NHK土曜ドラマ『#デジタルタトゥー』のネット側の舞台裏 spyonwebでわかる事
KNNポール神田です。
2019年05月18日(土)21:00
NHK 総合の土曜ドラマ『デジタル・タトゥー』が全5回で始まった。
https://www.nhk.or.jp/drama/dodra/tatoo/
見逃し配信 216円
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2019098116SC000/?np_banID=top_nw_m_098116
■しょせん、ドラマのITモノは簡易に脚色されているかと思うとガチでリアルだった!
このドラマの原案者の河瀬 季(かわせ・とき)弁護士から教えていただきドラマを視聴させていただいた。しょせん、一般視聴者を想定したドラマだから、適当にIT部分は簡易に脱力されて脚色されるかと思いきや、ガチでリアルな演出で驚いてしまった。思わず、企業名を出さない『解析ツール』の表現が、『Google Analytics』などを知っている人に対してもよけいに難解に聞こえてしまったくらいだ。
■ドラマのストーリー展開もなかなかおもしろい
カジノ法案で汚職を追求される国会議員の伊武雅刀、東京地検の特捜検事で切り込む高橋克実。しかし、政治家の秘書を追い詰めた事により秘書が自殺。それがデジタルタトゥーとなり検察を去り、『法テラス』で一介の『国選弁護人制度』案件の抽選に並ぶ『ヤメ検』弁護士となった…。
そこに、人気YouTuberである瀬戸康史がハロウィンの夜、暗殺予告どおり地下鉄で突き落とされ命を落としそうになり、犯人をネットで追求し、高橋克実の元を訪ね、『23条照会』を依頼する。『23条照会』とは…?
■想像を超える難しい『IT用語』が並ぶので解説したくなった
番組で登場する『IT専門用語』の解説をしようと思ったら、さすが原案者の河瀬弁護士のモノリス法律事務所の『風評被害対策』で第1話の解説がなされている…。ドラマは、第5回まであるので、この解説も注目されることだろう。
詳細はリンクでみていただき、ダイジェストを簡単にサマライズすると…こうなる。
1.独自ドメインの管理者の特定…who is
筆者のサイト 『4knn.tv』 を検索してみたtech-unlimited.comの『Who is』で検索してみた
https://tech-unlimited.com/whois.html
筆者の4knn.tv ドメインは… レジストラのGMO お名前.com が管理していることがわかる。
コンテンツのサーバは、NS1.XSERVER.JP でXSERVER.JPが管理していることがわかる。
ドメインネームをWho is で検索するだけでこれだけわかってしまう。
ドメインがわかると、SEOツールなども使える… 外部リンク数やTrafficランク、インデックス数など。
SEOチェキ!
2.ドメインに挿入されているアクセス解析のためのGoogle Analyticsコードで特定
ドラマで登場する 『アクセス解析サービスの割当ID』 とは、一瞬???だったけれど、Googleが提供するサイトのアクセスを解析するGoogle Analyticsのコードの事だった。
『4knn.tv』をGoogleChromeのブラウザで開き【表示】>【開発/管理】>【ソースを表示】させる。
その中で、Google Analyticsの『ユーザーエージェント』番号を意味する『UA-』を検索するとJavaScriptのコートの中で『UA-54710171-1』の文字が特定できた。これで管理者のGoogle Analyticsコードを特定することができる。
3.Analyticsコードから同じコードで解析しているページを特定する『spyonweb.com』
筆者はこのAnalyticsコードではひとつのサイトしか運営していないので他のサイトは特定できなかった。
4. アフィリエイト広告からサイト運営者の個人情報を『23条照会』で特定
しかし、ドメイン名の『4knn.tv』を『Spyonweb』に入力してみると、Google Adsenseのアフィリエイト広告のコードが特定できた。
「pub-xxxxxxx」が『アフィエイト広告』のアドセンスのコード、「UA-xxxxxx」が『ウェブ解析ツール』のアナリティクスのコード
ここまでわかれば、『弁護士会照会(23条照会)』によって、個人情報をアフィリエイト提供事業者から特定できる。
また、IPアドレス(サーバの設置してある番地)がわかるので、『Bing』の検索で、『ip:157.112.152.58』で検索すると同じサーバの番地でサービスされているサイトが検索できる。
5.弁護士だからできる【弁護士法第23条の2】『23条照会』の情報開示による特定
□弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。
□申出があった場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
□弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC1000000205
https://www.nichibenren.or.jp/activity/improvement/shokai/what.html
弁護士は、この【弁護士法第23条の2】『23条照会』によって、所属する弁護士会を通じて、必要事項を求めることができるのだ。よって、弁護士が強力なカードとなる。
プロバイダー(ウェブサーバ管理会社)への情報開示請求の方法
https://monolith-law.jp/article/reputation/disclosure-of-the-senders-information
…と、このようにITがわかる人と弁護士のチームによることで、『デジタル・タトゥー』による、消えない風評やネットの匿名の人を特定できる手法がある。
匿名の掲示板や自宅以外の書き込みだからといって、他者に被害を被らせた場合は、このように『デジタル尾行』される可能性もあることも、ドラマを見ながら学んでいただければと思う。
また、弁護士さんといえども、ITに詳しい弁護士がまだまだ日本に少なすぎるので、今回のYouTuberと弁護士とのタッグのストーリー展開は気になるところだ…。弁護士さん向けのITサービスも考えられそうだ。
ちなみに、日本経済新聞の私の履歴書に連載中の橋田壽賀子さんによると、視聴者の共感を呼ぶ3つの要素があるそうだ。
1 .身近なテーマ
2. 展開に富んだストーリー
3. リアルな問題点
土曜ドラマ『デジタル・タトゥー』は、見事にあてはまっているのではないだろうか?
■原案者 河瀬弁護士のコメント
□今回のドラマでは、人間の「業」や「情念」のようなものはネット社会の前も後も変わらないこと、ただ、ネットは、よく言えば「民主的」ですが、悪く言えば、そうしたものを容易に、即座に拡散させ、そして延々と残し続けるものであることを念頭に置いています。
第1話では、ネット上の「匿名」や「仮面」は、多くの場合完璧でなく、IT技術や法的手段はそれらを追跡できる、というシーンが特徴的だと思います。第2話以降の展開も面白いので、是非見て頂ければ嬉しい限りです。
NHK土曜ドラマ『デジタル・タトゥー』原案者の河瀬 季(かわせ・とき)弁護士
それはそうと…筆者と河瀬弁護士との対談YouTube番組も…「デジタル・タトゥー」に便乗して続編を作らなきゃ!
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