Yahoo!ニュース

まだあったクルーズ船問題!4人死亡、感染者多数?の米ザーンダム号 フロリダから受け入れ拒否

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
3月27日、パナマシティ沖に浮かぶザーンダム号(写真:ロイター/アフロ)

南米発の米クルーズ船内で4人死亡、入港拒否に

ダイヤモンド・プリンセス号、ウエステルダム号、グランド・プリンセス号と、2月から3月にかけて世界各地では多くのクルーズ船がCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の船内感染により寄港できない問題が多発した。

しかしこの問題は終わっていなかった。4月に入っても、まだ同様の問題を抱えたクルーズ船がある。

ホーランド・アメリカ・ライン(本社、米シアトル) が運航するクルーズ船「ザーンダム号」(Zaandam)では、新型コロナウイルス感染症で乗客4人の死亡が確認された。また190人以上の乗客乗員がインフルエンザのような症状を訴えており、そのうち8人がウイルス検査で陽性となっている。

死者4人の国籍はアメリカ、スウェーデン、イギリス、オランダ。多くは老夫婦での参加で、配偶者が死亡した後も、残された家族がそのまま船内に隔離されている状態だ。

ザーンダム号は中南米諸国への寄港やパナマ運河の通行を拒否され、中米の太平洋岸を漂流していた。3月29日になり足止めとなっていたパナマ運河の通過が認められ、31日トランプ大統領がフロリダ州に受け入れを求めていた。

CNNの報道では、フロリダ州のマイアミ・デイド郡とブロワード郡に2つの仮設の野外病院が作られ、約30%のベッドにまだ空きがあるという。

しかし4月1日になり、フロリダ州のロン・デサンティス知事が、州内の病床の数が限られていることを理由に「フロリダ州民のみを受け入れる」と発表し、そのほかの乗員乗客について再び宙に浮いた状態になった。

ザーンダム号の乗客乗員は当初約2500人だったが、途中で医療スクリーニング検査をパスし健康に問題のないとされる乗員600人強と乗客800人は別のクルーズ船「ロッテルダム号」に移され、フロリダ州フォート・ローダデール市に向かっている。現在ザーンダム号の船内にいるのは、残りの乗員602名と乗客446名。その中でアメリカ人は約300人以上で、うち49人がフロリダの住民とされている。

救出を求めているカナダ人乗客のクリス&アンナ・ジョイナー(Chris & Anna Joiner)夫妻。

このザーンダム号がいつ、どこを出航したのかと言えば、3月7日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスからで、21日にチリのサンアントニオ市に到着する予定だったようだ。しかしチリに入港を拒否され、14日以降はどこにも下船できていない状態にある。しかもCNNの報道では、このような問題を抱え今もなお漂流中のクルーズ船が、ほかにもまだ約12隻以上もあるという。

3月7日と言えば、横浜沖のダイヤモンド・プリンセスが世界中で話題になってから1ヵ月以上が経ち、また別のグランド・プリンセス号がどこからも入港許可がもらえずカリフォルニア沖で彷徨っていた頃だ。なぜそのような時期にも多くの高齢者を乗せ出航をしてしまったのだろうか。今後の行方を見守りたい。

ニューヨークのこの日の感染者数はこちら

Updated:

現地時間の4月2日にフロリダに入港が許されました。入院者以外のアメリカ人は14日間の隔離施設に移動し、外国人は空港からそれぞれ帰国の途につきました。

(Text by Kasumi Abe)  無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

安部かすみの最近の記事