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大混戦!第82回菊花賞のポイントとみどころ

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2013年菊花賞優勝のエピファネイア(写真:アフロ)

今年の菊花賞は大混戦!

 今年の菊花賞は混戦だ。皐月賞馬のエフフォーリアは来週の天皇賞(秋)に出走予定であり、ダービー馬のシャフリヤールはジャパンカップを視野に入れて調整中。牡馬クラシック第三弾の菊花賞に出走するダービー再先着馬は3着のステラヴェローチェで前日オッズで1番人気に推されている。ただし、1番人気といっても4.1倍。2番人気のオーソクレースが4.6倍、3番人気のレッドジェネシスが4.8倍と抜けた人気ではない。前日単勝オッズ10倍以下はタイトルホルダーの8.2倍までの4頭となっている。

 これまで菊花賞は上位人気馬が人気にこたえるレースが多かったが、今年は京都改修工事中により阪神開催ということもあり、大混戦ムードは必至である。

 向こう正面に坂のあるが最後の直線は平坦な京都コースに比べて、ゴール手前に急な坂がある阪神芝3000のほうがラストの攻防でタフさが求められる。さらに内回りコースで実施されるため、3コーナー付近からポジション争いが激しくなるため、積極的なレース運びが求められる。

2021年菊花賞枠順
2021年菊花賞枠順

■2021年菊花賞参考レース

神戸新聞杯

セントライト記念

皐月賞

すみれS

札幌日刊スポーツ杯

ラジオNIKKEI賞

木曽川特別

三田特別

1番人気のステラヴェローチェは良馬場優勝なし

 ステラヴェローチェはこれまで良馬場で一度も勝っていない点が気になる。新馬戦はやや重、重賞2勝だが、サウジアラビアRC(GIII)も神戸新聞杯(GII)も不良馬場だった。これまで掲示板を外したことがない善戦ぶりだが、GIでは勝ち切るに至っていない。勝っても不思議はないが、頭では買いにくいところだ。

 なお、菊花賞当日の天候は見事な秋晴れ。馬場も良の見込みだ。

キャリアの浅いオーソクレースの伸びしろ

 キャリアは4戦と浅いが伸びしろが期待できるのはオーソクレースとエアサージュ。

 オーソクレースは骨折による長期休養明けにも関わらずセントライト記念で3着に入った。鞍上は引き続きルメール騎手が手綱をとる。父は菊花賞馬のエピファネイア、母はエリザベス女王杯を優勝したマリアライトでいずれもGI馬。ひと叩きされて気配は確実に上向いており、筆者も狙いたいと考えている1頭だ。

 エアサージュは前走が札幌の条件戦(2勝クラス)で重賞は出走したキャリアすらない。しかし、デビューからずっと2000m以上のレースをを使われており、前走の日刊スポーツ杯では芝2600m戦で古馬相手に勝利をおさめている。こちらもまだまだ上昇途上であるが、人気はないが面白さを秘めた1頭とみている。

省エネタイプで長距離適性の高いレッドジェネシス

 レッドジェネシスも長距離戦を意識的に選んで走ってきている。夏を越して心身ともに成長がみられる上に3枠5番の好枠を引き当てた点も心強い。陣営によれば「省エネタイプで無駄な力を使わない馬」(大江助手)とのこと。そういった気性も長距離に向いているのだろう。

この秋、急上昇中なのはこの馬!

 アサマノイタズラも春と比べてかなりの成長力がうかがえる。前哨戦のセントライト記念のあと、動きに素軽さが出てきているし、菊花賞の追い切りの動きも実によかった。

 ディープモンスターの上昇度の著しい。休み明けで菊花賞がぶっつけ本番になる点は不安だが、日を追うごとに体も増え、筋肉にハリも出てきている。鞍上の武豊騎手は菊花賞5勝でJRA史上、いちばん菊花賞を勝っている騎手である。初GIも1988年のスーパークリークだった。大混戦であり、騎手の腕がモノをいう長距離戦だけに実績のあるベテランに頼りたくなるのは筆者だけではないはずだ。

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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