KNNポール神田です!
毎日新聞(2016年4月6日)によると…
と報道があった。関東財務局が立入検査とは物騒なタイトルだ。LINEは同日リリースを発行した。
立入検査は、定期的なものとの見解を表明した。
LINE POP内のアイテム「宝箱の鍵」が、「資金決済法」の「前払支払手段」に該当するのかどうか?該当するならば…
前払支払手段として、該当するならば、未使用残高の半額、少なくとも数十億円にもわたる供託金を万一の場合に備えて供託しておく必要がある。基本的には供託金には利息もなにも発生しないので、この該当するかどうかの見解はとても重要だ。
これに対してLINE側は…
と答えている。前払式支払手段に該当するかどうかの認識もまだ明確ではないようだ。
ITに詳しい弁護士であるコスモポリタン法律事務所の河瀬季弁護士に聞いた…。
「お金とは何なのか」という、ある種哲学的な問題
ビットコインなどとも共通する問題ですが、法律は「お金とは」という一般的な定義を置いていません。「お金的なるもの」に関する法律は、複数ありそれぞれ定義が異なる。例えば「ビットコインはお金なのか?」というのは弁護士的には回答不能な質問で、「ビットコインは●●法上の(お金的なるものである)●●なのか」でないと回答はできない。今回問題になっているのは、「LINE POP上の特定のアイテムが、資金決済法上の「前払式支払手段」なのか」ということも同様です。
資金決済法は、「民間企業が勝手にお金的なるものを創設し、顧客のリアルマネーをそれに交換させ、交換させた上で逃げたりしたらまずいよね」という問題意識を持っているので、「そういう問題が発生しそうなもの」を「(お金的なるものである)前払式支払手段」と定義し、規制しているわけです。ビットコインは主に税法との関係で「お金なのか?」が問題にされており、税法には税法の論理があるので上記とはまた別の話になります。
今回のLINEの件を簡単に噛み砕いて説明すると…。SUICAにお金をチャージした状態でJRが倒産したら困るけど、LINE POPの例のアイテム買った状態でLINEが倒産したときに同じレベルで困るのかどうかが問題なのです。また、LINE側が仕様変更で逃れようとしたことを批判する言説はありますが、正直なところを言えば、企業として、定義が曖昧な法律があって、それによる規制を受ける可能性を示唆されれば仕様変更を行うのは当然の対応と思います。資金決済法上の前払式支払手段の定義から外れるような仕様変更であり、LINE社の対応は(弁護士的には)正しいと思います。むしろ、ゲームを機軸にしたプラットフォームというものの巨大化によって、「お金」のバーチャル化がさらに一歩進んだ瞬間を感じました」と河瀬弁護士談。
「お金」そのものを定義する法律がない状態で、「お金的なもの」を規定し、「定義が曖昧な法律」で「消費者を保護する」というなんだか、法律そのものの論理が破綻しているかのような気になった。