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小樽市長が記者会見で言及 余市ー小樽間の鉄道引き継ぎ目指す「後志鉄道」構想は「否定するつもりはない」

鉄道乗蔵鉄道ライター

 2023年9月29日に行われた小樽市長の定例記者会見の中で、北海道新幹線の「並行在来線」として廃止の方針が決定された余市ー小樽間について、鉄道経営の引き継ぎを目指す「後志鉄道」構想について、「そうした考えを決して否定つもりはない」と異例の言及があった。

発端は読売新聞のスクープ記事

 2023年9月25日に、余市駅を存続する会では、交通コンサルタントの阿部等氏を招き余市町内で関係者による意見交換会を実施。その際に明らかとなった「後志鉄道」設立構想を読売新聞が翌朝の朝刊で報じている。阿部氏のプランでは、長万部―余市間の鉄道を一旦休止として早期にバスに転換。この区間では年間25億円の赤字が発生していることから、この赤字回避分を財源として、長万部―余市間のバス路線の維持と余市―小樽間の鉄道維持を図り、新幹線開業後には長万部―余市間の鉄道を復活させる構想だ。

 そして、9月29日に行われた小樽市長の定例記者会見では、読売新聞がこの構想について小樽市長に対して質問を行った。

阿部氏の考えは否定するつもりはない

 定例記者会見の議事録によると、読売新聞からは近年の社会環境の変化として、「法改正により社会資本総合整備交付金が鉄道にも活用可能となったこと」「2024年問題を目前にドライバー不足が深刻化し受け入れられるバス会社が本当にあるのかということ」、さらに「公になってはいないが新幹線の札幌延伸開業が延びるかもしれない」など様々な状況の変化があることを指摘。その中で、「交通コンサルタントの阿部等氏の新鉄道会社構想が持ち上がり、バス転換だけではなく鉄道存続の選択肢も残しておいたほうが良いのではないかと思われるが、市長としてはどのように考えているのか」と質問した。

 これに対して小樽市長は、阿部氏の構想については認知しているとし「ドライバー不足の中で余市ー小樽間の輸送密度2000人を超える乗客を本当に運べるのかということがある」「鉄道廃止前倒しができれば、年間20数億円にもぼるJR北海道の赤字回避分の金額を地域の活性化のために使いたいと他の沿線自治体と話している」「JRからは仮に鉄道廃止を前倒しにしても沿線自治体の活性化のためにすぐに使えるわけではないと言われている」と回答。「当面は北海道庁とバス事業者の協議の様子を見守りたい」とし「阿部氏の考えは否定するつもりはないが、少し静観させていただきたい」と述べた。

【関連記事】

・2023年9月26日付記事(余市ー小樽間、鉄道存続に向けた民間主導の新会社 「後志鉄道」とはどのような計画か

・2023年9月27日付記事(余市―小樽間の鉄道存続へ向け 地元議員、住民らが民間主導で新会社「後志鉄道」設立へ

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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