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南アフリカ・ケープタウン、あと100日で世界初の「枯渇都市」に

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
南アフリカ・ケープタウンとその周辺の景色(写真:アフロ)

南アフリカのケープタウンは、100日以内に世界初の水の「枯渇都市」になるおそれがあるようです。同市は16日(火)ホームページに下記のような発表を出しました。

Today I want to call on all Capetonians to do more to save water. There are only 95 days left before we reach Day Zero.

(すべてのケープタウンの市民に、さらなる節水を呼びかけたい。水がなくなる「デイ・ゼロ」まであと95日しかない。)

デイ・ゼロとは水が枯渇して、市内のほぼ全域で断水が始まる日のことをさしています。このまま水不足の状態が続けば、その日は4月21日になるといいます。くしくもその翌日の22日は、地球環境について考える日である「アースデイ」でもあります。

水不足の状況

一体、ケープタウンの水不足はどれほど深刻なのでしょうか。

当局によると、先週のダムの水量は28.7%で、飲み水として利用できる量は20%以下しかないといいます。水量が13.5%まで下がると断水が行われる予定とのことです。もしそうなると、市民はタンクを持って給水場に毎日水をもらいに行かなくてはならなくなります。

支給される水量は、一日一人あたり最大25リットルになるようです。一般的に人が暮らしていくのに最低でも100リットルは必要とも言われていますので、そのたった4分の1にしかなりません。

ちなみに日本人一人当たりの一日の平均使用水量はおよそ200リットルです。

政府の対応

政府も対策に取り組んでおり、一人が一日に使用する水の量を87リットルとするよう呼びかけています。こうした取り組みもあって、市民の間でも「洗髪をしていない髪が、模範市民のシンボル」だという風潮も出てきているようです。

しかし、それ以上の量の水を使用する人々が6割以上いるのが現状で、政府はある強硬手段に出ています。

それは、各家庭で水量を守っているか否かが一目でわかるような衛星地図です。守っている家は濃い緑色、守っていない家は黄緑色のドットが地図上に付けられています。しかもそれをインターネット上にあげ、誰もが見られるようにしているのです。当然ながら、この方法には数多くの抗議の声が上がっています。

原因

そもそもケープタウンは、アフリカ大陸のほぼ南端に位置し、海・山・森などの自然が印象的な、世界で最も美しい街の一つとしても知られています。

しかし、この水と緑に囲まれた町は2015年から異常な干ばつに見舞われています。去年は100年来の干ばつとも言われたほどでした。

この水不足の原因は、地球温暖化や、2016年まで続いた大規模なエルニーニョ、さらに20年間で50%増という、人口の急増に伴う水需要の高まりがあるようです。

デイ・ゼロの危機は、すぐそこに迫っています。

*参考リンク*

環境省「世界の水・日本の水」(PDF)

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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