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パリのマスク義務化 さらに一歩踏み出す

鈴木春恵パリ在住ジャーナリスト
マスク着用が義務付けられたゾーンにはこんな紙が貼られた(写真はすべて筆者撮影)

8月10日月曜午前8時から、パリの屋外でもマスクが義務化されることになった。

もっとも市内全域ではなく、屋外のマルシェ、繁華街、セーヌ川沿いなど、人の往来が特に“密”な場所が対象だ。

場所は明確に定められていて、パリ市のサイトなどでチェックできる。

内務省が出したパリの地図。赤いゾーンがマスク着用義務地域。セーヌ川の岸は全域が対象になっている
内務省が出したパリの地図。赤いゾーンがマスク着用義務地域。セーヌ川の岸は全域が対象になっている

パリではメトロなどの公共交通機関と公共の屋内ではすでにマスク着用が義務付けられていたが、この政令によってさらに範囲が拡大される。

11歳以上が対象で、違反したら135ユーロ(約16,000円)の罰金というのも、メトロや公共の屋内の場合と同じだ。

気温が35度を超える日が続いているパリだが、“密”な屋外でのマスク着用が進んでいる
気温が35度を超える日が続いているパリだが、“密”な屋外でのマスク着用が進んでいる
マスク着用ゾーンになったセーヌ岸。初日の昼過ぎには警察が出動していた。たまたますれ違った警官に「マスクのため?」と尋ねれば「そう」との答え。初日に限っては周知徹底が目的で、即罰金とはならない様子
マスク着用ゾーンになったセーヌ岸。初日の昼過ぎには警察が出動していた。たまたますれ違った警官に「マスクのため?」と尋ねれば「そう」との答え。初日に限っては周知徹底が目的で、即罰金とはならない様子

フランスのロックダウンが解除(海外県のグアダループを除く)されたのは5月11日。それから3ヶ月が経過した。

学校の夏休みが返上になっていたりする日本とは違い、こちらの学校はしっかりと2ヶ月間の夏休み。目下ヴァカンスシーズンの真っ只中で、海外に行く人はさすがに少ないが、その代わりに国内各地、あるいは近隣のヨーロッパ諸国で休暇を過ごす人が多く、週末ごとに幹線道路の大渋滞が話題になるのは例年通りだ。

つまり人の往来が盛んで、ヴァカンスムード最高潮ともなれば、つい3ヶ月前までの厳戒態勢は緩みに緩み、あちらこちらでクラスターが発生するという状況になっている。

数字で見てみよう。

ロックダウン解除直後の新規感染者数はおおむね1日1000人未満で推移していたのに対し、公衆衛生局が発表している24時間内での新規感染者数は、先週7日付ので2288人。ちなみに、これまでの累計死者数は30324人。24時間内に病院で亡くなられた数は12人となっている。

今回の政令によると、とりわけパリとその周辺地域での感染者増が懸念されている。指標として、人口10万人あたり20人の新規感染者が許容限度になっているが、7月下旬には27.17人と、ハードルを大幅に上回ったことが新しい措置に踏み切った理由になっている。

もっとも国内1400以上の自治体で屋外のマスク着用がすでに義務化されている。ニース、マルセイユ、サントロペなど、ヴァカンス先として人気の海辺の町などは先行組。パリもいよいよそれにならう形になった。

フランスの学校の新年度開始は9月。果たしてそのタイミングでどうなっているか。

とりあえずはマスクで防戦しつつ、ヴァカンスはしっかりと楽しむという8月が続くのではないかと思う。

パリ在住ジャーナリスト

出版社できもの雑誌の編集にたずさわったのち、1998年渡仏。パリを基点に、フランスをはじめヨーロッパの風土、文化、暮らしをテーマに取材し、雑誌、インターネットメディアのほか、Youtubeチャンネル ( Paris Promenade)でも紹介している。

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