保育士に大切な考え方は自分に矢印を向けること~元男性保育士が考える【保育士の考え方のヒント】
元男性保育士のナイスです。
保育士の皆さん、毎日のお仕事お疲れさまです。
子ども達と一緒に楽しい毎日を過ごせていますか?
楽しい中にも子どもへの関わりでは難しいことや悩むこともあるでしょう。全力で子ども達と過ごすには体力も使うので、毎日の疲労感は大きいと思います。加えてたくさんの業務や保護者対応、職場の人間関係など精神的苦労も大きくストレスが溜まることでしょう。
いくら大変なことがあっても、かわいい子ども達に関わる大好きな仕事だからこそ頑張って続けている人はたくさんいます。しかし、無理をして頑張りすぎて身体を壊すことがないよう自分で気をつけなくてはなりません。
保育士に大切な考え方はいろいろあります。人によっても違うでしょう。今回は僕が考える、保育士にとって大切な考え方のヒントをお伝えします。
自分に矢印を向けましょう
保育士に大切な考え方は、「自分に矢印を向けること」だと僕は思います。保育士に限らず誰でも、いつでも自分に矢印を向けるという考え方や姿勢は大切です。しかし、特に保育士には必要だと思います。
「自分に矢印を向ける」というのは、「人のせいにしない」ということです。人は何かあると、とかく他人のせいにしがちですが、自分に原因があってもなくても自分に意識を向けて振り返ってみることが大切だと思います。それは、「なんでも自分のせいだと思って自分を責めなさい」ということでは決してありません。何か出来事が起こったときに「自分はそのときどうしていたか?」「自分の取った行動は正しかったか?」「ほかにできることはなかったか?」「その出来事を基に、今後自分はどうしていったらよいのか?」など、起きた出来事を自分に当てはめてみる考え方です。
自分に矢印を向ける考え方の事例
具体的な事例を6つ挙げて、内容を解説します。
自分に矢印を向ける考え方の事例① 気が合わない同僚がいる
職場の人間関係が良好であれば、仕事が大変でも乗り越えていけるでしょう。しかし職場の人間関係がうまくいかなければ、いくら仕事が楽しくても続けて行くのが辛くなります。それだけ人間関係の影響は大きく、重要な事柄です。また、職員ではなく保護者の中に苦手な人がいる場合もあります。
「人を変えたかったら、自分が変わりなさい」という言葉を聞いたことはありますか?人を変えようとするのは難しいことですが、自分が変われば相手に影響を与えて変わるかもしれないという考え方です。
苦手だからと相手を避けていては状況は変わりませんが、まずは苦手な相手に「自分から話しかけてみる」「価値観が自分と違っていてもまずは受け入れてみる」など相手を変えようとするのではなく、自分にできることをやってみるということです。
話してみたら相手の知らなかった一面が見えて印象が変わったり、受け入れられなかった考え方が少し理解できたりすることがあるかもしれません。
自分に矢印を向ける考え方の事例② 同じクラスの同僚がミスをしたとき
同じクラスの担任をしている同僚が、園児の荷物の渡し間違いをしてしまったとします。あなたは別の園児の対応をしていて、カバンに入れ間違えたのは同僚なのであなたは悪くありません。しかし「間違えちゃったのね、ドンマイ」で済ませてしまったら、同じミスがクラス内で再び起こるかもしれません。次にミスをするのは、あなたの可能性もあるでしょう。
クラス内のミスなので連帯責任だと言っているわけでも、同僚を責めるべきだと言っているわけでもありません。
「ミスを未然に防ぐために、そのとき自分にできることはなかったか?」
「今後、自分も含めて渡し間違いのミスが起こらないためにどうしたらよいのか?」
などということを考えるのです。
クラス内、園内のことなので、ほかの職員にも投げかけて対策や改善点を話し合うことも必要でしょう。
自分に矢印を向ける考え方の事例③ 園児がケガをしたとき
保育士は園児が保育中にケガをしないよう十分な注意や配慮をしながら過ごしていますが、ケガが起こることがあります。子どもが1人で走っていて、自分で転ぶこともあるでしょう。転び方が悪いと、骨折や歯が折れるなどの大きなケガにつながることもあります。
「子どもは自分で走っていて転んだのだから、防ぎようがない。仕方なかった」と片付けてしまえばそれまでです。確かに防ぎようはなかったのかもしれませんが、園内で起こったケガはたとえ園児の自損事故でも園の責任です。
「転ばないために、自分にできることはなかったか?」
「環境設定や職員の任数や配置に問題はなかったか?」
「自損事故はおきないために、今後できることはないか?」
など考えてみることが大切です。その振り返りが、今後のケガの防止につながるはずです。
園内のケガもあなた1人の問題ではないので、自分に矢印を向けて考えた後、園内で話し合い共有することが望ましいでしょう。
自分に矢印を向ける考え方の事例④ 子どもが不安定な状態になったとき
「いつも元気な子が珍しく大泣きして登園してきた」「いつも穏やかな子がイライラして友だちに嚙みついた」など、園児の様子がいつもと違い不安定な様子になることがあります。そのときに「家で何かあったのだろう」と、家庭に原因があると考えたことはありませんか?家庭に原因がある場合もあるでしょう。保護者に様子を伝えたり家の様子を聞いたりして原因を探り、保護者と足並みを揃えながら適切な配慮をしていくことは大切です。
しかし、家庭に原因があったとしても
「昨日、園で何かあったかな?」
「自分の関わりに問題はなかったか?」
「この子が安定するために自分は何をしたらよいのか?」
など、自分や園に矢印を向けて考えることで適切な配慮や今後の対応策が見えてくるでしょう。
自分に矢印を向ける考え方の事例⑤ 仕事で大きな成果が出たとき
「園長に褒められた」「保護者から嬉しい言葉をかけてもらった」「行事が成功した」など、仕事をしていると嬉しい出来事もあります。そのときは、自分で自分の努力を称えたり褒めたりして遠慮することなく思う存分喜びましょう。
喜んだ後は、
「なぜ上手くいったのか」
「今後、もっと向上していくために何が必要か」
など自分の行動や原因を振り返って検証することで、さらなる向上や進化が期待できます。
自分に矢印を向ける考え方の事例⑥ 人に誤解されたとき
保育は過程が大切です。自分なりに考えや意図をもって日々子ども達と向き合い関わっていく中で、その状況や過程を知らない人が通りかかり、一瞬の場面を切り取られて誤解されてしまうというようなこともあります。弁解や説明をしても、言い訳だと捉えられてしまい、とても悔しい思いをします。
しかし、そんなときこそ自分を振り返るチャンスです。
「自分の考えや意図は間違えていなかったか?」
「なぜ誤解されたのか?」
「今後、誤解されないように気をつけることはないか?」
など誤解されたことをきっかけに、矢印を自分に向けて自分の保育を振り返る機会にしましょう。
それでも自分は間違えていないと思うなら、気にせず堂々と自分の保育を貫いてよいと思います。自分に矢印を向けて考えられる人は、常に自分を振り返り成長していける人です。
自分に矢印を向ける考え方をするポイント
以上、わかりやすく事例として挙げてみました。忙しい毎日で、こんなに考えていられないと感じた人もいるでしょう。全ての出来事において自分に矢印を向けた振り返りができればよいですが、現実は難しいでしょう。余裕があるときや、大きな出来事が起きたときだけでも構いません。
しかし人のせいにしたり深く考えなかったりしていては、現状がよい方向に向かっていくことは困難でしょう。普段から「自分に矢印を向ける」「自分を基準に考える」ということを、意識したり心がけたりすることが重要です。
また、自分に矢印を向けることで、自己肯定感が下がるのではないかという印象を持った人もいるかもしれませんが、実際はその反対です。人のせいにしてしまえば一見楽なようですが、人のせいにして自分の気持ちはスッキリするでしょうか。その人を責めても、その人が変わらなければまた同じことの繰り返しでしょう。
人に矢印を向けて批判したり期待したりするよりも、自分に矢印を向けることで課題や修正点に気付き、実践することで自分自身の成長やレベルアップ、ステップアップに必ずつながります。つまり、自分に矢印を向けるということは、前向きな意識の表れなので、自己肯定感も上がっていく考え方なのです。
まとめ
「自分に矢印を向ける」
普段から意識している人もいれば、初めて聞いた考え方だという人もいるかもしれません。
保育士は給料の安さや待遇、過酷な労働条件などがたびたび話題になっていますが、今後早急に改善されるべきだと思います。しかし、保育士として働いている人は、その労働条件を承知のうえで保育士を志した人が多いでしょう。そして、きっと子ども達のためによい保育をしようと日々努力していると思います。
自分に矢印を向けるということは、自分を責めることではありません。よくないことが起こったときにも自分に矢印を向けることが大切ですが、よいことがあったときにも自分に矢印を向けると喜びは倍増し、自信につながります。そして、さらに成長していけるでしょう。
つまり「自分に矢印を向ける」というのは自分自身が向上でき、充実した保育をするための考え方です。共感していただけた人は、今日から少しでも意識してみてもらえたら嬉しいです。