釣りに行く人必見 家族の救命胴衣が抜けることも 簡単チェックの術でマサカを回避!
釣りを楽しむファミリーの救命胴衣姿を多く見かけるようになりました。この救命胴衣、万が一の落水の、いざという時に水中で抜けることがあります。なぜでしょうか。簡単チェックでマサカを回避しましょう。
例えば、動画1をご覧ください。救命胴衣を羽織っただけの状態で前チャックを締めていません。後ろに立った人が救命胴衣の肩口に手をかけて救命胴衣を引っ張り上げるとどうなるでしょうか。
動画1 羽織っただけの救命胴衣は、こうなる(筆者撮影、13秒)
羽織っただけの救命胴衣は、突然の落水で水の中で抜けてしまうことがあります。さらに、救命胴衣の前チャックを締めたら安心というわけでないことも同じように動画1からわかるかと思います。動画の中で実践した方法は、万が一の落水の時に救命胴衣が脱げてしまわないか、簡単にチェックする方法です。釣り場に着いたら、ぜひ試してみてください。
救命胴衣が水中で脱げてしまう原理は図1の通りです。人が不意に水に落ちると、身体は水に沈もうとしますが、救命胴衣は浮きあがろうとします。それぞれ逆の方向に力が向かおうとするので、締め方が適切ではないと救命胴衣が抜けてしまうのです。
動画1のようなことが水中で起これば、多くの人がビックリすると思います。意外と簡単に身体からスルリと抜けるものです。例えば、足から水に落ちたら水の力の反動で両手がバンザイの形になります。水中では水圧によって上半身を中心に若干細くなります。さらに海水では布の表面が滑りやすくなります。このように突然の落水は、救命胴衣が抜ける方向にどうしても作用してしまいます。
この原理は救命胴衣ばかりでなく、浮き輪、ヘルパー、アームリング、手に持ったペットボトル、空気の入ったポリ袋、浮くものだったら何にでも通用します。つまり、浮き具を身に着けたら、水に飛び込んではいけないのです。
では、救命胴衣のリブバンドと呼ばれる紐を締めて、脇バンドの長さを適切に調整したらどうなるでしょうか。動画2と動画3をご覧ください。
動画2 リブバンドを締めて救命胴衣を着装して、簡単チェックしてみた(筆者撮影、24秒)
動画3 脇のバンドを締めて正しく着装して、簡単チェックしてみた。学生の感想付き(筆者撮影、40秒)
今度は抜けることがないようです。ただし、救命胴衣をギュウギュウに締め過ぎたらそれはそれで動きづらくなるので、簡単チェックで抜けない程度にして、締め方は調整しましょう。
ファミリーで釣り場に到着したら、釣りの前にお子様の着装する救命胴衣も抜けない程度に調整してあげてください。股下ベルトがある製品であれば、これを締めれば抜ける心配がなくなり、安心です。
番外編 救命胴衣は遊具ではありません
救命胴衣は緊急時に命を守る大事な器具です。救命胴衣(ライフジャケット)もさることながら、浮き輪、ヘルパー、アームリングなどをつけたまま高い所から水に飛び込む遊びには使わないようにしましょう。
救命胴衣を着てどうしても高い所から飛び込まなければならない時の訓練は、図2のようにそれはそれで存在します。熟練したインストラクターと徹底した安全管理のもとで行います。着水の瞬間にずり上がった救命胴衣で顎を強打することがあるので、しっかりと指導を受けないととんでもない大怪我をすることがあります。
以上のように落水時には思いがけないトラブルが何でもありますので、まずは水に落ちないように心がけて釣りを楽しみましょう。
※記事中の動画出演者:長岡技術科学大学ヨット部学生の皆さん