出塁率は.221と.285に過ぎなかった。打率はキャリアワースト、出塁率は2018年の.273に次いで低い。シアトル・マリナーズからは、7年1億ドル(2015~21年)の契約についていた球団オプション、2022年の年俸2000万ドルを破棄された。それについては、先月、「ともにFAのシーガー兄弟は明暗が分かれる!? 今シーズンのホームランは兄が35本、弟は16本だが…」でも書いた。

 2009年のドラフトで3巡目・全体82位指名を受け、マリナーズに入団して以来、カイルは、一度も移籍することなくプレーしてきた。2011~21年の通算11シーズンに記録した、出場1480試合、1395安打、242本塁打、807打点は、いずれも球団史上4位に位置する。

 ちなみに、出場試合のトップ3は、エドガー・マルティネス(2055)、イチロー(1861)、ケン・グリフィーJr.(1685)、安打は、イチロー(2542)、エドガー(2247)、グリフィーJr.(1843)、本塁打は、グリフィーJr.(417)、エドガー(309)、ジェイ・ビューナー(307)だ。彼らのうち、グリフィーJr.とエドガーは、クーパースタウンの殿堂に迎え入れられている。イチローも、間違いなくそうなる。

 また、マリナーズのポストシーズン進出は、現時点では2001年が最後だ。カイルは、一度もポストシーズンでプレーすることができなかった。カイルの引退により、ポストシーズンの出場がなく、レギュラーシーズンの出場が最も多い現役選手は、1230試合のジーン・セグーラ(フィラデルフィア・フィリーズ)となった。こちらは、来シーズンがメジャーリーグ11年目。フィリーズの前に4チームでプレーしていて、そのなかには、2017~18年のマリナーズも含まれている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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