Yahoo!ニュース

センバツ高校野球・躍進度では、やはり群馬と山梨が目立つ。元気がないのは……

楊順行スポーツライター
(写真:イメージマート)

 第96回選抜高校野球大会は、健大高崎が群馬県勢初優勝を果たした。昨年の山梨学院に続く、県勢の初制覇。コロナ禍で中止になった2020年を除く直近の10大会で、47都道府県の勝利数をまとめると、当然ながら群馬と山梨の躍進が目立つ。表は順位、()内は前年の同じ集計の順位、都道府県名、勝敗、○数字は引き分け、優勝と準優勝の回数。

1 (1) 大 阪 34勝10敗 3 2

2 (5) 兵 庫 17勝11敗 0 2

3 (2) 京 都 15勝11敗 1 0

4 (3) 愛 知 14勝7敗  1 0

5(19) 群 馬 13勝7敗② 1 0

(4) 奈 良 13勝9敗  1 0

(11) 千 葉 13勝9敗  0 1

8 (7) 和歌山 12勝13敗 0 1

9(21) 石 川 10勝6敗

(10) 福 岡 10勝8敗①

(11) 滋 賀 10勝9敗① 0 1

(14) 広 島 10勝10敗①

(9) 東 京 10勝15敗

14(22)山 梨 9勝6敗   1 0

(17)大 分 9勝6敗  0 1

(13)栃 木 9勝7敗

17(18)神奈川 8勝6敗  1 0

(6)福 井 8勝10敗① 1 0

19(26)茨 城 7勝7敗

  (23)熊 本 7勝7敗

21(8) 埼 玉 6勝4敗

  (20)宮 城 6勝6敗

  (23)岩 手 6勝6敗

  (25)香 川 6勝7敗  0 1

(34)青 森 6勝8敗

(15)北海道 6勝10敗  0 1

(16)高 知 6勝11敗

28(29)沖 縄 5勝5敗

(31)長 崎 5勝7敗

30(33)三 重 4勝5敗

(26)静 岡 4勝6敗

32(29)岐 阜 3勝5敗

(38)徳 島 3勝5敗

(34)鹿児島 3勝6敗

35(37)秋 田 2勝3敗

(32)福 島 2勝4敗

(41)岡 山 2勝6敗

(36)山 口 2勝7敗

(28)愛 媛 2勝7敗

40(40)鳥 取 1勝4敗

41 宮 崎 0勝5敗

富 山 0勝3敗

長 野 0勝3敗

山 形 0勝1敗

新 潟 0勝1敗

島 根 0勝1敗

佐 賀 0勝1敗

群馬は、昨年同じ集計をした時点では19位だったが、健大高崎の優勝でベストテンどころか5位まで大きくアップ。同様に、今センバツでベスト8入りした山梨も22位からさらに順位を上げた。群馬は過去のセンバツで通算41勝だから3割強の勝ち星を、同様に山梨は通算32勝だから、3割弱をこの10年で挙げたことになる。また、星稜が県勢初のセンバツ4強入りした石川が躍進したほか、報徳学園が2年連続準優勝した兵庫が2位に、10大会で5回ベスト8入りしている福岡も順位を上げた。

 逆に、13年優勝の浦和学院の勝ち星が消えた埼玉は順位を下げ、同じ年に済美が準優勝している愛媛も35位に下がったが、前年までの10大会でも28位。愛媛の通算勝利数66は全体の12位だから、このところちょっと元気がないといえる。通算勝利数では23位の群馬と27位の山梨が躍進著しいのとは逆で、ほかに元気がないのは高知(通算93勝は7位)、岐阜(67勝は11位)、静岡(56勝は16位)あたりか。

大阪は宮城の100年分の勝ち星を10大会で

 それにしても、大阪は強い。今センバツの優勝候補だった大阪桐蔭は8強止まりだったが、10大会のうち優勝3回(いずれも大阪桐蔭)、準優勝が2回(履正社)。つまり確率としては、2大会に一度は決勝に進んだことになる。ほかにベスト4が2回、ベスト8も2回。出場はのべ15校だから3校に2校は8強以上に進む計算だ。この期間に挙げた34勝は、宮城の100年がかりの数字と同じなのだからものすごい。

 ほかにも近畿勢は、この期間のセンバツで6府県ともに10勝以上で勝ち数ベストテン入り。地区内の格差が大きいのが北信越で、敦賀気比、星稜が活躍する福井、石川は健闘しているが、新潟、富山、長野の3県はそろってこの期間未勝利の7戦全敗。通算勝利数ランキング最下位の新潟と佐賀は、過去10大会で1回しか出場していない。佐賀の白星は00年の佐賀商と、もっとも勝利から遠ざかる県でもある。九州では、その佐賀と宮崎以外の6県が3勝以だ。

 宮城、福島、神奈川、山梨、静岡の勝ち星は、それぞれ仙台育英、聖光学院、東海大相模、山梨学院、静岡と1チームによるもの。いずれも県内に強力なライバルがいるが、近年のセンバツに限っては"1強状態"だ。

 もっともそのうち、今センバツに出場したのは山梨学院だけ。その山梨学院も、センバツV後の昨夏は、県大会で姿を消した。各校がじっくり戦力を強化してくる夏は、また違った結果になるかもしれない。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は64回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて55季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

楊順行の最近の記事