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保育士よりも育児の方が大変だった?子育て経験のある保育士がそう感じる4つの理由と育児特有の難しさとは

ぽん先生保育士

こんにちは!ぽん先生です。
「少しでも楽しく子育てを!」をモットーに、子育てや育児に関する情報の発信を行っている保育士です。
今回いただいた質問はこちら!

Q:保育と育児ではどのような点で違いを感じますか?またどっちの方が大変ですか?

保育士として保育園で働いていると、しばしばこんな話をされることがあります。

「家で子ども1人を見るだけで大変なのに、保育士さんは20人も30人も見ていて本当にすごい」

これは育児経験のある方なら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
ところが、実際に両方経験してみると、家庭で我が子の育児をする方が大変だったり辛かったりする場面が多かったと話す方は意外と多いもの。
一見すると保育の方が子どもの人数が多い分、これを聞いて驚く方も多いのではないでしょうか。
そんなわけで、今回は保育よりも育児の方が大変だと感じる4つの理由について解説していきたいと思います。

保育よりも育児のここが大変!

保育士も育児も子どもを見ることに変わりありませんが、両者にはどのような違いがあり、なぜ育児の方が大変だと感じるのでしょうか。
その4つの理由について順番に見ていきたいと思います。

1 1人で見ないといけない

保育園で子どもたちを見る場合、保育園に大人が1人しかいないという状況はありません。
幼児クラスでは保育室の単位で見ると保育士が1人しかいない状況は出てきますが、保育園全体で考えるとそういった状況はやはりありません。
ここから言えることは、気分転換ができるということです。
特に0、1、2歳児は食事や睡眠などといった生活面で子どもたちと密接に関わる機会が多く、「今日は何をしてもこの子と上手くいかない」というような日はどうしても出てきてしまうもの。
しかし、保育園であれば「今日はこの子の担当代わってもらって良いですか?」というように、少し距離をとることで大人も子どもも気分転換することができるのです。
そのため、「何をどうしても私がこの子を見ないといけない」という状況にはなりにくく、そういった意味では不適切な関わりに繋がったり、精神的に追い込まれたりしにくいと言えるでしょう。

2 24時間一緒に過ごす

どんなに可愛い我が子でも、24時間一緒に過ごすことはストレスになってしまうもの。
それは「親」という役割から離れることができないからです。
親という役割も社会的な枠組みの1つであり、自分一人で過ごす時間を作ることで、ようやくそこから離れて心を休めることができるのです。
休息をとることができないと、ストレスを感じたり、不適切な関わりに繋がりやすくなったりしてしまうもの。
このような時間が取りにくいことを考えると、必ず休憩時間がある保育士とは違い、気持ちを入れ替えるタイミングを作るのが難しいのです。
また、夜泣きで十分に睡眠時間も取れないことを考えると、これは育児特有の難しさだと言えるでしょう。

3 日々の環境に変化がない

保育園であれば、豊富な玩具や遊具、そして保育室やホール、園庭などが揃っているため、日々の変化に富んでいます。
その日の子どもたちの様子や体調などに合わせて、その日の過ごし方をかなり自由に選ぶことができると言えるでしょう。
また、子どもたちの出欠でもクラスの雰囲気は大きく違ってくるものです。
一方で、家庭で過ごす場合、自宅という広くはない環境で毎日同じ家族のメンバーで過ごすことと思います。
すると、変わらない毎日でどうしても退屈になってしまうもの。
毎日公園や児童館へ足を運んだとしても、帰ってきて昼食、昼寝となれば、やはりいつもの環境に必ず戻るのです。
「毎日子どもと何をして過ごせば良いか分からない」という方も少なくないと思いますが、小さな変化のない日々は思っているよりストレスになってしまいます。

4 家族という関係

人と人が良い関係でいるための1つに距離感が挙げられます。
保育園での生活では、保育士には先生という役があり、子どもたちにはクラスの一員という役があると言えるでしょう。
一方で、育児ではどうでしょうか。
家庭でもそれぞれに役割がある一方で、家族という関係性からどうしても距離が近くなり過ぎてしまうということが挙げられます。
そのため、
・必要以上に不機嫌に当たってしまう
・私がこれだけ困っているんだから何も言わなくても分かってほしい

というような行動はどうしても出てきてしまうものです。
親という存在は子どもたちにとって安心して甘えることができる存在であり、また自分の想いを受け止めてもらえるということは子どもたちが1番よく分かっています。
しかし、そういった関係性であるがゆえに、時にそれがストレスの原因になってしまうのです。

保育で重要なのは専門性

ここまで保育と比べた育児の大変さについて解説してきましたが、そもそも保育士として大切なことはなんでしょうか。
それは専門性です。
そのうちの1つとして、子どもの姿からその子の発達を捉え、適切に関わっていくことで発達を促していくことは子どもたちと一緒に過ごす上で大切な専門性だと言えるでしょう。
しかし、保育士としての役割はそれだけではありません。
保護者の支援などを含めた多くの役割を持つのが保育士です。
もちろん、多くの子どもをまとめる、広い視野を持つといった点については保育所保育指針には書かれていないものの、保育を日々行う上で必要な能力なのかもしれません。
そのため、一見すると子どもを保育することが保育士の役割のように感じますが、それ以外にも多くの役割があり、そういった様々な分野で専門性を発揮できるということが保育士としての専門性だと言えるでしょう。

下記の関連記事では、保育士の専門的な子どもとの関わりについて簡単に解説しているため、気になった方はそちらからご覧ください。

いかがでしょうか?
保育も育児も質は違えど、子どもたちの人格形成の基礎となる大変で大切な仕事。
どちらも子どもたちにとって欠かせないものであり、私たち親や保育士は非常に大きなの存在ではないかと思います。
どちらの方が大変かということよりも、互いに連携し、協力し合うことで、私たちの頑張りが子どもが生き生きと過ごす力になれば嬉しいです。

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保育士

東京都で働く保育士。「少しでも楽しい子育てを!」をモットーに活動中。

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