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レッズの赤い彗星は、36盗塁だけでなく95三振も最多。このまま、盗塁王&三振王なら史上初!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
エリー・デラクルーズ(シンシナティ・レッズ)Jun 14, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月17日、エリー・デラクルーズ(シンシナティ・レッズ)は、5打席に立った。1打席目は三塁打(→外野フライで生還)、2打席は四球で出塁後に二盗成功(→牽制悪送球で二塁から生還)、3打席目は三振、4打席目はホームラン、5打席目は敬遠四球だ。

 今シーズン、三塁打は3本目、ホームランは12本目。四球は35(敬遠四球は初)、三振は95。盗塁は36を数える。これらのうち、盗塁と三振は、両リーグで最も多い。

 それぞれのナ・リーグ2位は、26盗塁のブライス・トゥラング(ミルウォーキー・ブルワーズ)と91三振のウィル・ベンソン(レッズ)。ア・リーグの1位は、22盗塁のホゼ・カバイェロ(タンパベイ・レイズ)と86三振の3人、ブレント・ルッカー(オークランド・アスレティックス)、ジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)、フリオ・ロドリゲス(シアトル・マリナーズ)だ。

 このままいけば、デラクルーズは、盗塁王を獲得するだろう。三振も最多なら、同じシーズンにリーグ最多の盗塁と三振――最多タイを含む――盗塁王&三振王は、1900年以降のナ・リーグとア・リーグで5人目となる。

 それまでの4人は、ナ・リーグが1905年に59盗塁&84三振のビリー・マロニーと1911年に81盗塁&78三振のボブ・ベスチャー、ア・リーグは1905年に46盗塁&105三振のダニー・ホフマンと1938年に27盗塁&97三振のフランキー・クロセッティだ。当時のベスチャーは、レッズでプレーしていた。

 前例はあるものの、人数は少ない上、いずれも80年以上も前だ。

 ただ、デラクルーズは、30-30の可能性もある。ここまでに、レッズは71試合を終えていて、デラクルーズは全試合に出場している。12本塁打と36盗塁を、162試合に換算すると、27~28本塁打と82~83盗塁となる。

 同じシーズンではないが、30-30の達成者のなかには、盗塁王と三振王になったことがある選手がいる。マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)は、メジャーリーグ2年目の2012年に、30本のホームランを打ち、49盗塁を記録し、30-30を達成した。このシーズンの盗塁は、両リーグで最も多かった。一方、2014年の184三振はア・リーグ最多だった。トラウトは、2012年に新人王を受賞し、2014年は最初のMVP――2度目が2016年、3度目は2019年――に選ばれた。

 また、トレバー・ストーリー(ボストン・レッドソックス)は、コロラド・ロッキーズ時代に、三振王のシーズン、30-30に近づいたシーズン、盗塁王のシーズンがある。メジャーリーグ2年目の2017年にナ・リーグ最多の191三振を喫し、翌シーズンは30-30まで3盗塁の37本塁打&27盗塁、短縮シーズンの2020年はナ・リーグ最多の15盗塁を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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