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南シナ海で台風17号発生しても、注意すべきは次の台風18号

饒村曜気象予報士
南シナ海とフィリピン東海上の熱帯低気圧の雲とその東の雲の塊(10月7日15時)

南シナ海で台風17号発生

 南シナ海の海面水温は、台風が発達する目安となっている27度を上回る29度であるため、海南島近海の熱帯低気圧が熱と水蒸気の補給をうけて発達し、気象庁は10月7日9時に、今後24時間以内に台風になると発表しました。

 そして、8日3時に台風17号が南シナ海で発生しました(図1)。

図1 台風17号の進路予報と海面水温(10月8日3時)
図1 台風17号の進路予報と海面水温(10月8日3時)

 台風17号は、北上のち西進の見込みで、日本には影響がない見込みです。

フィリピンの東海上で台風18号発生へ

 フィリピンの東海上の海面水温でも、台風が発達する目安となっている27度を上回る29度となっており、気象庁は10月7日21時に、今後24時間以内に台風になると発表しました(図2)。

図2 フィリピン東海上の熱帯低気圧の進路予報と気象衛星画像(10月8日0時)
図2 フィリピン東海上の熱帯低気圧の進路予報と気象衛星画像(10月8日0時)

 台風となれば、台風18号の発生です。

【追記(10月8日16時30分)】

 フィリピンの東海上の熱帯低気圧は、10月8日15時に台風18号に発達しました。

 令和3年(2021年)の台風発生数は、これまで平年より若干少なく推移しています(表)。

表 平年と令和3年(2021年)10月7日までの台風発生数・接近数・上陸数(四捨五入の関係で月別平年値の合計は年平年値とは一致しない)
表 平年と令和3年(2021年)10月7日までの台風発生数・接近数・上陸数(四捨五入の関係で月別平年値の合計は年平年値とは一致しない)

 8月と9月に台風発生数が少なかったことから、台風17号、台風18号が連続して発生しても、まだ平年並みには達しません。

 また、台風の中心が国内のいずれかの気象官署から300キロ以内に入った場合を「台風の接近」といいますが、これまで10個接近しており、こちらはほぼ平年並みの接近数です。

 さらに、台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合を「台風の上陸」といいますが、これまで、台風8号が宮城県石巻市付近に、台風9号が鹿児島県枕崎市付近に、台風14号が福岡県福津市付近に上陸しています。

 台風の上陸数は、すでに平年並みの3個に達しています。

10月に日本に影響を与える台風

 過去の台風の統計では、10月に南シナ海にある台風は西進して日本へはほとんど影響しません(図3)。

図3 10月の台風の平均経路
図3 10月の台風の平均経路

 10月に北上して日本に接近する台風は、フィリピンの東海上からマリアナ諸島に存在する台風です。

 となると、気になるのは、発生したばかりの台風17号ではなく、現在フィリピンの東海上にあって台風18号になるかもしれない熱帯低気圧、あるいは、その東にある熱帯低気圧や、さらにその東にある雲の塊です(図4)。

図4 熱帯域に並ぶ雲の塊(10月8日0時)
図4 熱帯域に並ぶ雲の塊(10月8日0時)

 今後発達して、台風19号になるかもしれません。

 あるいは、雲の塊が先に発達して台風19号になるかもしれませんが、この海域での雲の塊が発達して台風となった場合は、統計的には北上して日本には接近しない可能性のほうが高いと考えられます。

 いずれにしても、熱帯域に並ぶ雲の塊の動向に注意が必要です。

台風の月別上陸数

 台風の統計が作られている昭和26年(1951年)から昨年、令和2年(2020年)までに206個の台風が上陸いています。

 台風の月別の上陸数をみると、8月が73個と一番多く、次いで9月の66個になります(図5)。

図5 台風の月別上陸数(昭和26年(1951年)~令和2年(2020年)及び令和3年(2021年))
図5 台風の月別上陸数(昭和26年(1951年)~令和2年(2020年)及び令和3年(2021年))

 台風というと9月のイメージがあるのですが、これは、9月の台風は秋雨前線を刺激して大雨を降らせることが多いなど、大きな被害を発生させるからです。

 ただ、近年は9月から10月に上陸する台風が増えており、今年から用いられている平年値は、平成3年(1991年)から令和2年(2020年)までの30年平均ですが、最近の台風上陸の傾向を反映し、初めて平年値で台風上陸が一番多い月が8月ではなく、9月となっています。

 平成13年(2001年)以降では、8月と9月がほぼ同じ数だけ上陸していますし、10月に上陸する台風も7月に上陸する台風並みの数となっていますので、10月も台風シーズンです。

タイトル画像、図1、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計―月別発生数・存在分布・平均経路―、研究時報、気象庁。

図5、表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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