子どもの貧困・体験格差・教育格差、報道が劣化しないために #専門家のまとめ
年末年始にひとり親家庭が大変、被災地の子どもたちの体験格差や教育格差が拡大している、そんな報道が多い年の瀬です。
大変な状況の子どもたち、家族の報道が増えることは、社会の関心を高めるためにも大切なことです。
いっぽうで、その報道の質に懸念を抱くケースもあります。
ひとり親だけが貧困なのか?
体験格差や教育格差という言葉を曖昧に使っていないか?
論点を詰め込みすぎではないか?
複数のYahoo!エキスパートからも、違和感を表明するコメントが出てきています。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
ひとり親家庭の報道は何のために存在するのか、常見洋平さんの指摘にはっとしました。
また、以下の常見さんのコメントも大切です。
「ひとり親家庭の支援が、『金』に関する話に終始しがちなのもまた問題である。たとえ、共稼ぎ世帯よりも稼いでいたとしても、『時間』や『心理的余裕』もまた問題である。もっともこれらは、『金』よりも可視化も計量化もしにくい問題である」
論点を明確にできない報道は、解決すべき課題を明確にできず、貧困のスティグマ化が進みます。
子どもの貧困をなんとかしたい。
被災地の子どもたちを応援したい。
熱い思いのジャーリストほど以下のことを大切にいただければと思います。
・論点を詰め込みすぎていないか?
・貧困・体験格差・教育格差というバズワードを安易に使わず、「どこの」「誰の」「どんな課題」を報道したいのか?
・貧困はかわいそう、というレッテル貼り(スティグマ化)をしていないか?
・貧困や格差問題は社会全体で解決すべき子どもの権利侵害問題との視点はあるか?
・論点整理に困ったら、研究者の助言を仰ぐ
こども家庭庁委員をつとめる私も、より良い報道、そして子どもの貧困や様々な格差の改善のための報道に協力します。