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「引きこもり」から脱するために出来ることは何か?

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日のテーマは、「引きこもりについて考える」です。
サブタイトルは、「ひきこもりから脱するために出来ることは何か?」です。

哀しきかな、不登校引きこもり年々増え続けています。
2022年度の小中学校における不登校者数が、過去最多の29万9,048人となったことが、文部科学省が2023年10月3日に公表した調査結果から、明らかとなりました。小学生10万5112人(前年度比、2万3614人増)、中学生19万3936人(前年度比、2万494人増)です。

どちらも10年連続の増加で、不登校の小中学生児童生徒数は、30万人に迫っています。小学生の不登校は、10年前(平成24年度)の約5倍、中学生は約2倍に増加しました。
 ↑ ↑ ↑
これは驚くべき数字、凄い数字です。
どうして、こんなに不登校が増え続けていっているのでしょうか?

ある専門家は、こんなことをおっしゃっています。
不登校が増え続けている理由は、次の3つだそうです。
1.家庭の状況が変化したから。
2.親子のパワーバランスが逆転したから。
3.家の中の居心地が良くなり過ぎたから。

少し解説します。
1の「家庭の状況が変化したから」というのは、お母さんが社会進出することが増えたことにより、お母さんと子どもが触れ合う時間が減り、お母さんの愛情が子どもに届きづらくなり、その結果、子どもが弱くなってしまった…ということから、不登校児が増えた…のだそうです。よって、対策としては、お母さんが子どもに対しもっと愛情を伝えると良い…とのことです。

続いて2の「親子のパワーバランスが逆転したから」というのは、親が弱くなり、子どもが強くなって、子どものわがままが通るようになったから…だそうです。
よって、対策としては、もっと親が、特に父親が強くなる必要があるとのことです。具体的には、家庭では親がしっかり主導権を握って、ダメなことは「ダメ」といって、褒めるところはきちんと褒める、そしてめいっぱい愛情を注ぐことが大切だそうです。

続いて3の「家の中の居心地が良くなり過ぎたから」というのは、子どもにとって多くの我慢を強いられる学校よりは、冷暖房の効いた家の中、しかも自分専用の部屋で、スマホやオンラインゲームで、楽しく遊んでいるほうが快適だから…だそうです。
よって対策としては、スマホやゲームを取り上げ、もっと他のことに目を向けさせることが大切…なのだそうです。

ここまで読んで、
あなたはこの専門家の意見を、どう思い、どう感じたでしょうか?

私(竹内成彦)は、「一理あるなあ…」と思います。
でも、これ以上は、よう言いませんし、よう言えません。
というのは、不登校の親御さんの中には、大変にヒステリックな人が少なからずいて、誰かが少しでも何かしら意見を言うと、「何よ! 私たち親の育て方が悪いとでも言いたいの?」など、猛烈な攻撃を仕掛けてくる可能性があるからです。

続いて、
「引きこもり」の実態に関する調査報告書(2010年)によると、成人後に引きこもりになった人のうち 50.9% が、小中学生時代に不登校になった経験がある…とされています。これを聴いて、「不登校経験者と不登校未経験者、半々の確率でひきこもりになるのか…」と思われる方がいらっしゃいますが、それは大きな誤りです。不登校経験者は、不登校未経験者より、圧倒的に数が少ないです。10分の1以下です。
にも関わらず、引きこもりの半分以上を、不登校経験者が占めているのです。
いかに、不登校経験者がひきこもりになりやすいか、わかるかと思います。そう、引きこもりは、不登校から地続きになっているのです。

ちなみに、引きこもりになっている方は、やがては生活保護受給する方が多いのですが、生活保護世帯も30年前の約3倍になっています。このお金は、一生懸命働いて、税金を納めている私たちのお金そのものです。
大きな声では言ってはいけないかもしれませんが、引きこもりの人が生活保護をもらうためには、メンタルクリニックへ行って、何かしらの病名をもらうのが1番です。そして、地区によって、生活保護の申請が、通りやすいところと通りにくいところが、事実あります。

で、ここで質問に答えます。
「引きこもりになったら、どうしたらいいのか?」ですが、
ここは、「そのうち、引きこもりから脱するだろう…」という、安易な楽観的な考えは持たないほうがいいです。一刻も早く、無料および有料専門家を訪ねていってください。そう、「餅は餅屋」なんです。餅屋は、たくさんの事例を知っているし、たくさんの経験を持っているのです。
というわけで、プロの心理カウンセラーの私からは、「専門家を上手に利用し、指示を仰いでいってください」と申し上げておきたいと思います。

大切なのは、「焦らず休まず諦めず」ということです。

「早く引きこもりをやめさせよう!」と焦らないこと。
そして、引きこもり支援を休まないこと。
さらに、「もう、引きこもりをやめさせるのは無理だ…」とあきらめないことです。

というわけで、今日は以上です。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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