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エンジェルスに加わった「今シーズンのシルバースラッガー」はどれくらい期待できるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブランドン・ドゥルーリー Aug 3, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、新たなスラッガーを手に入れた。ESPNのジェフ・パッサンによると、ブランドン・ドゥルーリーと2年1700万ドルの契約で合意に達したという。

 今シーズン、ドゥルーリーは、シルバースラッガーを受賞した。ホームランは28本だ。エンジェルスで25本塁打以上を記録した選手は、40本のマイク・トラウトと34本の大谷翔平しかいなかった。

 ただ、ドゥルーリーが20本以上のホームランを打ったのは、今シーズンが初めてだ。それまでの最多は、2016年の16本だった。来シーズンは、メジャーリーグ9年目。年齢は30歳だ。

 また、ドゥルーリーの四球率は、6.7%に過ぎなかった。出塁率は.320だ。四球の少なさは、今に始まったことではない。

 エンジェルスの190本塁打は、ア・リーグで6番目に多かった。一方、出塁率.297は13位。ワースト3位だ。623得点と600打点も、出塁率と同じく、ワースト3位に位置した。

 しかも、ドゥルーリーのブレイクは、シーズンを通して持続したわけではない。シンシナティ・レッズでは、92試合で20本塁打、出塁率.335、OPS.855を記録したが、夏のトレードで移籍後、サンディエゴ・パドレスでは、最初の打席をグランドスラムで飾ったものの(写真)、46試合で8本塁打、出塁率.290、OPS.724に終わっている。

 ドゥルーリーがシルバースラッガーを受賞できたのは、ユーティリティ部門が新設されたおかげ、という見方もできる。ナ・リーグのユーティリティ部門のファイナリスト5人のうち、OPSが.800を超えたのは.836のジェフ・マクニール(ニューヨーク・メッツ)と.813のドゥルーリーの2人。他の3人は.730未満だ。マクニールは、出塁率.382を記録したが、ホームランは二桁に1本足りなかった。

 来シーズン、ドゥルーリーは、二塁を定位置とする可能性が高いものの、内野3ポジションと外野両翼に加え、遊撃も守る点は、ラインナップに柔軟性をもたらす。ただ、年平均1000万ドル未満の契約からも窺えるとおり、過剰な期待は禁物だろう。

 なお、ドゥルーリーに先立ち、エンジェルスが入手したスラッガー、ハンター・レンフローについては、こちらで書いた。

「エンジェルスが獲得した外野手の○と×。ここ2年の本塁打は17位タイ、出塁率はワースト22位」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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