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ChatGPTと共存するAI時代、子どもに教えるべき本当に大切なスキルとは

保育士ごんちゃん保育士/チャイルドカウンセラー

こんにちは!保育士ごんちゃんです。

「無理しない育児」をモットーに、保育士として地域の子育て支援事業に従事しながら、オンラインでも育児に関する情報発信をしています。また教員養成大学の研究センターで研究員として子どもの自立について研究中です。

そして私も現役の子育て世代で、3人姉弟の育児に日々奮闘しています。

先日久しぶりに子育て支援関係の仕事をしている方々が集まる講座に行ってきました。

そこで私が、ますます育児を大事にしたい思いが強くなったエピソードがありましたので、そのことを今回は皆さんにシェアしていきますね。

AIの時代だからこそ大切な「言語化の力」

あなたは普段の生活でAIを使うことはありますか?

よく聞くツールの1つに「ChatGPT」がありますよね。Google検索みたいな感じで、「〇〇について教えて」って聞くと、AIが回答を出してくれるんです。

最近では、文章を生成するAIだけでなく、画像やイラスト、動画まで生成できるAIもどんどん増えてきています。私自身もAIにとても詳しいというわけではないのですが、ここ数年で身の回りでよく耳にするAIツールが増えてきたなぁと実感しています。本当に時代の流れが早いですよね。

そんな中で、ママさんたちと話をしていると、子育ての心配事として「将来、子どもの仕事がAIに取られてしまわないか」という声をよく聞くようになりました。私たちの子ども時代、あるいはひと世代前だと「安定した大企業に入ってほしい」「公務員になってほしい」といった願いが多かったように思います。でも、今は本当に時代が変わってきていますよね。

そんな背景がある中で、私が今でもとても大切だと考えているのが「言語化する力」なんです。

確かに、AIがいろんな文章を作ってくれる時代になってきて、自分で1から考えなくてもよいような場面も増えてきました。でも、人間が持つ「言語化する能力」は、これからの時代にむしろ一層重要になってくると感じています

その理由は、大きく2つあって、1つ目はメンタルの安定につながるから、2つ目は学習・勉強、そして仕事に欠かせない能力だからです。

メンタルの安定につながる「言語化の力」

私たちのメンタルが不安定になるとき、例えば、落ち込んでいるとき、不安を感じているとき、絶望感があるときにも、言語化の力は重要です。

私はうつ病を経験したことがありますが、心の病から回復していく過程でとても効果があったのが「自分の内側にある気持ちを言語化して外に出す」ということでした。

私の場合は、絵日記や「いいこと日記」をつけることで、なんとなく内側に溜め込んでいたモヤモヤを外に出す習慣がありました。これによって、少しずつメンタルが安定していったんです。

言語化の方法と言ってもいろいろありますよね。1人で行う場合は日記やジャーナリング(気持ちの書き出し)、誰かと一緒に行う場合はカウンセリングなどです。

カウンセリングでは、内側に溜め込んでいる思いや苦しい気持ちを相手に話すことで、不思議とメンタルが落ち着いていきます。

実は、これには科学的な根拠もあるんです。不安を感じているときは、脳の「扁桃体」という部分が興奮している状態だと言われています。この扁桃体の興奮を静めるのに効果的なのが、実は「言語化」なんです。

つまり、モヤモヤした気持ちや不安な気持ちを頭の中だけに置いておくのではなく、「今、こんな気持ち」「こんなことが不安」というように外に出して言語化することで、心が落ち着いていくんですね

また、大人だけでなく、子どもの心の発達においても言語化は重要な役割を果たします。

特に幼児期の子どもは、まだ言語能力が十分に発達していません。だからこそ、子どもが不安そうだったり、メンタルが不安定になっているときは、大人との対話がとても大切になってきます

例えば、「〇〇が嫌だったんだね」「△△なことが不安なのかな?」「□□したくて、モヤモヤしてるのかもね」などのように子どもがうまく表現できない気持ちを、大人が言葉にして返してあげることで、子どもは「あ、今の気持ちってこういうことだったんだ」と学んでいくんです。

この「気持ちに寄り添って言語化する」というのは、AIにはなかなか難しい部分です。だからこそ、これからの時代にも、人との関わりの中で大切にしていきたい力だと思います

確かに、AIを使えば文章はすぐに作れます。でも、自分の内側にある思いやモヤモヤした気持ちまでAIに任せっきりにしてしまうと、それらが溜まっていってメンタルが不安定になりやすいんです。

大切なのは、日記やジャーナリングなど、自分の中の気持ちを溜め込まない習慣づくり。これは子育て中のママの心の健康を保つためにも、とても大切なことだと思います。

学習・仕事に欠かせない「言語化する力」

これからのAI時代、確かにいろんなツールが登場して、仕事のアシストとして使えるようになっていくでしょう。でも、AIに指示を出すのは私たち人間です。

例えば、「計画を立てる」「人の思いを汲み取る」「アイデアを言葉にして形にする」「考えを整理して伝える」といった場面では、特に人間の言語化する力が重要になってきます。

つまり、AIが文章を作れるからといって、人間の言語化する力が不要になるわけではないんです。むしろ、考える力、そして考えたことを言葉にして伝える力は、学習や仕事において、これまで以上に大切になってくるかもしれません

また、私自身の子育ての中でも、言語化する力を育むことを大切にしています。

例えば、子どもとできるだけたくさん会話をすること、文字が書けるようになったら、一緒に日記をつける習慣をつくること、日々の出来事について、感じたことを言葉にして共有することなどです。

言語化のスキルを高めるために

「私、言語化するのが苦手...」と感じている方も多いかもしれません。でも心配いりません。言語化のスキルは、練習を重ねることで必ず伸ばすことができます。

具体的な練習方法としては、まず、インプットしたらアウトプットすることです。例えば、得た情報を自分の言葉で書き出す、記事を読んだ感想を書く、学んだことを誰かに説明するとよいですね。

次に、日常的な習慣づくりです。これは、日記をつける、SNSで感想を投稿する、コメント欄などがあればそこに自分の思いを書き込むのがおすすめです。

このような習慣は、頭の整理にもなりますし、記憶の定着にも効果的です。

AI時代だからこそ、人間らしい「言語化する力」を大切にしていきたいですね。ぜひ、今日から少しずつでも、自分に合った方法で言語化の練習を始めてみてください。

子どもたちの未来のためにも、まずは私たち大人が、自分の思いや考えを言葉にする習慣を大切にしていきましょう。そうすることで、子どもたちも自然と言語化する力を身につけていってくれるはずです。

あなたも、この記事を読んで感じたことや思ったことを、ぜひどこかに書き留めてみてくださいね。それが言語化の第一歩になります!

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今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう!

保育士/チャイルドカウンセラー

国立大学で子どもの自立支援について研究中の子育て支援保育士。九州大学教育学部卒。2019年2月に女の子、2021年11月、2023年10月に男の子を出産した3児の母。HSP(Highly Sensitive Person)の気質を持ち、人生で2度のうつ病を経験。現在はがんばりすぎるのをやめて「無理せず自分らしく」がモットー。育児のお役立ち情報やライフハック、子どもと楽しく過ごすための遊び心などを発信。

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