けがをしても処置してくれない保育園があるって本当?絆創膏は禁止、爪切りも禁止される理由を保育士が解説
こんにちは!ぽん先生です。
「少しでも楽しく子育てを!」をモットーに、子育てや育児に関する情報の発信を行っている保育士です。
今回は頂いたご質問はこちら。
Q:うちの子が通う保育園では、子どもがケガをしても絆創膏すら貼ってもらえません。これって普通のことでしょうか?保育士の方に教えていただきたいです。
子どもが保育園でケガをして帰ってきた経験は誰もがあると思いますが、その中で必要な処置をしてもらえなかったという経験はありますか?
子どものことを考えると、ケガの処置をしてもらえないというのはあってはならないことだと思いますが、そんなことが本当にあるのでしょうか。
また、本当であればその理由は一体何なのか?
今回はこちらの悩みについて解説していきたいと思います。
これで解決!
子どもがケガをした時に、処置してくれない保育園があるというのは本当なのでしょうか?
結論から言うと、これは本当だと思います。
保育士に限らず、医師や看護師でなければ医療行為を行うことはできません。
看護師のいる保育園は看護師がケガ等の処置を行いますが、基本的にケガの処置や薬を塗ること、管理することなどを保育士が行うことはできないのです。
これによって、「簡単な止血をするだけで絆創膏は貼ってもらえなかった」というようなケースが起こると考えられます。
ところが、実際にはケガを処置すること全てが医療行為に当たると考えるのは誤りだと言えるでしょう。
事実、平成17年には医師法などの解釈について厚生労働省が通達を出していて、その中で医療行為に当たらないと示されているものをいくつかご紹介します。
・脇下で体温を計測すること
・軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること
・爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がない場合に、その爪を爪切りで切ること及び爪ヤスリでやすりがけすること
・耳垢を除去すること
このように、専門性の必要なケースを除き、子どもを保育するにあたって一般的なケガの処置を保育士が行うことについては問題ないのです。
さらに、介護サービスの現場ではこれらの内容に加えて、より詳しく、内容についても整理されたものが令和4年に同じく厚生労働省より通達されています。
ここから言えることとして、一部の保育現場では「医療行為を行ってはいけない」という言葉が不必要に拡大解釈されていたり、医療行為だと指摘されるリスクから何もしなかったりする現状があり、これによって適切に処置されないケースがあると言えるでしょう。
保育園になぜ看護師がいない?
さて、そもそも全ての保育園に看護師がいれば、こういった問題は起こらないはずです。
それでは、なぜ看護師のいない保育園が存在するのでしょうか。
それは、保育園を運営するにあたって看護師を配置する義務はないからです。
実際、人手不足の現状があることを考えると、看護師の配置を義務化してしまうことが保育園を運営していく上で大きな障壁となってしまう可能性があり、そういった面から義務とされていないのかもしれません。
このように、看護師の配置を義務化することはやや現実的ではないと言えるでしょう。
しかし、義務化するだけが看護師を配置する手段ではないと思います。
例えば、やや極端ではありますが、「看護師の人件費は全額補助金が出る」といったような政策を行えば、配置の割合を上げていく上で非常に役に立つのではないでしょうか。
看護師の専門性は、保育士や保護者にとっての安心材料になるだけでなく、子どもたちの安全を守っていく上で非常に重要なものです。
保育士の専門性はあくまで子どもの保育や保護者の支援で発揮されるものあり、子どもの安全を確保する上で看護師の専門性は本来欠かせません。
保育園へ通う子どもたちの安全を守るため、私たち保育士だけでなく、保護者の皆さんにもこういった声を上げていただけると嬉しく思います。
いかがでしょうか?
未来ある子どもたちの安全を守るため、保育士と看護師とで協力し合って保育ができる社会が広がると良いですね。
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